カテゴリ:私のすきなこと
このチラシの人形は久松の許婚お光、前回の人形はお染です。頭はどちらも「娘」という名前のものを使っています。 野崎村の段 久松は実は石津藩の家臣の子どもであったが、父親が藩に伝わる家宝の刀を紛失したので、責任をとって切腹し家は断絶となった。久松は乳母の兄にあたる久作に育てられた。 久作の娘お光は、田舎育ちと思えない立ち居振る舞いでとても美しい娘であった。久作夫婦にいずれは久松と夫婦にしてと言われており、久松を憎からず思っていた。 お光は久作に「今日は久松が奉公先から帰ってくる。妻も重い病で、この際久松の奉公を辞めさせて、お前と夫婦にして暮らしたら、妻も安心する事だろう。善は急げで、今日にも祝言をあげようと、久松には話してみるから、お前もそのつもりで。」と言われ浮き浮きしている。 久作は久松の奉公先に歳暮を届けにいくと出かけていく。 そこへ小助に連れられて久松が帰ってくる。久松の集金してきた金が贋金であったので、(前の段の事件を受けた話)これはどうしたことかと奉公先では騒動になっていた。久松が金を着服したと思われたが、店の女主人は、真相がはっきりするまで、実家に帰れと言われて戻ってきたのだった。 小助は家にやってくると、久松が集金先の金をくすねて家に戻されたのだ、この始末はどうするのかと、留守番のお光を相手に悪口雑言をはきちらす。 お光も色々にあやまるが、ますます居丈高な小助だった。 そこへ、久作が戻ってきて、紛失した金と同額の金を差し出す。小助は金さえもらえば文句はないと帰っていく。(寺に代々の供養を頼もうとためておいた金を出したものだった) 久松には店の奉公もここらで切り上げ、お光と世帯を持てと久作は話す。久松も納得してそれでは祝言の支度をと男たちは、去っていきお光は料理をはじめている。(お染と恋仲なのに、お光と結婚せよといわれて、そうですねという久松はどういう男なのかと私は思う) 久松が実家に帰らされたと聞いて、お染はそのあとを追ってきた。 思い切って久作のうちに入り、居合わせたお光に「こちらに久松という人はいないでしょうか。」と尋ねる。華やかな服装と物腰から、お光はこれがとやかく噂のある奉公先の娘お染だと 悟ったので、「そのような人はおりません。」と邪険に追い返す。 あきらめきれないお染は立ち去りかねて、表から中の様子をうかがっている。 お光は久松と久作が現れたので、二人して久作の世話をしているのを表のお染に見せつけるようにする。しかし、久松の方も表のお染に気がついてしまう。きもそぞろになってとんちんかんな返事をする久松。 婚礼の支度というので、お光は下がり久松はひとりきりになったところへ、お染が飛び込んでくる。「山家屋に嫁に行けと言うあなたの書き置きを見ました。一緒に二人で暮らそうと誓ったのにあんまりな。私はあなたと一緒になれないなら死にます。」 「今までお世話になったご主人様にも申し訳ない、あなたを連れて出ることは私にはできません。しかし、そこまで思ってくれるなら・・・」(なんて気の変わりやすい男だろう。)と二人でもめているところへ、久作が登場する。 「歌祭文にも言われているお夏清十郎も、結局不幸な結果に終わってしまいました。主人の許さぬ恋は不幸な結果が見えている。久松と一緒になっても、久松は許婚を捨て、良い家のお嬢さんに乗り換えたえげつない男と後ろ指をさされます。あきらめなされ。」 久作の説得に、二人はあきらめます。お染は山家屋に嫁ぎますからと口ではいったものの、こうなったら心中するしかないと目顔で知らせ合っている二人だった。 お光がそこへ綿帽子をかぶって登場する、久作が綿帽子をとってみると、お光は黒髪を断ち切って尼の姿をしている。 「私は二人の話を聞きました。久松さんと無理に夫婦になったところで、二人は心中する心づもりでしょう。私一人が身を引けば二人は死なずに済みます。ああ、私が幸せであったのはほんの半時」 呆然とする二人と久作。お光の心を思いやって皆が涙を流すのだった。 お染の様子を心配してやってきた母親がその様子を外から見ていた。「お光さんの志十分受け取りました。今すぐにとはいかないが、折がきたら二人の仲を許しましよう。」というわけで、お染は母親と船で、久松は駕籠で土手を帰っていくのだった。 (その後のお話) しかし、母親はお染と山家屋の縁談を強引に進め、結納までもらう事態になる。一方久松の乳母たちの苦労で、紛失した刀のありかが見つかった。 お染の母が山家屋の縁談にこだわったのは、山家屋に家宝の刀が質入れされていることを知っていたからだった。(結納の品として刀をもらいうけた) 周りはこれを藩に持って行けばお家が再興できると喜んだのだ(しかし、お染は山家屋に嫁に行かないといけない)が、お染は実は久松の子を身ごもっており、嫁に行く事はできない身であった。また、久松は女の事でもめ事を起こしているようでは、帰参はかなわないお染のことは思い切れと乳母に強く忠言され、結局切羽詰まった二人は心中してしまう。 どうもこのタイプの男だから、お家再興を必死になってするというよりは、周りに取り込まれている感じがする。 だいたい、純愛なら「私のことは忘れて親が勧めるところへ嫁に行ったら。」というのはわかるが、深い仲になってからよそへ嫁にいけというのは、卑怯じゃないだろうか。お光に対して「自分はお染が好きだからこの祝言はなしにしてほしい。」と頭を下げるのならまだしも、お光の方から身を引かせるのはひどいと思う。 その場その場で生きているから皆を不幸に巻き込んでしまう。こんな男のために一生懸命になった皆がかわいそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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