酒の友、遠方より来たりて…京でBAR巡り/10月31日(火)
東京からBAR好きの友人が遊びに来てくれたので、「久しぶりに、京都でBAR巡りを楽しもうか」と相成った。「さて、どこへ行きましょうか? 行きたいところ、ありますか?」「いやいや、お任せするよ」。そんなやりとりもあって、この夜出逢うBARは僕がチョイスすることに。 こういう機会には、リスクもあるけれど、まだお邪魔したことのない店を中心に攻める。期待外れだったというようなリスクはあるが、素敵な店に当たったときの喜びは大きい。 1軒目。烏丸御池から北東へ少し行った、閑静な家並みのなかにある「Bar Rosebank」(写真左上)。オープンして2年ほどのまだ若い店。マスターのMさんはまだ30代前半だけれど、京都の老舗Bar・K6出身の実力派。 店名から分かるように、Mさんは今はなき蒸留所(銘柄)である「Rosebank」に殊の外、強い思い入れがある。だから、ボトラーズ(独立系瓶詰め業者)での「Rosebank」の充実ぶりは凄い。 しかし、それよりも驚いたのは店内のインテリアのおしゃれなこと。普通のBARのような木目調の内装はあえて廃し、長い石のカウンター半分ほどに、右端から左端まで、本物の「せせらぎ」が流れている(せせらぎの水は循環するようになっている)。 そして、せせらぎの中に、1本の赤いバラ(写真右上)。それがスポット・ライトを浴びている。もう、なにをか言わんやである。せせらぎは、Rosebank蒸留所のそばを流れる川をイメージしたという。僕らはただただ、感心するばかり。 さて、2軒目。京都と言えば町家である。最近は町家を活用したBARも多い。そんななかで、前々から一度お邪魔したかった寺町通近くのBar「やなぎ野」(写真左)を訪ねる(「やなぎ」は「木へんに亜の下の横棒がない字」だが、パソコンの辞書でもなぜか出てこないなぁ…)。 表通りの町家の門灯にかろうじて店名が読みとれる。それだけが目印。細い路地を突き当たり、左に折れると坪庭があり、小さな離れがある。それが目指すBARだ。 シンプルな空間と聞いてはいたが、ほんとに究極のシンプルさ。白木のカウンターの上には何もない。バックバーもない。ただ壁に一輪の花が飾られているだけ(写真右)。店名はマスターの珍しい苗字からとったとか。 まだ時間が早かったせいか、僕らは初めての客だったよう。しかし、6、7人も入ればいっぱいになる。聞けば、来年早々、近くに移転する予定とか。もちろん、次に行く場所もまた町家だとか。楽しみだ。 3軒目。木屋町の三条を少し下がった処。「コルドン・ノワール」(写真左)というオーセンティックBARを訪ねる。ここはかつては「Main Bar」という老舗があった場所だが、「コルドン…」もオーナーは同じだから、姉妹店ということか。 「Main Bar」は今は祇園・縄手筋の南方へ移転したが、落ち着いた店の雰囲気は「コルドン…」にもきちんと受け継がれている。良心的な料金で楽しめるので、また来たい。 4軒目。10年ほどご無沙汰しているBARがあった。そこで、久しぶりに訪ねたのが「コルドン…」から、歩いてすぐの距離にある「Noily Bar」(写真右下)。ここも京都では今では老舗に近い存在かも。 ビルの6階。カウンターからはガラス越しに京都の夜景が見える。飾り気のないBARだが、居心地はとてもいい。でも居心地がいいからと言って長居はできないのがBARホッパーの性分。 5軒目。「コルドン…」で合流した友人の友人(京都市在住)が、「お連れしたい店がある」と言うのでタクシーで一緒に向かったのは、「Chez Quasimodo」という店(写真左下)。二条通と高倉通が交わった処から北へすぐ。角地の町家にその店はあった。フランス料理店みたいな店名だが、そこは、れっきとしたオーセンティックBAR。 温かい暖色系のライティングに包まれた店内。初めての人間には、中がそんな素敵な空間になっているとは、外からはとても想像できない。ジャズとシャンソンを愛するマスターは、物腰が柔らかく、優しそうで、親切を絵に描いたような方だ。気が付けば、店の片隅にアップライトのピアノが1台。当然、少し弾かせてもらった僕。どこか友人の家の応接間にお邪魔したような居心地の良さ。ここももう一度ゆっくりと訪れたいBARだと確信した。 さて、6軒目。もう時間(終電)も、体内のアルコールもそろそろ限界。で、最後の「締め」に、河原町方面へ戻る。最後に選んだBAR「文久」(写真右下)も町家の路地の奥。三条通りから二筋ほど北へ。 この頃になると、若干(いや、かなり?)酩酊気味。どうやって店にたどり着いたのか記憶が飛んでいるが、「やなぎ野」と同様、非常に見つけにくかったということだけは、はっきりと覚えている。 「文久」も小さなBAR。聞けば、花屋の蔵を改造したのだという。店名も、文久年間(1861-1864)に創業したという花屋にちなむ。店(蔵)はたぶん10人も入ればいっぱいの広さ。でも、幸い客は少なく、僕らは極上の時間を過ごすことができた。 京のBAR巡り。最後は、京都バーテンダーたちが注文して造らせたというオリジナルなモルトを頂いて、締めた。友人は「(京のBARを)十二分に堪能した」と言った。僕も、彼以上に堪能したかもしれない夜。千年の都は、夜の街も、訪れるたび新しい発見がある。 【Bar Rosebank】京都市中京区間之町通押小路上ル 075-222-0114 【Bar やなぎ野】寺町通姉小路西入ル 253-4310 【Bar コルドン・ノワール】木屋町通三条下ル 212-3288 【Noily Bar】木屋町通二条上ル 221-2932 【Chez Quasimodo】二条通高倉東入ル石屋町 231-2488 【文久】河原町通三条上ル2筋目東入ル 211-1982(営業時間、定休日等は各店へお問い合わせください)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】