香水売り場のＵさん

2012.03.17

カテゴリ：2012 Japan

　懐かしい人に会いました。
　高校を卒業してすぐの春休みから、約２年間、長期の休みの度にバイトをさせてもらっていた西武デパートの、香水売り場にいた女性です。

　Ｕさんとは、バイトをする前から顔見知りでした。
　私が１５歳の頃、母の日のプレゼントにゲランのミツコのトワレを買いました。その頃、知っている香水の名前といえば、シャネルの５番、１９番とゲランのミツコだけだったのです。ミツコはその後、母のお気に入りの香りになり、最近になってデューンに変えるまで母は長らく愛用することになりました。

　Ｕさんは、買物をするたび、あるいは売り場を通りかかって挨拶をするたびにサンプルをくれたので、高校生の時分には私はいろいろな香りを知っていました。まだ、化粧さえ始める前でした。
　バイトを始めてからも、可愛がってもらいましたが、ふた回り近く年上のＵさんは若い店員や私たちのようなバイトには煙たい存在でもありました。

　最後に会ったのが２０数年前です。
　私の街の西武デパートはすでに撤退してしまいました。１階の香水・化粧品・アクセサリー売り場にいた古参の店員さんたちは散り散りになってしまったはずで、会うすべもなかったのですが、先日買物に行ったＹデパートの婦人服売り場で、Ｕさんらしき人を見かけました。
　近くでセールをしていたので、催事のコーナーにいた店員さんに確認したところやはり名前はＵさんでした。

　その日は時間に追われていたので、今日、Ｙデパートに立ち寄った際に声を掛けてみました。
　ぜんぜん変わっていませんでした。
　母の香水の買物の付き合いで数年、私がバイトしたのが２年（春・夏・冬の休みだけ）、同様に姉が４年間バイトしたので私たちのことは覚えていてくれました。

　私はもちろん年をとりました。あの頃、はたちだったのですから。　