テーマ:暮らしを楽しむ(388413)
カテゴリ:人とのふれあい(people)
夕飯を食べに行こうとエレベーターに乗ったら 下の階で、すらっと背が高くステキな笑顔の女性が乗って来た。 柔らかい白のシンプルなロングドレスがとてもよく似合っている。 目が合うと彼女は私に言った。 「すごく変な事を頼んでもいいかしら。」 「何でもどうぞ。」 私がそう答えると 彼女は、私に背中を向けて言った。 「ジッパーを上まであげてくださらない?」 私は、あと5センチのところで止まっていたジッパーを 上まであげて、ホックをとめ、ドレスについていた糸くずを取って 「できましたよ。」 と言った。 「どうもありがとう、私このドレスで変じゃないかしら。」 彼女は、ショートにした美しい白髪を撫で付けながら言う。 「今日、結婚記念日なの。1965年にここで結婚したのよ。 これは、そのときのウェディングドレスなの。 主人には、今日このドレスを着るって言っていないの。 馬鹿げてるって思われるかしら。 馬鹿げて見えないかしら?」 私と、たまたま乗り合わせていたもう1人の女性は口を揃えて 「全然、馬鹿げてなんていないわ、とっても素敵よ。」 と言った。 もう1人の女性は 「本当にドレスがぴったりで、本当にきれいよ!! 結婚したときのドレスがまだ着れるなんて 奇跡のようだわ!」 と言う。 地階に着いてエレベーターを降り、 レストランの入り口の前で 私が「おめでとう!グッドラック!」と言うと 彼女は、つやつやした頬をピンクに染めて ありがとう、と私の肩に手をおき ステキな笑顔を返してくれた。 レストランの中に入って 席に付いた後 オットと二人で、ご主人はどの人だろうね と見渡す。 初老の男性は何人かいたので どの人がご主人かは、わからなかったが そうこうしているうちに 彼女が小さなブーケを持って レストランの入り口から入って来た。 やがて、彼女の視線の先にいる男性がゆっくりと立ち上がる。 2011 Tabitha All rights reserved. 彼女が近付いて行くと 男性の目にはみるみる涙がたまり… そして2人はハグをして 小さなキスを交わした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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