『舞姫通信』 重松 清
【本日の一冊】舞姫通信ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。人は、誰でも、気づかないうちに人生のラストシーンを始めている。17歳で死んだ「自殺志願」のタレント城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城真吾は教えてくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでも―。でも、僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、ずっとずっと、遠い日でありますように。教師と、生徒と、生と死の物語。 本書あとがきで、重松氏のフリーライターの初仕事が岡田有希子(*)さんの本だったことを知りました。(*)80年代のアイドル歌手その後、岡田さんが自殺。 その3年後に重松氏は友人を自殺によって亡くしています。身近でおきた自殺による死と、重松氏自身の「教師」という体験が、この物語の底にあるようです。「死ぬ」という普遍的な真理を前にして、「生きるとは?」と考えさせてくれる一冊です。