『海峡の光』 辻 仁成
【本日の一冊】海峡の光人生いたるところ海峡あり。渡るも人生なら、渡らぬも人生。そしてお前は……?廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ……。海峡に揺らめく人生の暗流。芥川賞受賞。辻さんの作品はこんな感じ、という勝手な思い込みイメージがあって最近はもういいかぁ~、と手にすることもなかったのですが、リンク先の さとうみみ さんの感想を読んで気になって購入してみました(^^)今まで読んだ辻作品の中で一番いいかも! と思える一冊でした。どういいかというと… 一言でいうなら、「深い」ですね。決して長くない小説ですが、書かれていない部分が非常に巧みだと思います。いかに行間を読むか、によって作品の捉え方も変わることでしょう。