fujiya1935:アイデア溢れてスタイリッシュ。なおかつ美味!/4月27日(月)
関西でいま一番予約がとりにくいレストランの一つに、大阪の「fujiya1935」という店があります。そこに先日、念願叶ってようやくお邪魔することができました! 何度も電話をして、希望日を告げても3度ほど「予約で満席」と振られ、4度目の正直で実現しました! 「fujiya」はスペインのレストランで長年修業した若きシェフ藤原哲也さん(若いと言っても30代半ば)が開いた洋風創作料理の店です。シェフのお父さんは近所で別の洋食屋さんの3代目なので、藤原さんは洋食屋の4代目とも言えます。ちなみに店名に付く「1935」は藤原シェフの曾祖父が初めて店を開いた年にちなんでいるとのこと。 「fujiya」がいまなぜ人気を集めているのかと言えば、一つひとつの料理のボリュームをおさえて、たくさんの種類が食べられる「多皿料理」と、その意表を突く芸術的なアイデアとオリジナリティ(創作性)でしょうか。スパニッシュとイタリアンをベースにしたモダンで、スタイリッシュな料理が次々と出てくるのが自慢です。 加えて、厨房を藤原シェフご夫妻が担当し、夜の全18席のフロアはシェフのお母さんがとり仕切るという家族経営の店なので、とてもアットホームな雰囲気もとても心地よいのです。この夜出てきた料理は全11皿(17種類)。とにかく料理が出てくるたびに、思わず唸ってしまい、ただ驚かされるばかりです。順番に紹介していきしましょう。 まず、(1)ホワイトアスパラの自家製プッチンプリン=写真左上。まろやかで、ホワイトアスパラの味と香りが上品にしみ込んだプリンです。次に(2)とても手の込んだ、目にも楽しい軽い前菜5種盛り合わせ(写真右上)が出てきました。アーモンドのメレンゲ、イカ墨リング、ピーナッツのスナック、サフラン・カラメルのポップコーン、生とマシュマロのピスタチオ。 一枚の石でできたお皿もとてもモダンで、スタイリッシュです。5種類の中では、ピーナッツのスナックとサフラン・カラメルのポップコーンは秀逸! ただイカ墨リングはまぁ、想像通りの味わいでした。 (3)皿目=写真左上=は、ウスイエンドウ豆(エンドウ豆の品種の一つです)とハマグリのスープ、「緑の目玉焼き」添えというタイトル。黄身を落とした周囲の豆のスープがゼリー状になっていて、これを卵の白身に見立てるという発想。なるほど! 上品で繊細な味わいです。ここで、エンドウ豆の入った変わったパン=写真右上=が出てきました(豆風味の蒸しパンという感じですが、これはとくに驚くような味ではありませんでした)。 飲み物は料理に合わせた3000円のグラスワインのセット(スパークリング、ワイン=白、赤計3種、食後酒の計5種も!)があると聞いていたので、それをお願いしました(これは、超リーズナブルで、ホントおすすめです)。 (4)皿目。ブラウンマッシュルームのスパゲッティーニのトリュフ添え=写真左上。我が家の好きな細いタイプのスパゲッティです。生マッシュルームのスライスとトリュフとの香りのハーモニー、食感が絶妙です。マッシュルームとトリュフがいっぱい載っていて感激です。量も適量で、コースの途中で食べるにはちょうどいい感じです。 続いては魚料理。(5)金目鯛と温春野菜=写真右上。シンプルな味付けですが、身に下味はしっかりついていて、付け合わせの旬の春野菜も旨いです。少しこってりしたパスタの後にはぴったりの一品です。 魚料理の後は「口直し」なのかどうか、(6)トリプルチップスとモリーユ茸添え=写真左。モリーユ茸は、傘の部分がメッシュ状になっている珍しい、高価なキノコ。初体験でしたが、日本では食べたことがない不思議な味わいでした(ただ、ポテトは「トリプル」の名の通り3回揚げているというのですが、そうすることの狙いがいまいちピンと来ませんでした)。 (7)皿目は「4週間熟成した但馬牛・ふきのとうクリーム」=写真右上。これはまぁ、いわゆる美味しいステーキという感じ。旨いお肉を完食した後は、またまた口直しに(8)ピスタチオの生キャラメル。出された時点では、白い煙がまだ立ち上っています。どうやら、(マイナス196度の)液体窒素で瞬間冷却した状態で、すぐサーブされるのです。ひんやりした食感と甘さとピスタチオの香りがうまく調和して、たまりません。口に入るととろけます。こんなアイデアがいったいどこから生まれるのでしょうか。 さらにもう一品、(9)「木の枝」と題したお口直しも=写真左上。一瞬何かと思いましたが、これはチョコレート。木の枝のように造り、植木鉢のような器に立てるという、遊び心あふれるアイデアが楽しいですね。 さて、本格的なデザートはまだこれからです。(10)キンカンのバニラ風味=写真右。さっと煮て(?)柔らかくしたキンカンにラム酒にバニラとココナツミルクの風味がうまくからまって、いまだかつて食べたことがないような不思議な風味です。 これで終わりかと思ったら、「カカオのエアー」と題したデザートの塩キャラメル添え=写真左。生クリームを泡立て、大きくした状態でカカオパウダーをまぶし、(これもおそらく)液体窒素で瞬間冷却をしたデザートです。食べているうちに、どんどん小さくなってきます。めちゃ面白いです。 ここで、ママがやってきて自家製の食後酒(リキュール)を4本、目の前に運んできました=写真右。イチゴ、梅、マンゴ、レモンの4種。1人2杯ずつ飲めるというので、4種類すべてを頼みました。どれも程良い甘さで、いい味わい。旨いです! 満足感と言う言葉があるなら、それはこの夜の料理と酒にあるのでしょう。夜のコースは8300円(税込み、サービス料は別途5%)のみですが、量もちょうど良い感じ。これで料理と酒で11,300円ははっきり言って、超お値打ちです。100点満点という訳ではありませんが、90点は十分付けられる料理・酒とサービス。季節を変えて、また訪れてみたいと思わせる、素晴らしい店でした。【fujiya1935 】大阪市中央区鑓屋(やりや)町2-4-14 電話06-6941-2483 午前11時半~午後2時、午後6時~9時半 日休&第一月休 地下鉄・堺筋本町駅または谷町4丁目駅から徒歩約5分(※ランチ営業もやっていますが、行った人の話によれば、「夜とはまったく違った普通の洋食風なので、行くなら絶対に夜に!」ということでした)【追記1】ショック! 「fujiya1935」は大阪の店をたたんで、東京へ進出するんだという話を聞きました。シェフは以前から「東京で勝負がしたい」と思っていたのだそうで、未確認ですが、かなり確度の高い情報とのことです。大阪の店は年内いっぱい(?)だとか。「fujiya」へまだ行かれていない人はお急ぎを!(それにしても大阪を見捨てるなんてひどい…。東京でなくても、本当に評価されるべきものは評価されるのに…。ちょっとがっかりです)=0428記。【追記2】その後、上記とは違う情報も耳にしました。あるお客さんが僕と同じような噂を聞いて、シェフのお母さん(いつもフロアを仕切っておられる)に直接尋ねたそうです。するとお母さんは「単なる噂ですよ」と否定されたとのこと。しかし、「火のないところに煙は立たず」です。本当に「噂」だけなのか…? 真実かどうかはいずれ判明するでしょう=0527記。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】