ボブ・ディラン:生ける伝説、孤高のアーティスト/4月14日(金)
大物ロック・ミュージシャンは、これまで結構取り上げてきたつもり。もちろん、世代的なこともあって、60-80年代にデビューしたミュージシャンが多かったが…。誰か抜け落ちていないかなぁと考えていたら、大事な伝説的な大物を忘れていた。 1941年5月24日(歳は違うが、なんと僕と1日違い!)、米ミネソタ州生まれ。本名ロバート・アレン・ジマーマン。 シンガー・ソングライターの草分けとも言える歌手。デビュー当時は、フォーク歌手と呼ばれた。しかし、彼のその後の軌跡は特定のジャンルの枠にとらわれない幅広いものだった(写真左=ディランのデビュー・アルバム=1962。名曲「時代は変わる(Times,they are chagin')」「When the ship comes in」が入っています) ボブ・ディラン。今年65歳にして、いまだ現役。40枚以上のアルバムをマイペースで出し続け、ライブ・ツアーも瀬力的にこなす。クラプトン、ストーンズ、ジョージ・ハリスン、ジャズのキース・ジャレット…とディランの曲を取り上げてきたミュージシャンは数え切れない。 ディランとの出会いは、ギターを弾き始めた小学6年の頃。僕はPPM(ピーター、ポール&マリー)の曲をよくギターでコピーして練習していた。そのなかでも好きな曲は、なぜかディランの曲が多かった。 「時代は変わる(Times, hey are changin')」「風に吹かれて(Blowin' the wind)」「くよくよするな(Don't thnk twice ,it's alright)」「When the ship comes in」。いずれも今やフォークのスタンダードにもなっている、素敵な名曲ばかり。 PPMは演奏していなかったが、その後、多くのミュージシャンがカバーした「Like A Rolling Stone」も大好き。とくにストーンズのアコースティック・バージョンは最高!(写真右=セカンド・アルバム「フリー・ホィーリン」=1963年発表。「風に吹かれて」「くよくよするな」を収録)。。 そんな曲を作詞、作曲したボブ・ディランという男はどういう人間なんだ? それが僕の出会いのきっかけだった。そして、ディランが当時出していたアルバムを聴き始める。はっきり言って、歌はうまくない。せっかくいい曲を書いているのに、わざと下手に歌っているんじゃないかという、ぶっきらぼうな歌い方。でも、曲はやはりいい。 その後、ディランはエレクトリック・ギターに持ち替えたり、レゲエやカントリー、ゴスペル、ブルースなどさまざまな音楽に傾倒し、実験的なアルバムを次々と発表し続けた。ザ・バンドやグレイトフルデッドらを従えてのツアーにも力を入れた(写真左=69年発表の「Nashville Skyline」。ジョニー・キャッシュとのデュエット「北国の少女」が秀逸! ジャケットで笑っているディランも珍しい)。 そうした姿勢に、フォーク歌手としてのディラン像を求めた初期のファンは離れていったが、また新しいファンも生まれた。80年代以降のディランの音楽活動は少し停滞気味になるが、それはディランが商業音楽でもはややるべきことを見い出しにくくなった結果かもしれない(写真右=70年発表の「Self Portrait」。このアルバムに収録の「マリーへのメッセージ」は最高です)。 85年のあの「ライブ・エイド」では、キース・リチャーズ、ロン・ウッドを従えてのトリオで、トリをつとめた。88年には、ジョージ・ハリスン、ジェフ・リン、トム・ペティ、ロイ・オービソンらと「トラベリング・ウェルベリーズ」を結成、話題を呼んだが、このバンドはオービソンの突然の死によって、1年足らずで自然消滅してしまう。 92年にはデビュー30周年記念のコンサートをマジソンスクエア・ガーデンで開く。ディランを慕う数多くのミュージシャンが集まった。このライブは、選曲も演奏も実にいい。DVDになって市販されているはずなので、ぜひ一度観て聴いてほしい(写真左=全米1位に輝いたアルバム「Planet Waves」=1974)。 その後のディランははっきり言って、音楽的にはぱっとしない。と言うよりそれをディランに求めるのは酷だろう。日本にも時たま来日し、コンサートをするが、客の入りはどうなんだろう。ぶっきらぼうで、なげやりな印象の強いディランだが、ライブでは結構、聴衆に話しかけたりする。でもボソボソとした英語だがら、聞く方はほとんど分からない。 ディランの曲はピアノ向きではないので、僕はBARではほとんど弾かない。それでも時々、お遊びであの超名曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」や「時代は変わる」を弾き語ったりする(お客さんの反応はいまいちだけれど…)。ともに何度聴いてもいい曲だと思う(写真右=とりあえずディランを知りたいと思う方はこのベスト盤がオススメ。1と2があります)。 ここ数年のディランは、英米の大学から名誉博士号を授与されたり、詩人としての才能を評価されてノーベル文学賞の候補に名前があがったりと、その手の話題が多い。でも、音楽はやめた訳ではないディラン。音楽誌のインタビューでも、まだまだアルバムづくりは続けていくと語っている。 僕個人としてはまぁ、これからもマイペースでやって、適度に話題を提供してほしいと願っているが、音楽的にはもうさほど期待はしていない。と言うか、60―70年代のあの名曲を残しただけでも、ディランはもう十分に、音楽界に貢献したと思っているから。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】