大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第3回~夢のお告げと慌て者の早とちりの偶然と、宗時と政子の説得と、そして義時の確かなデータをもとに、頼朝は挙兵を決意しました
2022年NHK大河ドラマ 『鎌倉殿の13人』 の感想です。このドラマも3回目となりましたが、小栗 旬さん演じる主人公の北条義時は、まだ存在自体は地味なままです。(逆に主人公だからと必要以上に出させないのがいい)でも地味なりに、義時という人物を表す場面が出ています。種もみの貸付を木簡に記録しておく実務能力にたけた面や、国衙に行ったときに木簡のある場所を偶然目にしていて、それが事を進めるにあたって必要な記録だと気が付いたら密かに国衙に忍び込んで調べてくる大胆さと緻密さなど、まだ出番は少ないけど義時の人物像がよくわかります。そして義時と共にいるのは、頼朝の本心が発する言葉とは裏腹にあることを見抜き、誰よりも頼朝に強く進言できる頼朝の妻である姉の政子(小池栄子さん)。面倒な展開になるとその後のことはすぐに弟に丸投げして仕事を増やす兄・宗時(片岡愛之助さん)だけど、宗時は困った人がいたら見捨てておけない性分で、助けた人が巡り巡って良い因果をもたらすようです。そして「よくわからない」と言いつつ一度引き受けたからには最後まで面倒をみる性分であり、ここぞと言う場面で武士の誇りと北条家の棟梁たる強さと太さを見せてくれる父・時政(坂東彌十郎さん)。これから源 頼朝(大泉 洋さん)を武士の棟梁として支え、武家社会を作っていく北条ファミリーの基礎があるように感じています。そして今回のラストで、頼朝がどくろを手に挙兵の決意を語るシーンで流れた音楽が感動でした。新しい時代が動き出す予感がする勇壮な音楽です。日本の侍の物語なのに、西洋人のエバン・コールさんがそれにふさわしい音楽を作り上げてしまうとは。ドラマのサントラ盤が出たら是非買いたいと思ってます。こちらではいろいろな感想で盛り上がっています。 ⇒ ⇒ #鎌倉殿の13人 大河ドラマ館、伊豆の国市ではオープンしました ⇒ ⇒ こちら 鎌倉市の大河ドラマ館は現在準備中で、鶴岡八幡宮の境内に、3月1日にオープンの予定となっています。 ⇒ ⇒ こちら 治承3年(1179)平清盛は後白河法皇を幽閉し、翌年に自分の孫となる1歳3か月の安徳天皇を即位させました。また伊豆の北条家では源頼朝と結婚した北条政子が大姫を産み、頼朝と引き離された伊東祐親の娘・八重は伊東家の下人の江間次郎に嫁ぎ、北条家とは狩野川を挟んだ向かいの粗末な館に住んでいました。八重の住む方向を眺めながら北条義時(小栗 旬さん)と三浦義村(山本耕史さん)はそれぞれに思いを馳せますが、この位置関係では、もう北条家は伊東家に監視されているようなものだと思いました。父である後白河法皇を平清盛によって幽閉された以仁王(木村 昴さん)は、平家の世を正すために6月に挙兵することを決意し、諸国の源氏も挙兵するよう令旨を出しました。伊豆の頼朝のもとには頼朝の叔父の源行家が使者としてきました。しかし以仁王の下で大将軍となる源頼政では人はついてこないと考えた頼朝は、自分は挙兵はしないと北条家の皆に伝えました。もとは京の公家で京のことに詳しいりく(宮沢りえさん)は夫の北条時政(坂東彌十郎さん)に、この企ては失敗すると予想します。挙兵しないと判断した頼朝を時政は褒めますが、そんな夫をりくは頼朝と共にいずれは出世するよう𠮟咤激励し、愛しい妻の言葉に時政はデレデレに。(時政さん、完全に癒し系ですね)北条館の源頼朝の元には朝廷の下級役人の三善康信から都の情勢が知らされていて、6月2日に京より2通の文が届きました。1通目は5月22日、2通目は5月26日の日付で、1通目には以仁王のが予定を早めて挙兵し、平家側にいた源頼政(品川 徹さん)が以仁王について軍勢が勢いづいたことが、しかし2通目には以仁王の謀反があっという間に鎮められ、頼政は宇治の平等院で自害し以仁王も奈良に逃げる途中で落命したと書かれていました。(品川徹さん、現在86歳、ドラマ用の軽い甲冑とはいえこの装束での演技です。)大番役の務めを終えた大庭景親が京から領地の相模に戻ってきていて、戦死した源頼政の後に平時忠が国主となることや、伊豆に逃げた頼政の縁者を捕らえるように命じられたことなどを伊東祐親に語っていました。景親は北条家にいる源頼朝はいずれ処刑されるであろうと予想していて、北条家にいる自分と血縁のつながった孫たちが不憫な祐親は、娘婿の北条時政(坂東彌十郎さん)に、北条が生き残るために頼朝とは一日も早く縁を切るよう強く言いました。しかし時政にはその考えはなく「武士として、一度お守りすると決めたからには死なばもろとも。」と宗時と義時の二人の息子にはっきりと言いました。とはいえ新しい目代の平兼隆と波風を立ててはいけないので、時政は挨拶をするために義時を連れて伊豆の国衙に出向きました。治承4年(1180)のこの年は歴史的な異常気象が起こり、人々が飢饉の不安におびえるほど作物がとれなかったのですが、時政は上出来の野菜を手土産に持参して堤 信遠に取り継ぎを願いました。しかし堤は源氏をかくまう北条家を嫌って見下していて、野菜を蹴散らし踏みつぶしたあげく時政を謀反に加担したのではと疑い、時政をさんざんに侮辱しました。つい先日、同じように堤に酷い目に遭わされた義時は悔しさと怒りで頭がいっぱいに。でも時政はこれも弱小領主ゆえと諦め、今後のことを憂いていました。ある夜、源 頼朝(大泉 洋さん)が寝苦しさを感じて目を覚ますと、枕元にはナント、後白河法皇(西田敏行さん)が現れていました。夢枕?生霊?の法皇は頼朝に「一日も早く助けてくれ。清盛入道にさんざん酷い目に遭わされて(前年より)福原に幽閉されておる。清盛の首を取り平家の奴らを都から追い出してくれ。それができるのは頼朝、お主だけだ。なあ、頼む!なあ、返事は!」と強く訴え、頼朝は絶叫とともに目が覚めました。(このシーンで更科六兵衛さんを思い出したのは私だけじゃなかった・笑)そして間もなく、京にいる三善康信(小林 隆さん)から頼朝に文が届き、その内容は「以仁王の令旨を受け取った源氏全てを追討する、と清盛が命じた」とあり、康信はすぐにでも奥州に逃げるよう頼朝に訴えていました。頼朝はどうしていいかわからず混乱し、宗時や政子と口論して退出していきました。しかし、このとき平家が追っていたのは頼政の残党のみで頼朝ではなく、つまりこれは伝え聞いた話を康信が早とちりしたものでした。義時は自分が密かに頼朝から平家打倒を打ち明けられた以外にも、頼朝の妻である姉の政子もそう直感していることで、どのくらい兵が集まれば挙兵して勝てるかを三浦義村に相談し、緒戦突破のために300は欲しいと聞かされました。そしてその人数を推測する手立てはないかと考え、ある所に義村を付き合わせました。翌日、京にいた三浦義澄が法皇の密使をたずさえ頼朝に渡すべく時政に会いに来ました。偽物?いや文が良い匂いがするから本物、なんて義澄と言ってた時政でしたが、頼朝の従者の安達盛長(野添義弘さん)には「たぶん偽物」と言って渡していました。一方、頼朝のところには北条宗時(片岡愛之助さん)が、頼朝の父・義朝のどくろを持っているという怪しげな僧の文覚(市川猿之助さん)を連れてきました。文覚は「平家打倒、源氏再興」を人々に唱えていたので平家の者からはにらまれていたのですが、この文覚は盛長の知る者で、実は京にいたときもどこかで拾ったどくろを偽って高値で売りつけようとした騙り者でした。文覚は結局は追い返されることになり、帰り際には悔し紛れに「義朝のどくろ」だったはずの物を投げ捨てて出ていきました。(つまり義朝のじゃない)宗時は頼朝に「首はまがい物でも、あの者の声は民の声。皆は平家の横暴に苦しみ源氏の再興を待ち望んでいる」と訴え、また政子も、平家を倒すなら自分が棟梁にならなければ気が済まなく、でも戦をするのが怖いという頼朝の本心を見抜いていて「今がそのときなのに、意気地がないから」と頼朝に強く意見しました。政子はさらにどくろを手に取って頼朝の前に出し「これには平家と戦って死んでいった者たちの無念が籠っている。今こそ平家を倒して世を正すとこのどくろに誓って欲しい。」と頼朝に強く訴えました。それでも勝算がなければ挙兵はできないと言う頼朝に義時は、自分が国衙に行って木簡から調べて出した数値や豪族間の人間関係から「この戦は勝てる」と言いました。頼朝は義時の説明に納得しつつも、戦を起こすには大義名分が必要と言います。でもそれを聞いた盛長が先ほど時政から預かった後白河法皇の密旨のことを思い出して頼朝に差し出すと、夢のお告げを信じている頼朝はようやく挙兵の決意ができました。そしてどくろを手に取り「どこの誰かは存ぜぬが、この命おぬしに賭けよう」と思いを伝え、そして宗時にはすぐに戦の支度をするよう命じました。