『西郷どん』感想 第28回 ~勝海舟との出会いで迷いがとけた吉之助、そして慶喜と決別へ
2018年NHK大河ドラマ 『西郷どん』 。第28回の部分的な感想です。今回の話では特に、私は「巡り巡るもの」を感じました。鈴木亮平さん演じる西郷吉之助は若き頃に、男惚れした主君・島津斉彬(渡辺謙さん)にまさに命がけでひたすら仕えたように、今はその自分に大野拓朗さん演じる中村半次郎が命がけで仕えてくれてます。そういえばドラマ上ではありますが、それぞれの出会いも同じようなものでしたね。少年・吉之助が殿・斉彬に出会って「強くなれ」と言葉をもらい、「斉彬様のようになりたい」と心に誓って生きているように、少年・半次郎は下っ端役人だった吉之助に救ってもらった恩を胸に、西郷先生のためならなんでも、という青年になりました。また禁門の変のときに吉之助が長州の怪我人を手当てして救ったことも、後々に今度は吉之助たちが敵に救われる側になって出てくると思います。いい意味での大ブーメランに感動できると期待しています。それと長州征伐の総大将を務めた徳川御三家筆頭の尾張藩元藩主・徳川義勝公(小宮孝泰さん)。この義勝公は人生いろいろあるお方ですが、当時としては珍しい写真機を手に入れたおかげで、本当に写真に夢中になったお方です。(ドラマの中では斉彬様が写真に夢中でしたね※第13回)義勝公が長州征伐に写真機を持っていったのは本当の話で、広島城にいる間もお城とか撮っていたそうです。ドラマでは、なぜ義勝公が長州征伐を望まなかったのかがなくて残念でしたが、写真機を持っていたシーンがあってこのさりげない演出がウレシイものでした。徳川義勝公の話はこちらでUPしました。 ⇒ 尾張徳川家 最後の藩主・徳川義勝と明治維新 (日記の後半は歴史的にネタバレになります)禁門の変により戦火は京の町中に広まり、多くの民が家を失いました。薩摩軍は、敗走した長州が残した兵糧を焼け出された京の人々に分け与えました。さらに西郷吉之助は負傷した長州兵を藩邸に保護して治療をさせていました。3日3晩続いた火災が収まって、京の町に検分に出た西郷吉之助(鈴木亮平さん)。あまりの惨状に言葉を失います。そんな中、焼け跡からワンコを1匹救出し、命を愛おしんでます。一橋慶喜はこの機会に長州征伐を行うと皆に強く言い渡しました。慶喜に進言しようと吉之助が屋敷に行ったところ先客の勝海舟(遠藤憲一さん)と廊下ですれ違いました。勝はなぜか吉之助のことを知っていて「西郷どん」と親し気に名を呼びました。その頃長州では外国の連合艦隊17隻から砲撃を受けていて(四国連合艦隊下関砲撃事件)、一橋慶喜(松田翔太さん)は今を逃すかと長州征伐にますます士気が上がってきました。吉之助は慶喜に役目を与えてほしいと申し出、慶喜は「勝に会って海軍の出動を説得しろ」と吉之助に命じました。数日後、吉之助は大坂に勝海舟を訪ねましたが、坂本龍馬(小栗 旬さん)に西郷の偽物かと疑われてなかなか勝に会わせてもらえません。でもこの後、外出からひょっこり帰ってきた勝と無事に会うことができました。吉之助は慶喜の用件を伝えますが、勝は長州征伐はしたくないと答えます。吉之助も思いは同じだけど、民を見捨てることはできないと返します。そんな吉之助を見て勝は亡き島津斉彬のことを思い出し、以前、咸臨丸で薩摩に赴いたときに斉彬と会ったときのことをあれこれと話してくれました。亡き斉彬がこの人物ならばと推した一橋慶喜に、吉之助が今は心から仕える気になれないことを、勝は見抜いていました。そんな吉之助に勝は「俺が斉彬様だったら、もう幕府なんざ見限るこったと言う」と言って、慶喜からの書状を中も見ず燃やしてしまいました。自分の書状を勝が燃やしたことを聞いた慶喜は激怒し、勝を捕えよと言います。しかし勝の言葉で気持ちが慶喜から離れた吉之助は、海軍と軍艦を持つ勝を捕えることはできないと慶喜に返します。また慶喜は長州征伐では、誰が総大将でも構わず吉之助に采配をふるうよう命じ、吉之助もそのまま了承しました。元治元年(1864)7月、長州征伐が始まりました。総大将となったのは徳川御三家筆頭の尾張藩の徳川義勝(小宮孝泰さん)ですが、義勝はこの戦には乗り気でなく、大坂城での軍議は一向にまとまりませんでした。天子様のご命令(長州征伐)に従いつつ、長州を戦火にしない方法を考えた吉之助は、中村半次郎(大野拓朗さん)と川路利良(泉澤祐希さん)らに一足先に長州に潜入し、あることを調べてくるよう命じました。幕府軍が廣島に着いた頃、半次郎たち諜報部隊は吉之助の期待に応える見事な成果を持って、吉之助のところに戻ってきました。かつて吉之助が亡き斉彬のために身命を賭して働いたように、今度は自分を慕う半次郎たちが命がけで働いてくれてます。吉之助は総大将・義勝の元へ赴き、長州の全てが戦を望んではいないことを伝え、そして義勝自身も戦を望んでないことを確認すると、これから自分が長州に行ってこの戦を戦わずして終わらせると告げます。薩摩の皆は心配するけれど、吉之助は一人で国境の岩国に陣を構える吉川監物(猪野 学さん)のところに行き、幕府軍の申し条を携えて長州側との交渉を開始しました。申し条には、幕府への恭順の意を示すためにも禁門の変を起こした3家老の切腹や長州藩主の謹慎など、厳しいことが書かれていました。しかしそれを受け入れれば、幕府軍は直ちに軍勢を引きあげると。長州の家臣の中には吉之助をこの場で斬るといきり立つ者もいましたが、大将の吉川は敵地に身一つで来た吉之助の思いを理解していて、家臣たちを止めました。さらに吉之助は吉川に「貴藩にお返しせねばならないものがある」と言って、吉川とともに控えの部屋に行きました。するとそこには禁門の変で怪我を負った後で薩摩藩が手当てをしていた兵たちが。「皆よく戻ってきた」と言う吉川は、家臣思いの優しい大将ですね。吉川との交渉は吉之助一人でしたが、小松帯刀(町田啓太さん)もこの者たちを京から連れてきて、家老として交渉のフォローをしていました。薩摩藩の情けに感服した吉川は、幕府側の申し条のことを自分が藩主に伝えると。程なく長州藩主より幕府軍総大将の義勝のもとに書状が届きました。全て幕府軍の申し条に従うという結果で、義勝は吉之助を心底褒めました。そして吉之助は半次郎たちのところに行き、一番重要だった諜報活動で気張った皆に頭を下げて礼を言い「おはんらの手柄じゃ」と思いを伝えました。(吉之助から褒められてすごく嬉しそうな半次郎が可愛い♪)しかしこの成果は、長州を潰したかった一橋慶喜には大いに不満でした。吉之助は慶喜に反論します。「国とは、生きたいと思うものの集まり。その者たちのために働くのが政。貴方様はたとえ日本国中が火の海になっても徳川さえ守れればよいと思っている。」吉之助に本音を突かれて怒った慶喜は、吉之助に腹を切れと命じます。しかし慶喜に仕える気持ちが失せた吉之助は、亡き斉彬の形見の短刀で畳を刺し、これで昔の縁は断ち切った、我らももはやここまでと言い、退室していきました。