スペインへの旅(10)バルセロナ編<上>/10月20日(木)
9月24日(土)の深夜、僕らはグラナダから空路バルセロナに到着。いよいよスペイン最後の訪問地だ。ホテルは「4(Cuatro)Barcelona」という2年前にオープンしたばかりのスタイリッシュな内外装(しかし、ホテルの立地はまたも、バルセロナの観光スポットから地下鉄で15~20分ほどの外れた場所にあり、「HISさんよ、またかいな!」とぼやきたくなる)。 言うまでもないが、バルセロナは人口160万人の、スペイン第二の都市だ。そして、バルセロナと言えば、あの建築家のガウディ、そしてガウディといえばあのサグラダ・ファミリア聖堂(Bas?lica de la Sagrada Fam?lia)(写真左)である。 空港からホテルへ向かう車から、ライトアップされたサグラダ・ファミリアが遠くに見え、いよいよバルセロナに来たということを実感する。 翌朝25日(日)は早めに起きて食堂へ向かう。朝食場所のホテル・スタッフにバルセロナの地元カタラン語で「ボン ディア(Bon dia)」(おはようございます)と挨拶。カタラン語はバルセロナを含むカタルーニャ地方で、今も地元の人たちの間で普通に話されている。 すなわち、バルセロナの人たちは標準スペイン語とカタラン語のバイリンガルということ(ちなみに、サッカー「リーガ・エスパニューラ(スペイン一部リーグ)」のバルセロナ・チームでは、カタラン語が公用語なんだとか)。(写真右=サグラダ・ファミリアの入場を待つ人たち)。 早速タクシーでサグラダ・ファミリアへ(ホテルからは10分余)。アルハンブラと並ぶ、スペインを代表する人気観光スポットだから、きっと朝から長蛇の列をなしていると想像したが、ここも意外と少なかった。 僕らが開門15分前の8時45分に着いた時点で、聖堂を取り囲んでいる観光客は70~80人程度。アルハンブラ宮殿(グラナダ)も意外とすいていたし、9月下旬というのは気候も良いし、スペイン観光には狙い目の季節なのかもしれない。 予定通り9時に入場チケット窓口が開いて、列が少しずつ動き始める。窓口では、主に2種類のチケットを売っている(写真左=サグラダ・ファミリアの内部。柱が立ち方がとても複雑です)。 1階の屋内部分だけを見学するチケット、そして加えて、エレベーターで聖堂の上にも上がれるチケット。日本でここを訪れたことのある友人からは「エレベーターに乗って、上へあがった方が絶対にいい」と聞いていた。 そして15分ほどで僕らの番が来た。窓口では当たり前だが、英語が通じる。「Two elevater tickets, please」と僕。すると窓口のおねえさんは「Sorry, today, no elevaters, because we’ll have a big mass(ごめんなさい、きょうは大きなミサがあるので、エレベーターは休止よ)」と言う。 なんというタイミングだ。今回の旅では、ヘレスでお目当てのバルが改装中だったり、ほんとに運が悪い。しかし「それも含めてが旅だよ」と自分に言い聞かせる(写真右=聖堂1Fの天井。その美しさに息をのむ)。 という訳で、聖堂の上にはあがれなかったけれど、1階内部や低層部の外観、地下のミュージアム部分はじっくり拝観できた(写真左=偉大な天才建築家・アントニ・ガウディ(1852~1926))。 皆さんも十分ご承知だけれど、1882年に着工したサグラダ・ファミリアは今なお未完成で、ガウディの遺志を継いだ技術者や職人たちによって工事が続けられている。聖堂の側には、建設中であることを象徴するかのように、巨大なクレーンがそびえ立つ。 ガウディは建築途上の1926年6月7日、ミサに向かう途中、路面電車に轢かれて亡くなった。享年73歳。生涯独身だった。遺体は聖堂内に埋葬されている(写真右=サグラダ・ファミリアは今も建築途上)。 サグラダ・ファミリア聖堂が完成するのは、当初は200年後とも言われたが、技術的進歩等もあって、完成までの期間は近年、大幅に短縮されている。 コンピューターによる3次元設計技術が大きく進歩したことに加えて、建築材料として石の代わりにコンクリートを大幅に使用するようになったからだ。公式発表によれば、ガウディ没後100年の2026年に完成予定という。 さて、エレベーターの運行休止という予想外の事態のために、サグラダ・ファミリア見学は意外と早く時間が済んでしまった(午前中いっぱいはかかると踏んでいたが…)。 そこで、昼御飯までに同じくガウディの名建築で、人気スポットにもなっている「カサ・ミラ」(写真左上)「カサ・バトリョ」(いずれもサグラダ・ファミリアからは徒歩圏内)も見ておこうと決めた(写真右=カサ・ミラの内側は空まで見える吹き抜けとなっている)。 「カサ・ミラ」は1906年から4年かけて建てられた石造りのアパートである。ガウディは直線を限りなく排除し、ゆがんだ曲線を用い、「山」をテーマに設計した。屋上には山の頂きのような石の煙突がそびえる(写真左)。この奇抜な発想にただ驚くだけ。 一方、バルセロナのメイン・ストリートの一つ、グラシア通りに面している「カサ・バトリョ」(1904年~06年)も同じ石造りのアパート(写真右)。こちらのテーマは「海」。 外壁に埋め込まれた色ガラスは「海面のさざ波」を表現しているという。太陽の光に反射した色ガラスは、濃淡さまざまにキラキラと輝き、とても美しい。見れば見るほど不思議な気分になる建物だ。 さてガウディの名建築3カ所を見終えると、そろそろお昼どき。お腹もすいてきた。バルセロナで昼夜の御飯を食べる処は、ブログの友人が教えてくれた店を第一候補にしている。 昼御飯はまず、グラシア通りからも近い「セルベセリア・カタラナ」(Cerveceria Catalana)という名の、おしゃれな雰囲気のバル&リスタウランテへ=写真左。 幸い、カサ・バトリョからもすぐの距離。「地元の人気店なので、13時を過ぎると込み合うから早めに行くこと」と言われていた。だから、余裕を持って12時頃に店に着いた。 店内は、運よくまだ3割程度の客の入り。椅子のあるカウンター席もあったが、カウンターにはまだあまりタパスが並べられていないためなのかどうか、僕らは奥のテーブル席に案内された。 僕らが頼んだのは、「素揚げジャガイモのブラバス・ソース」(パタタス・ブラバス)=写真右、「獅子唐の揚げ炒め」(ピミエント・デ・パドロン)のほか、「カタクチイワシの素揚げ」(ボケロネス・フリトス)=写真左、「マッシュルームの炒めもの」(チャンピニョネス・ア・ラ・プランチャ)、「クロケッタ(「コロッケ」の意)=写真右下=という5品。 5品も味わえたのは、ここのメディアラシオン・サイズが1~2人前くらいの程よい量だったこと。他のバルも見習ってほしいなぁ(ただし、友人おすすめの「マテ貝」は昼のメニューだったためか、尋ねたけれど「ない」と言われた。残念!)。 ちなみに、この「カタラン」では細長いバゲットのようなパンを使ったオープン・サンドイッチも名物らしい。上に載せる具材は20種類から選べる。 だから、僕ら以外の地元の人らしい客は、このオープン・サンドイッチをほおばりながら、カフェ・ラテを飲むという人も結構多かった(昼間だけど、僕らは当然、ビールとティント・デ・ベラーノ、そして友人おすすめのサングリア・デ・カヴァ) そして特筆しておきたいのは、この「カタラナ」の料理のレベル。訪れた旅行者のほとんどがネットで高い評価を残していたことからも、安心はしていたが。僕らの予想を超える美味しさで、今回の旅で訪れたバル&リスタウランテの中でも、最も洗練された味わいだったと断言できる。教えてくれた友人に心から感謝! 【バルセロナ編へ】こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】