英訳は絶対、勉強するな!(4)
それまで、「英訳する」という前提で日本語を読んだことなどなかったのですが、課題の日本文を理解するはしから、今までさんざん目にしてきた英語の「形」というか、「枠」みたいなものが頭に浮かんでくるんです。すごく不思議な感覚なんですが、今まで和訳で使っていた神経経路を逆方向に辿っているという感じです。「これだ」と思ったと同時に「いける」と思いました。結局、そのトライアル課題を掲載していた翻訳会社さんが、私にとって、英訳のお取り引き先第一号となり、お仕事の件数、分量、分野の数ともに登録当初からたくさんご依頼いただき、ものすごく場数を踏ませていただきました(ひたすら感謝です)。そこで、私の例が参考になるかどうかはわかりませんが…、英訳の仕事をはじめるまでにこなした和訳は、仕上がり原稿枚数にして10,000枚弱。原文でいえば120~130万ワード程度になるでしょうか。私の場合は、いずれは英訳という前提がまったくないまま過ごしてきたので、英訳をきちんと意識していれば、もっと少ない和訳実績で同じレベルに到達できたかもしれませんし、今までにやった仕事を対訳集としてまとめておけば、最初からもう少しはましな英訳ができたかもしれません。でもそれは、和訳がきちんとできていればの話なので、私個人的には、早くから対訳という「形」を作ることに、それほど大きな意味があるとは思っていません。訳そのものではなく、常に正しい訳にたどりつくための「手順」をきちんと作ることの方が大事ですから。ただし、和訳に取り組むにあたっての姿勢は重要だったと思っています。(よろしければ関連記事「とても単純なことだけど…(1)」もお読みください)ですから逆に、和訳の経験をたくさん積んでもなかなか英訳ができるようにならなかったり、トライアルで不合格になるのであれば、和訳の取り組み方(というか、翻訳そのものに対する姿勢)に、問題があることにもなるのではないかと思います。この方法であればもちろん、和英辞書にのっている単語と、学校で習った文法を継ぎ接ぎしたような「血の通わない」英語にはなりません。↓みなさんの「1日1クリック」を糧に今日も頑張ります!「語学・英会話」のカテゴリでしのぎを削って(?)ます。