サンボア・グループ11店飲み比べ/3月29日(日)
90年以上の歴史を持つ関西屈指の老舗BARグループ「サンボア」(SAMBOA)のことはこれまでも折りに触れて何度か書いた(例えば、2005年3月12日の日記)。しかし、うらんかんろがまだ取り組んでいなかったことがあった。サンボア・グループ11店(この投稿当時でのグループ全店。※その後増えて2021年4月末現在では15店になっている)の「詳細な紹介」と「飲み比べ」である。 一口にBARサンボアと言っても、一様でない。微妙に違うのである。他のサンボアでは常識であっても、別のサンボアでは通用しないこともある。そもそもメインのお酒だって、「サンボアだから当然、サントリーの角瓶でしょう」と思っている貴方、そうじゃないという事実に驚かされるに違いない(写真右=堂島サンボア)。 貴方の持っている「バー・サンボアの常識」は当たっているのか。うらんかんろも今回11店すべてを改めて訪れて、初めて知った驚くべき事実がいろいろある。それではテーマごとに紹介していこう。 【メインのウイスキー】 バー・サンボアと言えば「ハイボール」が代名詞。そしてハイボールに使われるウイスキーの銘柄は基本的には、前述したように「サントリーの角瓶」である。 しかし、なぜか京都(寺町)サンボアと木屋町サンボアだけはニッカである(ちなみに、京都サンボアはグループ最古の歴史を持つ店)。前者はなんと竹鶴12年(ハイボールで飲むなんてもったいない!)、後者はスーパー・ニッカを使う(なお、竹鶴12年のコンスタントな入荷が難しくなってきた2015年頃からは、京都サンボアもスーパー・ニッカに切り替えたと聞いています)。 理由は正確には知らないが、BAR業界関係者に聞いたところでは、京都サンボアはサントリーの営業マンとある時、喧嘩別れしてから、ニッカ一本に宗旨替えしたのだとか(個人的にはやはりサンボアを名乗る以上は「角瓶」でやってほしいと思うのだけれど…)。(写真左=北サンボア)。 【氷を入れる・入れない】 サンボアと言えば、ハイボールに氷は入れないというのが定番。グラスに冷凍庫で冷やした角瓶とこれまたキンキンに冷やしたソーダを注ぎ、仕上げにレモンピールをさっとかけるのが正しいハイボールだ(写真右=北新地サンボア)。 店によってはグラスまで冷蔵庫で冷やしておいてくれる店もあるが、ほとんどの店は常温保存のグラスに注ぐ。だからいくらウイスキーとソーダがよく冷えていたとしても、20分以内で飲み干さないと美味しくは飲めない。 なお、「サンボア=氷なしハイボール」と書いたが、前項で紹介した京都サンボアと木屋町サンボアはなぜか少量の氷を入れる。理由はあえて聞かなかった。聞いても、「うちは最後までぬるくならないように、氷を入れた方がいいと思ってるんです」という答えが返ってくるのは予想できる。京都サンボアと木屋町サンボアは、サンボア・グループの「異端児」ということなんだろう(写真左=ヒルトン・サンボア)。 【飲むスタイル】 サンボアと言えば、これまたスタンディングで飲む店ばかりと誤解している人も多い。確かにカウンターがスタンディングの店は多い。堂島。北、梅田、北新地。銀座の5店はそう。しかし、それ以外の6店にはカウンターに椅子がある。またカウンターがスタンディングの店でも店内の別の場所に椅子席もあるので、疲れた場合はそちらに移動することもできる。 ハイボールは基本的にダブル(ウイスキーが60ml)で供される店が多い。これが強すぎるという方は、「シングルでお願いします」と頼めばそうしてくれる。ただし、お値段は半額とはいかず、100~200円お安くなるという程度(写真右=梅田サンボア)。 【付き出し】 「サンボアの付き出しと言えば、そら、南京豆に決まっているでしょうが」と思っている貴方、そうした先入観も大きな間違い。今回11店を回って、うらんかんろもそのバリエーションの多さに驚いた次第。 南京豆だけを出しているところは堂島、北、北新地、京都、木屋町、銀座の6店だけ。その他の5店は、梅田=塩豆、ヒルトン、南、島之内=南京豆とピクルス、祇園=ホット・サンドイッチだった(写真左=南サンボア)。 という訳で、付き出しとチャージ(後述)のコストパフォーマンスで比較してみると、ヒルトンと南、島之内の3店が一番お得感がある。個人的には、ヒルトンのピクルスは結構いける味わいで気に入っています。 【雰囲気】 サンボアだから基本的には英国調でウッディな造りの店が多く、どこもまず落ち着いて飲める。ただし、歴史と伝統に裏打ちされた重みという点では、やはり北、堂島、京都の3店が群を抜く。どの店も内装を見ているだけでも飽きない(写真右=島之内サンボア)。 個人的には、比較的新しいサンボアだけれど、北新地とヒルトンも大好きだ。前者のバック・バーの棚はあの伝説の名バー「コウベハイボール」のものを移築したもので、一見の価値がある。後者は意外といつもすいている都会の穴場で、ゆったり落ち着けるカウンターがとてもいい。 【ハイボール1杯のお値段】 サンボアだからハイボールのお値段は基本的にはリーズナブルだけれども、1杯のお値段は当然、店によってかなりばらつきがある。梅田、島之内=700円、堂島、北、ヒルトン=800~850円、北新地、南、京都、木屋町、祇園、銀座=900~1000円(写真左=京都サンボア)。 グラスの大きさや作り方も微妙に違うから、どの店が一番とは一概には言えないが、コストパフォーマンス的に言えば、堂島、北、ヒルトンが僕のおすすめ(なお、1杯の値段を「消費税込み」にしている店もあれば、「税別」の店もあります)。 【チャージ】 「サンボア=ノー・チャージ」と意外とみんなそう思っている。しかし、今回改めてお邪魔してお勘定をしてみた結果では、多かれ少なかれ何らかのチャージはとられていることを確認した。その額も店によりまちまちだ(写真右=木屋町サンボア)。 150円(北)の店もあれば400円(祇園)の店もある。だいたいが200~300円だ。ただし、どんなに高い店でも銀座や北新地で無意味に法外なチャージをとるBARに比べれば、十分良心的であることは言うまでもない。 【キャパ】 店の広さはまちまち。比較的広い店で言えば北新地、北、ヒルトン、南、銀座。中くらいなのは堂島、京都、祇園の3店(写真左=祇園サンボア)。 梅田、島之内、木屋町は10人も入ればいっぱいになるような小さい店だ。なお北新地と銀座では、広いキャパを生かして時々ライブ演奏などの催しもある。 【その他】 ・北サンボアと南サンボアでは、おしぼりまで出してくれます(北サンボアは、マスターも奥様もいつも笑顔で親切で、とても気持ちのいい接客です)。 ・午後3時開店の北新地と銀座では、6時までは「ハッピー・アワー」として、65歳以上は半額という嬉しいサービスをしています。それ故、開店後の早い時間帯はお年寄りが一人でふらっと来て、楽しそうに飲んでいる姿をよく見かけます(写真右=銀座サンボア)。 ・ヒルトン・サンボアでは、サンボア・グループではただ1軒、ランチもやってます。 ・祇園サンボアの正面玄関には素敵な暖簾がかかっています。暖簾の「サンボア」の文字は、ここの常連だった作家の故山口瞳氏の筆で、とても味わいのある筆致です。一見の価値があります。 ・京都と木屋町のマスターはスモーカー。目の前でタバコを吸われるのがお嫌いな方は行かない方がよろしいかと。 ◆サンボア・グループ(営業時間は各店へお尋ねください)【堂島サンボア】大阪市北区堂島1-5-40 電話06-6341-5368 日祝休 【北サンボア】同北区曽根崎2-2-12 電話6311-3645 日祝&第2土休 【北新地サンボア】同北区曽根崎新地1-9-25 玉美ビル1F 電話6344-5945 無休 【梅田サンボア】同北区角田町9-26 新梅田食堂街2F 電話6312-8987 日休 【ヒルトンサンボア】同北区梅田1-8-16 ヒルトンプラザイーストB2F 電話6347-7417 無休 【南サンボア】同中央区心斎橋筋2-1-10 電話6211-0215 日祝休 【島之内サンボア】同中央区東心斎橋1-6-23 清水町会館1F 6241-9513 日休【京都サンボア】京都市中京区寺町通三条下ル桜之町406 電話075-221-2811 火休&第2水休 【木屋町サンボア】同中京区西木屋町通四条上ル紙屋町367 電話222-2389 月休 【祇園サンボア】同東山区祇園南側有楽町570 電話541-7509 月休 【銀座サンボア】東京都中央区銀座5-4-7 銀座サワモトビルB1F 電話03-5568-6155 無休【追記】2010年以降、サンボア・グループでは新たに4店がオープンして、2022年1月現在、計15店となっています。新しくできた4店を以下ご紹介しておきます。いずれも素敵な雰囲気の店です。【数寄屋橋サンボア】東京都中央区銀座7-3-16 東五ビル1F 電話03-3572-5466 日休(2010年10月開業)。【浅草サンボア】東京都台東区浅草1-16-8 電話03-6231-7994 水休(2011年2月開業)。※オーナーは北新地サンボア、銀座サンボアと同じです。【天神橋サンボア】大阪市北区天神橋3-8-3 電話06-6360-4212 火休(2013年8月開業)。 【神戸サンボア】神戸市中央区加納町4-2-1 電話078-381-8179 定休日は現時点では未定(2021年4月26日開業)。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】