大相撲九州場所が終わって
平成17年の大相撲九州場所15日間が終わってしまいました。今場所の私の注目は、琴欧州関が大関昇進になるかどうか。横綱・朝青龍の大記録への挑戦もものすごい事でしょう。でも強すぎる横綱のことより、やはり関心は琴欧州関のほうへ。13日目の対・横綱戦。あの緊張する場面で、琴欧州関は落ち着いたスッキリした顔に見えた。そして力相撲の堂々たる勝利。翌14日目の対・大関千代大海戦。私はバイトを終えてちょうど車を運転しながらラジオで聞いてました。いつもなら渋滞が苦になるけど、このときだけはラジオの大相撲中継を聞きたくて、渋滞がラッキーだった。そしてあっさり琴欧州関の勝利。ラジオのアナウンサーが叫ぶ。『強い、強い!琴欧州。もう大関を手中にしたと言って間違いないでしょう。』赤信号で停止中、運転席で思わず「やった~」と一人パチパチと拍手する私。今場所はド緊張のせいか?出だしからハラハラする場面もあったけど、これでもう大丈夫よね。外国人力士たちが強いことに対して、どこかの親方が解説で言ってた。「彼らはレスリングや柔道の優秀な選手ですからね。」と。でもそれは、私としては納得がいかない。20代前半の、まだ若者の彼らが強さと品格を求められる地位につくには、そりゃ多少は下地があっただろうけど、日本で相撲を続ける彼らは、言葉や習慣の違いで苦労して時には泣いて、それでもなお陰でも人一倍努力する超・真面目人間たち。遠く故郷にいる家族を思ってなのか、あるいは自分の夢の実現のためにか。厳しい環境や稽古に耐え、自分の掲げる目標を見据えて、一歩また一歩と上がっていく精神力は並大抵のことではないだろう。14日目に横綱が優勝を決め、年間6場所完全制覇と7場所連続優勝という大記録を達成したとき、横綱は土俵で思わず涙した。ふだんの取り組みでは、強過ぎる横綱よりも、どうしても対戦力士に「この強い横綱をお前が倒してくれ」とばかりに、場内からの声援が飛ぶ。彼には「悪役」とか「怖い」というイメージが強い。でも実際は全然違う。自身は陰で人一倍努力し、そして周囲や大相撲ファンに対しては自然に気配りができる真面目でやさしい人。千秋楽後も自分の身だしなみを整える前に引退する木村庄之助のことろへ歩み寄り、感謝の花束と懸賞金を渡したのも、自然な彼の人柄から。こんなことを言っては横綱に失礼かもしれないが、私から見たら彼は「俺も愛されたいんだよ。」とボソッと漏らす、一人の素直な好青年だ。表彰式では、約束どおり福岡までスッ飛んできた小泉首相から『新記録、大記録、見事だ!おめでとう!』とお褒めの言葉をもらったときに、笑顔とともに横綱の頬が少し紅潮。やっぱ素直で可愛い人じゃないか。 他の分野のスポーツでは、最近は日本人選手たちも海外で活躍している。大相撲の日本人力士たちも、ある程度の位置で甘んじていないで、もっと精進して活躍してくれればいいのに。そんなことをふと思いました。