大河ドラマ『光る君へ』第4回~「五節の舞姫」
2024年NHK大河ドラマ 『光る君へ』 の感想です。今年の大河ドラマを、私は思った以上に毎週楽しく視聴しています。まあ正直なところ、昨年の『どうする家康』に比べて、まだ大きな感動の場面はないです。でも昨年のは、ドラマの背景が戦国でしかも弱小国で、主役の主君と彼をとりまく家臣たちは、毎日が生きるか死ぬかの日々だったから、場面やセリフにもどこかに力強さや勝ち上がっていくワクワク感が入っていたのかもしれませんね。その点、今年の『光る君へ』は、上流貴族の雅な世界の中にも政権争いや駆け引きがある面白さはあるのだけど、セリフでの感動はまだない感じです。しかしこの第4回では、映像での感動がありました。ラストの「五節の舞」は、舞姫たちの装束が美しいのはもちろんのこと、映像の美しさ、舞を撮るアングルなど、舞というものを最高に美しく魅せてくれました。これは歴史の資料集やネットの画像検索では、今一つ伝わらない“美”だと思います。『光る君へ』製作の皆さま、素晴らしいものを見せてくださり、ありがとうございます。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #光る君へ 永観1年(984)、父から唯一外出を許されている左大臣家からの帰り道のまひろ(吉高由里子さん)は四条万里小路に立ち寄り、その折にずっと気になっていた三郎(藤原道長のこと;柄本佑さん)と再会しました。互いに心の内を語り合ううちに、まひろは自分が父の官位が六位で何年も官職につけない藤原為時の娘で藤原でもずっと格下だと三郎に打ち明けました。そして三郎が自分のこと(実は右大臣の三男)を打ち明けようとしたとき、そこにまひろの親戚の藤原宣孝(佐々木蔵之介さん)が通りがかり声をかけました。宣孝は三郎を、下々の身なりをしているもののどこか育ちが良さそうなものを感じつつ、まひろを連れて帰ることにしました。まひろの家に立ち寄った宣孝は、まひろの帰りが遅くなったのは自分のせいだとまひろをかばい、そしてまひろには今日のことは父・為時には黙っていてやるからもうあの男には近づくなと釘を刺しました。下級でも自分は貴族の娘で、三郎は下々の者と思っているまひろは「身分」があるからだと思い、そのことを宣孝に言いました。宣孝は「身分があるから争いが起こらず世が乱れずにすむ」とまひろに教えました。そして今の帝が退位し、父・為時が学問を教える東宮が次の帝に即位すれば、父もいよいよ官職につけるであろうから、この大事なときに(どうも只者とは思えないあの男と)問題を起こすなと念を押しました。まひろは父の考え方について宣孝に愚痴をこぼしていましたが、宣孝はそれを受け止め、また悩みや愚痴が募ったら自分に吐き出せばよいとまひろをなだめました。安倍晴明による夜を徹して行われた占いで円融天皇の退位と新しい帝の即位の日が、そして次の東宮は詮子(道長の姉)が生んだ懐仁親王に決まりました。御所勤めの女房たちは、詮子の悪口と行事が続いて自分たちが忙しくなることの愚痴をこぼしていました。(この時代は几帳をこのように使って、間仕切りや目隠しをしていたのですね)まもなく次の帝(花山天皇)となる師貞親王(本郷奏多さん)は藤原実資(秋山竜次さん)を呼び、自分の代でも蔵人頭を務めてほしいと頼みました。しかし実資は習わしに反すると固辞、師貞親王は再度頼み込み、次の帝の側近となる親王の叔父の藤原義懐(高橋光臣さん)や乳母子の藤原惟成(吉田亮さん)が説得しても実資は固辞します。業を煮やした師貞親王は癇癪を起こして暴れ、義懐や惟成の被り物を取るという酷い悪戯をして腹の虫を収めていました。左大臣の源雅信は次の東宮が右大臣の孫に決まったことにあせりを感じていました。そこで一の姫の源倫子(黒木華さん)に、次の帝に入内してはどうかと気持ちを確かめていましたが、なにせ女癖は悪いし、もし自分が飽きられたら円融天皇の后の詮子のようなにってしまうからと、倫子は断っていました。さて、まひろが左大臣家に行ったある日のこと、教育係の赤染衛門(凰稀かなめさん)から出たお題は「竹取物語」についてでした。得意顔して自説を述べることに夢中になるまひろでしたが、それはやんごとなき(=身分が高い)方々に暗に皮肉を言っているようなものでした。倫子は以前の「偏つぎ」のときと同様、つい夢中になると周囲の気持ちに配慮することを忘れるまひろを叱り、しかし同席の姫君たちには怒らないよう笑って促し、その場を収めていました。(ちゃんと注意してくれる倫子さま、優しいですね)次の東宮が藤原詮子(吉田羊さん)の生んだ懐仁親王となり、近い将来この家から帝がたつと藤原兼家(段田安則さん)は喜んでいました。そして兼家は同時に、次の帝をどうやって早く退位させるか、知恵を絞るように3人の息子たちに言っていました。長男・藤原道隆(井浦新さん)は、新しい帝は無類の女好きで人の道をわきまえずこのままでは国は滅ぶと噂を流す、その手筈が整っている、と父に伝えました。また次男の藤原道兼(玉置玲央さん)は、帝に取り入り側近となって、何かあればそれとなく退位を促す、と考えを述べました。一方、栓子は円融天皇から、毒を盛ったのはお前だと決めつけられ激しく罵倒され、深く傷ついていました。毒のことは実家の父だと気がついた栓子は父・兼家のもとに乗り込んで真相を追求しましたが、兼家はとぼけて認めません。栓子は父と2人の兄を見限り、懐仁は自分が守る、自分は薬は生涯飲まぬと言って、退室していきました。この年の8月、師貞親王は即位して花山天皇となり、后として藤原斉信の妹の藤原忯子(よしこ)が入内しました。さて、まひろの家では父の藤原為時(岸谷五朗さん)が花山天皇の即位によって12年ぶりに官職を得ることができ、祝の宴でにぎわっていました。為時は宣孝の助言のおかげだと礼を言い、宣孝は推挙してくれた右大臣・兼家に礼を言うよう促していました。美酒に心地よく酔う父を見て、母の死の一件以来ずっと父に反抗していたまひろでしたが、今日だけは父を気持ちよく祝う、明日からはわからないけど、と弟の藤原惟規(高杉真宙さん)に思いを伝えていました。花山天皇は帝となってからは政務にも積極的に取り組んでいましたが、一方的に物事を決めてしまうところがあり、先代から仕える関白や左大臣・右大臣ら重臣たちは困り、陰で不満を漏らしていました。そこに今の帝の側近である義懐が、それは重臣たちの努力が足りないのだと意見を述べ、また帝は本年は凶作なので自らが贅沢を慎み食事も減らして天下に模範を示していると民に伝えるよう述べていました。新参者の義懐の遠慮のない物言いや態度は、兼家にはとても不愉快でした。その御所では藤原公任(町田啓太さん)ら若い公達たちが政務に励んでいました。公任は妹・忯子が入内した藤原斉信(金田哲さん)の出世を予測していました。でも斉信は、もし帝が妹に飽きて他の女に心変わりしたらどうなるかわからない、と慎重な考えです。藤原行成(渡辺大知さん)は忯子が皇子を産めば斉信は安泰と言い、道長も賛同していましたが、そうなると東宮(道長の甥)がどうなるかわからないと公任に言われ、道長も少し考えていました。秋の実りの季節を迎え、宮中では行事で「五節の舞」が行われます。源雅信(益岡徹さん)の左大臣家からも舞姫を出さねばならないのですが倫子は嫌がり、雅信自身も倫子が女好きの帝の目に留まったら一大事と考えています。誰か代わりの姫はいないかと悩んでいたら藤原穆子(石野真子さん)がまひろの存在に気づき、まひろを代理で出すことにしました。まひろも自分なら大丈夫だからと快諾、倫子は「一生恩にきる」とまひろに約束して、舞姫をまひろに頼みました。軽い気持ちで舞姫を引き受けたまひろでしたが、稽古は大変なものでした。そして豊明節会(とよあかりのせちえ)の日を迎え、装束に身を包んだまひろは倫子の屋敷で同席させてもらう肇子(横田美紀さん)や茅子(渡辺早織さん)らと共に、舞の舞台に立ちました。帝と上流貴族たちが居並ぶ中で「五節の舞」が始まりました。(夜の御所に松明の灯りがともり、その中で美しい装束の舞姫たちが音楽と共に舞い、最高に美しいシーンでした。中学や高校で古典や日本史で国風文化を知りたい人は、このシーンは是非見てほしいです。百聞は一見に如かず、です。)しかし舞の最中にまひろは、その貴族たちの中に「三郎」らしき人がいるのを発見、しかも三郎の隣にはあのとき母を殺した「ミチカネ」とよく似た人物が。まひろは気持ちが混乱したままなんとか舞を終えましたが、肇子と茅子の話から三郎とミチカネは右大臣家の道長と道兼で兄弟であるとわかりました。自分が思いを寄せる三郎と、母の仇のミチカネがよりによって兄弟、しかも自分とは身分が天と地ほども違う右大臣家の、と思うとわけがわからなくなりました。