『真田丸』 第25回 感想(2)~深い哀しみの底に沈む茶々、茶々の哀しみを受け止める寧、女二人の絆に涙でした
NHK大河ドラマ 『真田丸』 。第25回感想の後半で、前回の日記の続きになります。場面は再び淀城に移ります。豊臣秀吉(小日向文世さん)と茶々(竹内結子さん)の子・鶴松の病は回復の兆しがなく、大蔵卿局(峯村リエさん)は利休の祟りではと、目を赤くして案じていました。あの利休の木像を大徳寺の山門に置かせたのは茶々でした。茶々は何の悪気もなく、単に大きくて置き場に困るから、大徳寺に置いてもらえばいいと思っただけなのです。真田源次郎信繁(堺雅人さん)の中で話がつながりました。それにしても、注文時に寸法を間違えたとは・・・。そのころ、片桐且元(小林隆さん)と薫(高畑淳子さん)が、厨で煎じ薬作りに精を出していました。薫さま、かまどのすすで顔を汚して頑張っています。次に煮出した汁をざるで濾すのですが、片桐さん、カスのほうを残して大事な汁を捨てちゃいました。コレ、やると思いました~。(⌒_⌒; 現代でのシニア男性向けの料理教室で、鰹節で出汁をとるときにこういうことがたまにあるそうなので。さて、九州にいた加藤清正(新井浩文さん)は福島正則(深水元基さん)とともに、鶴松の病の知らせを聞いて、急ぎ淀城に戻ってきました。病平癒の願掛けの水垢離をするからと石田三成(山本耕史さん)を誘い、三成はいったんは断ったのですが・・・。水垢離をする二人のもとへ、後から三成が現れました。上半身裸になり、立って頭上から水をかぶる気合いです。その姿を見て清正と正則も倣い、男3人が鶴松のために、立ち上がって頭上から水を浴びていました。一方、徳川家からは、家康(内野聖陽さん)と本多正信(近藤正臣さん)が、鶴松の看病にあたるお付きの人たちに夜食の差し入れを運んできました。本来の目的は鶴松の様子見に来たのですが、こうした心配り(=人心掌握)も大切にする人です。さすが。幼子の命の行方を、それぞれが思いを抱いて見つめています。三成は豊臣の身内を集め、豊臣秀次(新納慎也さん)にはこれまで以上に秀吉を支えるよう、他の一族の皆には秀次を支えて豊臣家の繁栄に尽くすよう、お願いしていました。そして真田昌幸(草刈正雄さん)と出浦昌相(寺島進さん)、家康と正信は、先読みが一致していました。秀吉は年々老いていく、秀吉にはもう子ができまい、後を継ぐ中納言の秀次は、秀吉に比べればひ弱に過ぎない、豊臣の世は、そう長くは続かない、と。その秀次は、これからのことを考えると気が重くなり、傍に控えるきり(長澤まさみさん)に「この先ずっと、私の傍にいてはくれぬか。」と思いを打ち明けます。でもきりは半分は仕事で、半分はおそらく好きな源次郎にヤキモチを妬かせるために秀次に仕えていたので、秀次の申し出をやんわりと断りました。秀次さん、ホントに優しいお方です。秀次の地位なら、小大名の重臣の娘なんてどうにでもなるのに、きりの気持ちを尊重してくれます。この「いい人」の4年後の運命を考えると、辛いです。同時にきりは、そのときに起こる恐ろしい事に巻き込まれなくてよかったのですが。さて煎じ薬作りで貴重な煮汁を捨ててしまった片桐さん。幸い少しだけ薬草が残っていたので、かろうじて小さな薬の粒を作ることができました。でも昌幸パパはそんなことを知らず、味見で粒をパクリ。それを見て、言葉を失う薫と片桐さん。薫:「殿、今食べたのがすべてです・・・。」でもまあ、へたに薬を差し出して、後で鶴松が亡くなったときに「毒だ」なんて言われたらたまったものじゃないから、この苦労の結晶はパパの胃に消えてよかったのかも。豊臣、徳川、真田、それぞれの思いが交錯する中、鶴松の容態が急変します。秀吉は鶴松の傍にいることが辛くて、座を外します。鶴松の玩具を見つめながら、「鶴松は何のために生を受け、何のために死んでいくのじゃ。」と暗くつぶやく秀吉に、後を追ってきた源次郎は、「殿下、よくないことを口にすると、そのとおりになると 申します。今は、良いことだけを考えましょう。」と秀吉の心を必死に支えます。それでも、鶴松の命に終わりがきました。茶々は呆然として、力なく鶴松の傍から離れていきました。「皆死んでしまう。私の大切な人たち。」小谷城で父を、北ノ庄城で母を失い、壊れかけた心をなんとか取り戻したのに、今度は幼い我が子が病で逝ってしまい、また心が壊れてしまいました。そんな茶々の前に寧(鈴木京香さん)が現れました。寧に一礼して去ろうとする茶々を寧が優しく抱きとめたとき、それまでこらえていた茶々の思いが涙となってあふれ出し、茶々は声をあげて泣いたのでした。秀吉が誰よりも信頼し愛する二人の女が、ふだんは表に出ないけど通わせていた心の絆が出た場面は、見ていても感動の涙でした。