『別れの後の静かな午後』 大崎 善生
【本日の一冊】別れの後の静かな午後君を想えば、別れすら愛しくなる。痛みと哀しみが去りゆくとき、永遠に消せないぬくもりが胸に灯る。『パイロットフィッシュ』『孤独か、それに等しいもの』の作者が贈る、“別れとはじまり”を描いた待望の恋愛小説集。 【目次】サッポロの光/球運、北へ/別れの後の静かな午後/空っぽのバケツ/ディスカスの記憶/悲しまない時計 ≪失ってしまったもう二度と戻ることはできない時間や空間を思うことの痛み≫ を静かに描いた短編集といったところでしょうか。どの話も「別れ」がテーマになっているものの、重くなく、さらりとした感触です。後4編が「新たなはじまり」という希望をふくんだ終わり方になっているのも読後感のよさの理由のひとつでしょう。そう思って改めて読み直してみたら、収録の順番って大事だなぁ、としみじみ。だって、「サッポロの光」や「球運、北へ」がラストに収録されていたら、読後感がかなり違ってきちゃいますもん。 (そう思うのは私だけかもしれないけど)ちなみに私は「空っぽのバケツ」が一番好きでした