今年のNHK大河ドラマ『真田丸』を振り返って(3)
前回の日記の続きで 『真田丸』 を振り返ります。このドラマは脚本が三谷幸喜さんなので、どこかに笑いの要素があるだろうとは思っていましたが、1話の中に必ず1つは笑いの要素が入っていました。期待以上の内容で、さすがは三谷さんでした。奥州の覇者である伊達政宗@長谷川朝晴さんはネットでは、「ずんだ守(のかみ)」と呼ばれました。まあこの方はラストでは感動で胸が熱くなる場面も見せてくれたからいいけど、平野長泰@近藤芳正さんはずっと、「スルメ守(のかみ)でした。」でした。「賤ヶ岳の七本槍」で活躍した人なんだけどなあ。その七本槍の一人の片桐且元を演じた小林隆さんは、この方らしい笑いと情のパートで魅せてくれました。そう、大坂編の後半では豊臣秀頼の中川大志さんをはじめ、新しい顔ぶれで楽しめました。中川さんの爽やかで凛とした若君の姿に、家康が「あれは本当に、太閤の子か。」と言った場面。ネットでは「織田家と浅井家のDNA」ってことで意見が落ち着きました。五人衆の面々も楽しい方々でした。どっかの学校の番長みたいな後藤又兵衛基次@哀川翔さん、お祈りしているシーンしか記憶にない?明石全登@オフロスキー@小林顕作さん、いかつい恰好をしていても小心者で、お花大好きで優しい長宗我部盛親@モリチー@阿南健治さん、そしてなんといっても各場面でカッコ良さを独り占めした毛利勝永@岡本健一さん。他にインパクトがあったのが、大野治房の武田幸三さん。セリフは無言か「うおーっ!」みたいな雄叫びや唸り声がほとんどで、表情はガン飛ばしばかりで、でも男の本物の筋肉を披露してくれました。山本さんの三成の褌姿とともにサービスショットですね。(昨年のあのドラマは何やってたのか・・・)でも私が最高にスゴイと思ったのが、序盤からラストまで通して出演した、徳川家康を演じた内野聖陽さんでした。この方は他のドラマで固い表情しか見たことがなかったのですが、『真田丸』での家康は全く違っていました。あの敵中突破の「伊賀越え」で、家康が泣きべそ顔で逃げまくって笑いの場面になるなんて、誰が想像したでしょう。最終回も感動の涙だけだと思ったら、家康がまたあの泣きべそ顔で逃げて、笑ってしまったではないですか。もちろんふだんは策略や駆け引きの真顔でしたが、他にも『瓜売』で内野さんのタヌキ腹に役者魂を感じました。(この『瓜売』の回は、セリフのない脇役の皆さんもイキイキと 催しを楽しむ演技をしていて、ここにも役者魂を感じました)9月末に草刈さんの出番が終わってからしばらくは、番組冒頭の出演者紹介で「真田昌幸 草刈正雄」だった場所が空欄のままでした。でもそこに家康の内野聖陽さんの名前が入るようになり、正直ちょっと寂しく思ったこともありました。しかし内野さんは、ラスボス家康でした。敗れた側に憎たらしいことを言いながらも、相手にほんの少しだけ逃げ道や再生の機会を与える優しさがある家康@内野さんが、泣きべそ顔とともに本当に大好きでした。いい演技を見られて良かったです。また藤井隆さんの佐助は、本人はいたって真面目に任務を遂行する忍なんだけど、ほとんど笑いの要素担当で、でも主(あるじ)を守るときは煙幕弾を使ったりでカッコ良かったです。堀田作兵衛の藤本隆宏さんは『坂の上の雲』の広瀬武夫のほうが好きでしたが、こちらでもいい役でした。そして物語の最後は、真田信之@大泉洋さんが本多正信@近藤正臣さんから、治世について学ぶ場面でした。最初は配役で源三郎信幸に大泉洋さんと聞いて、あの役にちょっと意外な感じでした。でもふたを開けてみれば、源三郎信幸は「お兄ちゃん」として親しまれ、ときには笑いの場面を受け持ち、回を増すごとに華はなくてもジワジワ存在感を増していく「全国の長男長女の星」になりました。また近藤さんも、このドラマでは、家康の参謀として陰で動くコワイお人でした。でも「必死に戦う若者を見たら手を差し伸べてやる」優しいお人のときもありました。最終回のラストでも、若い者を導く優しいお人でした。(ちょっと前の『あさが来た』では、近藤さんは嫁のあさを理解して 応援する優しいお舅さんでしたからね)私のこの1年は、『真田丸』で忙しい1年でした。ドラマを見て、感想日記を書いて、関連史跡を旅行して、写真をUPして、でもまだ九度山も行ってないし、写真もUPしていないものもたくさんあります。感想日記も初めは軽く書いていたのが、ドラマ内の言葉が残るようになると、だんだんと長くなっていきました。初めから“真田丸”のカテゴリーを作っておけばよかったと思うくらい、この1年の日記は『真田丸』でいっぱいです。またネタバレを見たくないのでドラマの小説等はいっさい読まず、そのためにブログを書くときに、この場面はどう表現したらいいか、この道具は何だったっけ?と調べて、時間とアタマを使いました。でもこのドラマの登場人物は本当にどなたも魅力的でした。どんな役の人でも、どこかで共感や理解できる部分があり、憎めない人ばかりでした。だから上田の大河ドラマ館で出演者の皆さんの写真を見たとき、どなたも愛おしいとさえ感じました。このドラマの影響で関連史跡だけでなく、出浦氏や室賀氏、最近では毛利勝永など、たくさんの歴史上の人物に興味を持ってしまいました。ドラマを見ているときは「勝永さま、きゃあ~っ」って感じでしたが、勝永は実際に幸村以上の猛烈な働きをしているので、また調べてみたいものです。そして3DCGマップがわかりやすくて良かったです。昨年のような地理的な距離や時間の感覚が滅茶苦茶なのは、もう勘弁してほしいですから。“神回”と言われた第44回では完成した真田丸を見て、感動で「受信料に納得」という意見の他、「ご祝儀を振り込みたい」「おひねりを渡したい」という意見も。さらには、真田丸スピンオフ制作のために、特別受信料を取ってもよいという意見も真面目にありました。ふだんの生活で苦労して働いて得たお金だから、面白くて感動のある素晴らしい作品を作るために使うなら受信料も惜しくない、ってことですよね。『真田丸』は、本当に楽しい有意義な作品でした。脚本の三谷さん、スタッフの皆さん、そして役者の皆さん、いいものを魅せてくれて、本当にありがとうございました!!2016年も今日が最後になりました。まもなく新しい年を迎えますが、皆さまどうぞ、よいお年をお迎えくださいませ。PS~~上田の大河ドラマ館は今日までで98万2千人の来場者です。元旦からもオープンしているので、正月中に100万人突破しそうですね。