『姉飼』 遠藤 徹
【本日の一冊】姉飼さぞ、いい声で鳴くんだろうねぇ、君の姉は―。蚊吸豚による、村の繁栄を祝う脂祭りの夜。小学生の僕は縁日で、からだを串刺しにされ、伸び放題の髪と爪を振り回しながら凶暴にうめき叫ぶ「姉」を見る。どうにかして、「姉」を手に入れたい…。僕は烈しい執着にとりつかれてゆく。「選考委員への挑戦か!?」と、選考会で物議を醸した日本ホラー小説大賞受賞作「姉飼」はじめ四篇を収録した、カルトホラーの怪作短篇集。第10回日本ホラー小説大賞は「長編賞」が『相続人』、「短編賞」が『白い部屋で月の歌を』だった回なので、両作品を読んだ私としては、それらを押しのけて「大賞」を受賞した作品ということでたいへん期待して挑んだのですが・・・まあ、好みの問題なのでしょうが… 朱川さんの『白い部屋で月の歌を』の方が私は好きですね。ホラー小説に「奇怪さ」や「おぞましさ」「嫌悪感」といった類のみを求めるのなら、「姉飼」は実にお薦めな一編と言えましょうが。