『走れメロス』~大人になって読み直すと面白い・・・かも。(その2)
(前回の日記の続きです)太宰治の名作 『走れメロス』 を、私が読んで思った感想です。疲れて眠りこけたメロスは、出発が大幅に遅れました。まあ豪雨のために戻り道で川が氾濫していたから、悪天候の夜中に出て何かある(=シラクスに戻れない=親友の処刑)よりは、「結果的には」マシだったかもしれませんが。でも川の氾濫で、かなりの時間ロス。なんとか川を渡りきり、その後の山賊退治は、時間ロス少な目。しかし今度は、暑さで体がダウンです。頭ン中で、あーだ、こーだと想像や自問自答がぐるぐる回り、悪い考えに負けて走るのがばかばかしくなり、いつしかまた眠りの中へ落ちていきます。そもそも事の起こりは自分なのに、勝手だねー、メロス。でもその後、水の流れる音で目を覚ましたメロスは、清水を一口飲んで体も心もエネルギー復活です。もう時間はないけど、かすかな望みを胸に気力を振り絞り、再び走り出します。メロスは走りながらまた、頭ン中であれこれと自問自答や想像を繰り返し、今度は己を鼓舞する言葉が次々に出てきて、それが走るエネルギーになっていきます。思い込みが激しくて自己陶酔なメロスだけど、こういうとき “自家発電” できてナイスです。それにしても、スゴイというより迷惑な走りです。道行く人を押しのけ、跳ねとばし、よそ様が酒宴で楽しんでいる中を勢いよく通過して、走行ラインにいる犬はよけずに蹴とばしていきます。頭ン中に自分のことしかない状態の人、そのまんまですね。でも物語全体を読み返して、メロスが真剣に走ったのは、もしかしてここだけ・・・とか?そしてその激走の最中に着ているものがだんだんと取れていったようで、シラクスの塔楼が見えたときのメロスはストリーキング状態でした。この段階で、親友セリヌンティウスの弟子の人から声を掛けられますが、並走しながらこの人からは恨み節を言われるだけで、「何かお召し物を」とは言ってもらえません。仕方がないでしょうね。そしてマッパのメロスは、フラフラになって刑場に到着です。群衆をかきわけて進み、上げられていく磔台にしがみついて、ホント、ギリギリのところでなんとか、親友の処刑を止めることができました。(もうちょい書きたいので、ここで分けます)やはり水は、すべての生き物にとって命ですね。綺麗な水がふつうに飲める日本は、本当によい国です。