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『ピンシャン』 ベトナムとの国境間近の田舎町。 さすがにここまで南下すれば、暖かかった。 着いたのは、夜。 運転の荒いバスで、ヘロヘロになった僕に、降りてすぐ変なおっちゃんが話しかけてきた。 そのおっちゃん。 この笑顔がステキなオカタは、3輪タクシーの運転手で、 「ホテル紹介するぜ。」みたいな事を言っている。 いつもなら断るトコだけど、ヘトヘトだったので了承。 (この手の勧誘はバックマージン目当てなので、安くはない) 3輪タクシーはなかなか爽快で、あっという間に宿についた。 タクシー代を払ってチェックインすると、タクシーのおっちゃんが何やら話しかけてきた。 「ベトナム行くんだったら、明日国境まで乗せてくぜ」と。 ボられるのか?と、思いながらもOKすると、 「じゃあ、7時に迎えにくるからな」 ときた。 はやっ! いくらなんでも早いやろ! ピンシャンに観光スポットはないのか? まいっか。 翌日の朝、7時。 これまたキッカリ、おっちゃんは迎えに来た。 まさか時間守るはずは...と思ってたから、寝てました。 でもちゃんと、部屋まで起こしに来てくれた。 寝起きで目がパンパンになりながら、雨の降る早朝を、おっちゃんの後ろに乗り国境を目指す。 ココで事件。お決まりのヤッテモウタである。 (正確にはヤラレテモウタだけど) 国境までは30分。雨の中、3輪タクシーで行くわけですが、田舎道を爆走中に、 パンクですわ。 おっちゃんにお金払ってたから、乗り換えるとまた金かかるなぁ。 おっちゃんはすぐ直る!みたいな事言ってるけど。 そう思ってるうちに、空車の3輪タクシーが通りかかった。 おっちゃんは、そのタクシーを止め、何やら話しているではないの。 なんと、おっちゃんは僕が渡したお金全額を、そっちに渡し、国境まで行ってやってくれと、交渉していた。 ちっちゃい感動をありがとう。おっちゃん おっちゃんに同じ額のお金を渡し、シェシェと言って別れた。 おかげで、無事、国境に着いた。 意外に人は少なく、閑散としていてアッサリと国境を越えてしまった。 ベトナムの入国審査を経て、外に出ると、 やっぱりたくさんの客引きの人が、僕を歓迎してくれた。 そして、分かりやす~い詐欺を披露してくれた。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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