グレンファークラス: 多彩なシェリー樽由来が生む奥深さ/8月31日(木)
グレンファークラス(Glenfarclas=写真左は、オフィシャルの12年物)。日本でもモルトBARならまず、置いていない店はないスコッチモルトだろう。シェリー樽熟成モルトが好きな僕だが、この「グレンファークラス」を飲み始めたのは約6年半ほど前で、比較的最近だ。 その特徴は、シェリー樽由来による赤みがかった琥珀色と上品な甘さ、そしてピートを効かせたスモーキー香。同じシェリー樽熟成のモルトには、マッカラン、グレンドロナック、エドラダワーなど他にも有名な銘柄がある。 しかし、グレンファークラスの味わいは、他のどの銘柄とも微妙に違う。シェリー樽も、オロロソだけしか使わないマッカランとは違い、各種のシェリー樽で巧みに造り分けをしているという。 1836年の創業。ハイランドのスペイサイド地方にある蒸留所(写真右 ( C ) オフィシャルHPから)を興したグラント家は、元々は農家だったという。銘柄の名は、「緑の草原の谷間」を意味するゲール語に由来するとか。 買収に次ぐ買収で、次々と大手製造業者の傘下に再編されていく蒸留所が多いスコットランドで、このグレンファークラスは数少ない独立系業者である。しかも、創業者一族が今なお経営を続ける数少ない蒸留所でも知られる。 スコットランドでは元々人気があった銘柄だった。サッチャー元・英首相が大好きな銘柄としても有名だった。そして80年代以降、英国外へ数多く輸出されるようになってからは、欧米各国やアジア、とくに日本でもモルト愛好家に好んで飲まれるようになった。 オフィシャルも10年物から30年物(写真左)、さらには樽からほとんど加水せず瓶詰めした「105」(アルコール度数は60度!)まで多彩な商品を揃えているが、ボトラーズ(独立系販売業者)で扱うところが多いことでも知られる。 僕がBARでよく頼むのは、オフィシャルの「12年物」。オフィシャルの中でも「12年物が一番完成度が高い」という評判は、 バーテンダーからもよく聞くけれど、確かに安心して飲めるシェリー系モルトの一つだと思う。 もちろん、ボトラーズの「グレンファークラス」でも、面白いものがあれば、頼むこともあるが、時々期待を裏切られることも(写真右=3月の「テイスティングの集い」で飲んだ「105」のオールド・ボトル。旨かった!)。 オフィシャルの「25年物」でも、日本の酒屋さんでは1万円を切る値段で売っているところもある。良質のモルトを手頃な価格で提供したいという創業者の心意気の現れか?(18年物に2万円以上の小売り価格を付けている会社は、反省してほしいなぁ…)。 グレンファークラス。シェリー系モルトでマッカランしか味わったことのない方は、ぜひ一度、BARで頼んでみてください。また新たな「モルト観」が生まれるに違いない。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】