カルヴァン
ウェスレーの伝記を2冊読んだので次は宗教改革者「カルヴァン」にあたっている。清水書院の「人と思想シリーズ」ハンディ教養本であるがこのくらいがちょうど良い。このシリーズでは、去年「パスカル」を読んだがそれも良くまとめられていた。カルヴァンを読み、カルヴァンに惹かれる。著者は、渡辺信夫、日本におけるカルヴァン研究の第一人者。思いを込めている人が書くときに、伝記を書く筆も熱く煮えたぎるのだ。「若いときに勉強しすぎて体をこわしたカルヴァンは,その後も肉体に無理を重ねて仕事をしたために、つぎつぎと病気の箇所を増やし,病気に冒されない箇所は体の内に残っていないほどになった。」「命の灯は日ごとに小さくなっていく.カルヴァンは死期を遅らせようとは願わず、無為なままで生きることを恥じていた。肉体の苦痛が取り去られることよりも、その苦痛に負けない精神を持つことが彼の願いであった。」「礼儀正しく、これまでのことについて感謝し、なすべきことが多くあるのに果たす所きわめて少なかった点、また度を過ごして激しく怒ったのを彼らが忍んでくれた点について、率直に詫びた。」「彼はなお言葉を続けて、具体的な点にわたる諸注意事項を述べ,誘惑と戦うべき事をさとし、最後にもう一度、自己の欠点をゆるしてくれるように懇請した。」55年の生涯にわたる信仰の戦い、短くそして激しく厳しいものがあった。パスカルの齢は39年、この二人は約100年の隔たりで,共にフランスに生まれた。この二人の生き方、また信仰のあり方は、宗教改革者とカトリックの違いはあっても共通するものが多い。ボクはすでに65歳、無為を恥じる日々を送ってはいないだろうか?