ドッグラン内での咬傷事故の結末、日本の法律の壁
最近、犬同士の咬傷事故の話をよく聞くので、私の経験したことを書きます。5月2日にドッグランでポチ君が襲われ怪我をした件、簡易裁判所にて民事調停をしました。最初に行った病院とセカンドオピニオンの病院での治療費2万円ほどは加害犬の飼い主が支払ってくれてます。争点はサードオピニオンの病院での手術代等の治療費172,400円の支払について。通院にかかった交通費と慰謝料は最初から省かれました。私も裁判所に持ち込むまでは治療費しか相手に請求してませんでしたから、交通費と慰謝料は貰えなくてもいいという考えでした。裁判官が示した調停案は、治療費全額ではなく10万を加害犬側が支払うというもの。こちらの過失割合がほぼゼロだと言われてたのに、なぜ全額支払ってもらえなかったのかについて、今後私のような思いをする人がいなくなるためにも、法律に携わってる方たちにも一考していただきたく、ブログにアップします。あくまでも、加害犬の飼い主を叩きたいという気持ちでアップしているわけではありませんので、コメント欄で個人を特定出来るような書き込みは控えて下さい。そういうコメントは見つけ次第削除させていただきますことをご了承下さいm(__)m1、犬の時価裁判官『犬と車は一緒ではありませんが、新車と15年乗った車だと価値が違うのわかりますよね』相手の弁護士『法律的には犬は物である、とすれば15年の年数が過ぎたものに対し高額の手術代をかけることは通常の事ではなく支払いはしなくてよい』事前に弁護士からも最近はペットは物ではなく家族という判断をされることも増えてきたが、犬の時価と言われたら、相手からお金を支払ってもらえない可能性があると言われてました。若くもなく、血統書付きでもなく、チャンピオン犬でもなく、タレント犬でもない15歳の雑種の老犬ポチ君は、17万の治療費をかける価値がない犬だと日本の法律では判断されてしまうのです。2、治療の正当性最初に行った病院では血液検査の結果、ALPの数値が事故後の1155から429まで改善されてましたが、手術には難色を示されました。その検査結果を持ってセカンドオピニオンに行ったら、手術できない数値ではないと言われ、手術する場合としない場合の説明を受け、整形外科が得意で設備の整った病院を紹介され、そこで再度血液検査をしたら、515と数値が悪化していたにも関わらず手術が出来ると言われました。高齢なので全身麻酔のリスクがあったのですが、麻酔専門の先生が東京から来られてたという絶好のタイミング。最初に行った病院とは手術内容も異なり、足の筋肉の萎縮も始まっており、出来るだけ早くリハビリに入れ再発しない方法をすすめられました。加害犬の飼い主が最初の病院でもし手術するなら5万円と言われてたらしく、手術をした病院との金額の差が問題になりました。裁判官『あなたは例え手術代が50万と言われようが100万と言われようが治るのなら手術するんですよね。でも、犬の飼い主全員がそういう判断をするのか疑問が残ります。つまり犬の飼い主100人いたら、5万なら手術するけど17万なら手術しないという人が1人でもいたら手術の正当性は認められないのです』裁判官『例えば人間の場合、交通事故で怪我をしたとします。日本では治療出来ないけど海外なら治せると知り、海外で何千万かけて治したとします。その場合、事故の相手に何千万も請求できません。今回のサードオピニオンでの手術がそれと同じなんです』弁護士からは上記の2点のこともあり、少額裁判では下手をすると1円も支払ってもらえない可能性があること、民事裁判にしても難しい裁判になることは、事前に言われてました。なので、民事調停という方法をとりました。民事調停の場合、どちらかが一方的に勝つわけではなく、お互いに妥協しなければなりません。最終的に裁判官の出す調停案に同意するかどうかで決まります。今回は弁護士との話し合いの末に、調停案に同意しました。今現在、私と同じようなケースで揉めてる加害犬の飼い主さん、『全額払わなくていいんだ』なんて思わないで下さいね。法律がどうであれ、自分の子が他人の子を怪我させたらきちんと謝罪して治療費を全額支払うのが、普通の飼い主ではないでしょうか?それをしないということは、世間からどういう目で見られるか…法律の常識が世間の常識ではないのです。今回の結果を、心配して下さってた皆さんにお伝えしました。そんな理不尽な事があるのかと皆さん驚かれます。ですが、これが日本の法律なんです。動物愛護法とかできてますが、まだまだペットは家族ではなく物なんです。例えば、犬の怪我によって飼い主が心身ともにショックを受けてうつ病になり、仕事も出来なくなったなら慰謝料は請求できます。しかし、物である犬に対する慰謝料という考えそのものが法律にはありません。ですが、あえて貰えないとわかってるポチ君に対する慰謝料を請求しました。もし逆の立場だったら、治せる方法があるのにもかかわらず手術をしないと判断したという相手に、ポチ君の痛みをわかってほしかったからです。藁をもつかむ思いでサードオピニオンを受けに行った気持ち、少しでも安全に、後遺症が残らないように、より良い設備と技術のある獣医師の元で手術を受けさせたいと思う私たち家族の気持ちなど相手には全く理解されず、裁判所でも汲んでもらえませんでした。今後、法律が変わり、犬は物ではなく大切な家族として評価される時代が来ることを望みます。もし、自分の子が他人の子を怪我させたら?うちは保険に入ってるから大丈夫!という方。今一度、内容の確認をしてください。ドッグラン内での事故が免責事項になってませんか?ドッグランは人間の生命保険の免責事項である紛争地、戦場と同じとみなされます。よって、ドッグラン内での事故には保険金が出ないものがあります。免責事項になってない場合でも『犬の時価』と言われる事があります。つまり治療費全額ではなく、『犬の時価』までしか保険金が出ないものもあるのです。加害犬の飼い主から取れなかった7万ほどは、ドッグラン側に請求することが出来ると弁護士からは言われました。1円でも利用料金を取ってれば、利用者が安全に利用出来るようにする義務があり、それを怠ったということから請求出来るらしいです。ただ今回の事故現場となったドッグランは保護犬猫に対してとてもご理解があり、譲渡会やチャリティーフリマの場を提供してくださってるので、私は請求しませんでした。『ドッグラン=ノーリードで遊ばせる所』だとは思います。しかし、呼び戻しの訓練の出来てない未去勢の雄犬をノーリードにするのは危険だと思います。ドッグランによってはコントロール出来る子のみノーリードを許可してる所もあります。また、トラブルが多い未去勢の雄犬の利用について制限を設けている所もあります。是非、ドッグラン運営者の方々にも考えてほしいと思います。ポチ君、今は元気に歩けてます。治療費を全額支払ってもらえなかったですが、いい勉強になりました。今まで17年間ほど同じ動物病院しか利用してませんでしたから、セカンドオピニオン、サードオピニオンの大切さを身をもって感じました。針治療が出来る獣医師、整形外科と眼科に強い獣医師と出会えたこと。おかげでずっと白内障と診断されてたのが角膜ジストロフィーという別の病気だということがわかり、ポチ君にあった治療が受けられてます。今15歳のポチ君があと何年生きてくれるのかわかりませんが、残りの時間を3本足で不自由な生活をすることなく、大好きな散歩が苦もなく出来てることが、何より大切なことだと思ってます。最後になりましたが、今回の事で事故の目撃者の方たちから『裁判になるなら出来る限りの事はする』とのお言葉を頂いたこと、セカンドオピニオンの獣医師から裁判所に証拠書類提出のご協力を頂けたこと、サードオピニオンの獣医師から『あちらの弁護士が来てもきちんと説明しますから大丈夫ですよ』と言っていただけたこと、とても心強かったです。また、この日記を書くにあたって、加害犬の飼い主が裁判所に提出した回答書の内容(事実と異なる点)を叩くよりも、今の日本の法律で犬は物扱いされるという事実について広く知っていただく内容にするべきではないかと思わせてくれたあにまる365のメンバーには、本当に感謝してますm(__)mにほんブログ村人気ブログランキングへ