金沢でBAR巡り(そして、輪島のことも)/4月29日(日)
前回の続き。「螢屋」での懐かしい再会を終えた僕は、あまり時間はないけれど、金沢最大の歓楽街、香林坊・片町エリアに戻って、BAR巡りをすることにした。 時間はもう夜の10時を過ぎているので、「今夜は3軒が限度かなぁ」と自分でつぶやきながら、最初に向かったのは、香林坊交差点から数分のところにある、Bar「マクリハニッシュ」(写真左=店の雰囲気は、BARというよりアイリッシュ・パブのよう)。 大阪で僕が懇意にしてもらってる複数のバーテンダーから、「金沢へ行ったらぜひマクリハニッシュへ」と勧められていた酒場である(店名は、スコットランドの湾の名前であり、現地の有名なゴルフコースの名前に由来するとか)。店長にHさんにご挨拶して、まずいつものようにジン・リッキーでスタート。 Hさんは、東京や大阪の帝国ホテルのBARでも仕事をしていたこともあって、BAR業界でもすごく顔が広い。「(僕が)大阪でよく行くBARはどこですか?」と聞かれてあれこれ答えたけれど、8割以上はご存じだった。 2杯目は「螢屋」から引きずった酔いをいったんクールダウンするために、「レッド・アイ」(ビールのトマトジュース割り)を頼む。するとHさんは「(レッド・アイを)ベースをギネスでやったことありますか?」と僕に聞く。 ギネスのレッド・アイは確か「レッド・ハット」と言ったが、一度は飲んだはず。でも、Hさんが「うちのは旨いですよー」と言うので、「それじゃ、久しぶりだし、お願い」と提案に乗る。う~ん、勧めるだけあって確かに旨い(写真右=マクリハニッシュ特製の「レッドハット」)。 さて、2軒目。片町交差点の方へ移動。「Bar・SPOON」(写真左下)という店にお邪魔する。こちらは、2週間前お邪魔した札幌の「Barやまざき」で、「うち出身のバーテンダーが切り回しているので、ぜひ一度覗いてみてください」と言われた酒場である。 完璧に近いようなオーセンティックBAR。マスターはHさん(偶然、「マクリハニッシュ」のマスターとイニシャルは同じ!)という。歳は50歳。郷里の金沢に帰って、このBar・SPOONを開いた。 オープンしてもう21年になるという。カクテルが得意というHさんだけれど、ウイスキーの品揃えも結構本格的だ。だから、僕は2杯目はシングルモルトを頼んだ。 カウンター席がメインのお店はとても落ち着いた雰囲気で、一人でも気持ちよくなごめる。「BarやまざきでSPOONのことも教えてもらいました」と伝えると、Hさんは嬉しそうな顔をした(写真右=Hさんとのツーショット)。 さて、今宵最後のBARはやはり、僕が四半世紀前に仕事をしていた頃からこの金沢にあった懐かしい「倫敦屋酒場」=写真左下=へ(偶然にもBar・SPOONから歩いて1分という嬉しい至近距離でした)。 あいにくマスターのTさんは不在だったが、店の雰囲気が昔とほとんど変わっていないのが驚くばかり。店内の壁に作り付けてある棚のミニチュアボトル・コレクションもそのままだ。 店にいたマスターの奥さんは「店内の部材(カウンターや椅子等)はほとんど変わってないんですよ。レイアウトは少し変えましたが…」と言う。2階建ての隣家を買い取って改造したこともあって、団体客にも十分対応できるスペースが増えていた。 僕は昔この「倫敦屋」でよく飲んだモスコー・ミュール、そしてバーボンのソーダ割りを頼んで、思い出に浸る。「あのテーブル席で金沢の同業の友人の婚約祝いをしたなぁ…」。僕は思わずつぶやいた。 帰り際、僕は「昔よくお邪魔していたので、きょうはとても懐かしくて、嬉しかったです」と奥さんに伝え、自己紹介をした。 奥さんからは、マスターのTさんがつづったエッセイ(人生相談的な内容)を収録した文庫本をお土産にいただいた(写真右=倫敦屋酒場の店内)。 倫敦屋は昔と変わらず、温かい雰囲気で僕を迎えてくれた。四半世紀前、金沢で通ったBARで今も続いているのはここくらいしかない。そんな酒場が今も残っている幸せ。僕はここに来ればいつでも、20代前半の頃にタイムスリップできる。 【Bar MACHRIHANISH】金沢市木倉町2-4 西野ビル2F 電話076-233-0072 【Bar SPOON】金沢市片町1丁目5-8 シャトウビル1F・2F 電話262-5314 【倫敦屋酒場】金沢市片町1丁目12-8 戸田ビル 電話232-2671(営業時間、定休日等は各店へお問い合わせください) 【追記】金沢の翌日25日に訪れた輪島のことを少しばかり記します。あの能登半島地震から1カ月。輪島市内は、一番被害のひどかった門前地区を除いて、ほぼ地震前に戻りつつあります。その門前地区でも仮設住宅への入居が28日から始まりました。 しかし、風評被害の影響もあって能登に観光客はまだ十分戻ってきていません。有名な輪島の朝市もさびしい賑わいでした(写真左)。 風評被害は地震の被害の少なかった和倉温泉にも及んでいます。大企業の立地が少なく、観光が基幹産業でもある石川県の場合、県外観光客の減少は県の経済にとって直接的なダメージになります。 復興支援といってもいろんな形の支援があります。物や救援金を送るのももちろんいいことなのですが、現地の人に話を聞くとやはり、「観光客が来てくれてお金を使ってくれることが一番の励ましになる」と言う人が多いのです。 僕も、25日の夜は輪島のお寿司屋さんでしっかり食べて、翌26日朝は朝市であれこれ買い物をして帰りました。「ここでお金を落とすことが今の自分にできること」だと思ったからです。皆さんもぜひ、元気を取り戻した能登へ遊びに行ってあげてください。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】