大河ドラマ『いだてん』第4回~現代医学では考えられない無茶苦茶なトレーニングで四三君は死にかけ、そして学びました『自然ニ従ヘ』
2019年NHK大河ドラマ 『いだてん~東京オリムピック噺』 。第4回の部分的な感想です。このドラマを見ていると、こういう部分はあの時代らしいなと思うことがよくあります。例えば、東京高師の寮で美川秀信(勝地涼さん)が舎監の永井道明(杉本哲太さん)に指をさしながら反論した場面。現代なら相手に向かって指をさすのは失礼で不快感を与えるというのは常識だと思うのですが、あの時代はそういう自分は正義であるとかカッコイイとか、何かあったのでしょうか。現代でもやってる機械や物に対する指さし確認は別として、自分の意見を言うときにいちいち興奮しながら相手を指をさして物を言う人を、昭和の時代には時々見かけましたので。そして金栗四三(中村勘九郎さん)が25マイル(約40km)もの長距離を走りきる強い体を作らねばと本を調べまくって、ぎりぎりまで実戦した「水抜き・脂抜き」の体作りの方法。今の時代なら科学的なデータを元に人体生理学が考えられるけど、そうじゃなかった時代のヘタしたら無茶苦茶やってたときのことです。私はドラマを見ていて正直、恐いな~と思ってました。喉の渇きを我慢するのは辛いし、適切な水分の補給ができないと人体の器官があちこちおかしくなってきます。 水分不足が起こす「脱水症」の症状 上記サイトに『水分損失率(対水分)と現れる脱水諸症状の関係』の表があり、症状が進むと精神不安定から、さらに進むと幻覚を引き起こすとあります。ドラマ内でもそんな感じが出ていましたね。秋の校内マラソン競争が始まりました。スタートの号砲が鳴り、生徒たちは我先にと一斉に飛び出していきました。さて金栗四三(中村勘九郎さん)はというと、スタート直前に小用をもよおしたものの便所にいく時間がなかったので、その辺の木陰で用を足していました。でもそれを教授の永井道明(杉本哲太さん)に見られ叱られてしまいました。小用のためにみんなよりだいぶ遅れてのスタートとなり、分かれ道でどちらに進むのかわからなくなりましたが、見物していた少年たちが教えてくれました。少年たちは学生たちが駆け抜けていくのを「カッコイイ」と見つめていました。最下位からスタートした四三ですが、草鞋が切れようがなんだろうが先に走る皆を次々とゴボウ抜きして順位を上げていきました。そして街に戻ってきたときは3位まで追い上げていました。さっき道を教えてくれた少年たちが四三のことを覚えていて声援をくれました。嘉納治五郎(役所広司さん)は校長室で他の教授たちとオリンピック参加について論じていましたが、先頭の学生が帰ってきたと伝令を受け、自らが出迎えようと喜び勇んで外に出てきました。(そして先頭集団はすでにゴールしていた)四三は大会で第3位となり、予科生が銅メダルを獲ったのは開校以来始めてのことで、とても名誉なことでした。嬉しくてたまらない四三は熊本の実家に手紙を送ったのですが、実家の母や兄からは褒められるどころかお叱りの返事がきて、四三は心底がっかりでした。先日の大会で優勝できなかったことが悔しい四三は、敗因の反省と考察を帳面に書きとめて、これからどう対策しようかと考えていました。(仕事でもなんでも、成功する人はこれをやるんですよね)方や文学青年の美川秀信(勝地涼さん)は教員になろうと東京高師に来たものの、学校生活への不満と批判ばかりを述べています。そして食堂で徳三宝(阿見201 さん)の失態を笑ったことで鬼舎監の永井から体罰を受けそうになり、それを徳が止めてくれて、でもその後で・・・(効果音・笑)本科生になった四三は、ずっと前から決めていた徒歩部(陸上部)に入りました。先輩たちへの挨拶もそこそこに、早速トレーニングが始まりました。ストックホルム五輪(1912)になんとか日本選手を派遣したい嘉納は、徒歩部の顧問でもある可児徳(古舘寛治さん)に理髪店でぼやいでいました。徒歩部の学生たちはスタミナ作りのために放課後は豚鍋を食していました。そこへ金髪美女を連れた洋装の洒落た男(大森兵蔵)が現れ「近々ご挨拶にうかがうと嘉納校長に伝えてくれ」と、四三たちに伝言をことづてていきました。マラソンをするために履物をどうしたらいいか、四三は悩んでいました。通りを歩いていたら、ふと機械音が聞こえてきて、そこは足袋の店でした。(こういう昔の町並みの再現がいいなあ~)機械の音に誘われるがまま中に入ると、店主の黒坂辛作(ピエール瀧さん)が足袋を作っていて、四三は生まれて初めて足袋というものを履いてみました。黒坂の作った足袋は四三の足にすっと馴染み、とても心地良いものでした。オリンピックに参加する選手を選抜するための大運動会が開かれることが新聞に掲載され、マラソンの25マイル(約40km)という距離に四三は驚きます。一瞬ひるみましたが、嘉納校長のことが頭に浮かんだ四三は「やってみないとわからない」と言って、練習に励みました。25マイルを走りきる体を作るために四三は本で調べまくりました。そしたら「水抜き・脂抜き」でとにかく体を軽くすることが良いとあって、早速それを実践し始めたのですが、あまりにも体に負担がかかるものでした。一方、こちらはエリート坊ちゃんの集まりの天狗倶楽部です。マラソンのために水抜きして走ってフラフラになっている四三たちとは対照的に、ビールを浴びるように飲んで相変わらず毎日愉快そうです。嘉納に「競技場を作る資金繰りは銀行家の兄に頼んでなんとかする」と言っていた三島弥彦(生田斗真さん)は、兄・弥太郎(小澤征悦さん)にスポーツの意義を説き嘉納への融資を頼むのですが、全く相手にしてもらえませんでした。しかも弥彦自身の短距離走への出場も、母・和歌子(白石加代子さん)と兄の反対でだめになりました。(お母上は前回の『不如帰』のことでおかんむりです)25マイル走のために「水抜き・脂抜き」に歯を食いしばって耐えていた徒歩部の皆でしたが、8日目とうとう四三以外は全員脱落して一気に水を飲みました。四三は一人耐えていましたが、その後風呂場でついにブッ倒れてしまいました。四三はもうろうとしながら食堂に向かい、お椀に塩?を入れ水を汲んで、一気にがぶがぶと水を飲み始めました。生きるために体が水を必要としていることを本能で悟ったのでしょう。そして体が糖分を求めた四三の目には徳が食べようとしていたカキ氷が映り、徳のカキ氷を横取りしてがっつきだしました。(徳を抑える福田先生、ご苦労様です)この経験から四三は「自然に従え」ということを学びました。食いたいから食う、走りたいから走る、欲求どおりに運ぶのが自然であるが、それはやってみなくちゃわからないということでした。