2017文楽4月公演第一部その1 配属先が悪かった
菅原伝授手習鑑(すがはらでんじゅてならいかがみ)これまでのあらすじ菅原道真の領地で三つ子が生まれた。道真はめでたいことと喜んで、そこの主四郎九郎(しろうくろう)に畑地を与え、子どもたちが大きくなると 朝廷の牛車の舎人へと取り立ててやった(今で言えば政府の公用車の運転手)三つ子は 梅王、松王、桜丸と名付けられ 配属はそれぞれ 道真(右大臣)藤原時平(左大臣)斎世親王(ときよしんのう)となった。斎世親王は道真の養女を見染め、手紙を送ったりし、二人は思いあう仲となった。それらの仲介をしたのは桜丸だった。時平は政敵道真を追い落とそうと、養女を使って斎世親王を籠絡して謀反を図ったと天皇に讒言、道真は流罪となった。時平は道真、その夫人と子ども管秀才(かんしゅうさい)に刺客を放った。道真は(天神様になるぐらいの人なので)難を逃れた。夫人と子ども知るべを頼って身を隠し、行方はわからなくなっていた。斎世親王も姿を隠している。茶筅酒の段(ちゃせんざけのだん)道真の別宅、四郎九郎はこの家の掃除をまかされて、住み込んでいた。かねてより道真に70歳になったら白太夫と名をあらためて、祝いをするようにと言いつけられていたが、道真が流罪となったので派手なことは遠慮して、祝いのもちに茶筅で酒をふりかけて簡素な祝いをした。(四郎九郎は道真の別宅の、梅、松、桜の手入れをずっとしてきた)三つ子の妻たちは、舅の祝いと言う事で別宅を仲良く訪れ、祝いの料理の支度を始める。(桜丸の妻八重が袂の長い着物で帯も長く着つけてあり、年が若いということがわかる。料理も一番手際が悪いと言う様子をみせる。舞台の上では実際に大根を切ってみせる)嫁たちは扇子、頭巾、三方を土産に持ってくる。時間が来ても三つ子たちはやってこず、白太夫は庭の木を夫に見立て、陰膳をして祝を始めようと、桜丸の妻八重をつれて氏神にお参りにでかける。喧嘩の段入れ違いに松王が登場する。妻千代がえらく遅いのはどうしたことと聞く。「こちらは、時平様という主持ち、用事を済まさなければ自由にはできない。梅王、桜丸こそいまは主がいなくなって時間に余裕があるはずだ。どうしてあいつらが遅いのだ。」梅王、桜丸は主人を讒言した敵時平をやっつけようと時平の牛車に近づいたが、松王にはばまれ結局何もできなかったことがあり、お互いに根に持っている。そこへ梅王が登場するが、お互いが喧嘩しているため目も合わさない。梅王「桜丸はおらんのか、待ちかねているものは来ず、見たくもない奴が先にきている。」その後お互いが言いあいになり、はては取っ組み合いの大喧嘩になり、勢い余って庭の桜の木を折ってしまう。そこへ白太夫が帰ってきたと言うので、二人はあわてて居住まいをただす。