テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:イタリアお役所戦記
最近、特筆するような気持ちを揺さぶる事件がない。毎日のようにあった今までが異常だったか?というか、あまりに立て続けにいろいろなことが起こるので、だんだん神経が麻痺してきたんだ、と自己診断している。
家の事は6月8日に裁判所に弁護士と出向いて、はじめての申し立てをすることになった。 そして、もうご記憶の方は少ないと思うが、去年7月に追突された事故。 あれもまだ保障が降りてない。事故直後、おっとが書きこんだ書類にたった一箇所、間違いがあったのだ。(チェックシートの一箇所を間違えて○した。)それを盾に相手は、被害者であるおっとに罪をなすりつけ、やつのクルマの損害賠償をしろ、と言って来たのである。最初、このニュースを聞いたときは、開いた口がふさがらなかった。 あの時、急いでいたのはわかるが、おっとが自ら「示談にしましょう。」なんて言うから!!←またもや国際離婚を考えるわたし。 壊れた助手席のドアはだいぶ前から錆が浮き始めたので、自腹で応急処置だけ修理屋にやってもらった。 これも6月14日にわたしが裁判所に目撃証人、として出向いて証言をする。 この件に関しては、おっとがかけている自動車保険で全てカバーされるので、わたしたちの懐は痛くはならないのだが、とにかくバカバカしい。きっとこれがわたしたちもイタリア人だったら、ここまでなめられた事には至らなかったと思うのだ。 そういえば思い出した。 以前わたしがマーベルと住んでいたアパートに住んでいる日本人の独り暮しのご婦人も、片言の日本語を喋るスリランカ人と行き付けの日本料理屋で親しくなった。 ある日、彼の身の上話を聞いていると「本国にいる妻と子供を呼び寄せたい。そのために家を買いたいのだが、銀行が融資してくれない。申し訳ないが、代わりに家を買ってくれないだろうか?家の代金は毎月、あなたに払うようにするから。」と懇願された。 彼女曰く、彼は品性があって礼儀正しいスリランカ人だったようである。 彼女はわたしのようにイタリアに来てから、地を這うような生活は送った事がないようなお金持ちのご婦人である。心から同情し、彼の望むままのミラノ中央駅近くのアパートを(たぶん)一括購入してあげたのだった。 つまりは名義はご婦人のもので、彼は家賃の代わりに少しづつローンを払って払い終わった時に自分のものになる、といった形である。銀行のローンとかじゃないから、きっとお得に違いない。 彼は喜んで、すぐさま妻と子供を本国から呼び寄せたようだ。 そして、まじめに彼は毎月、彼女にお金を持ってきて、彼女は彼持参の領収証にサインをし。。。とやっていたのだが、ある時から彼がお金を持ってこなくなった。 ご婦人は「どこかにバカンスにでも行っているのかしら?」と思っていると、ある日いきなりこの男が雇った弁護士からレターが来たのだ。 内容は「あなたはこの男への支払いを滞っています。至急支払わない場合は云々カンヌン。。」と書いてあるではないか!? どういうことかしら~~~~~~っ????とご婦人は気を失うようなショックを受けたらしい。 そこで彼に問い詰め様にも「弁護士を通さずには話はしません。」とコロリと態度を変えた一点張りである。 しかたなく彼女も弁護士を雇って調べたところ、わたしはちょっとここのところ詳しく理解できなかったのだが、どうやら過去にいつものように彼が持参した「領収証」なるものが、「所有者の名義変更」だか、とにかく立場を逆転する書類だったようだ。彼女はこの男を信用しきっていたので、ろくに目も通さずサインをしてしまったのである! つまり彼女はこの男にアパートを巨額のお金を出して買ってあげた上、ローンでこの男に毎月その倍になるお金を払っていかなければならなくなり。。。の形である。 OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHHHHHHHHH、NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!! なんじゃそりゃっ!!??完全な詐欺に乗っ取りやんけっっ!!!!! 完全になめられてる。平和ボケ金持ち日本人と思ってバカにしやがって~~~~っ! ゆ・る・さ・ん!!!!!!! ↑彼女の心情をわたしなりに表現。 ここから長い裁判が始まった。あの時期の彼女の疲れ切ったうつろな目を思い出した。「親切をした、というのにどうしてこんな目に遭わなきゃいけないの?バカなわたし、バカなわたし!」とお会いするたびに聞かされた。 冬のある日に電話をすると、ひどい風邪を引かれてて「裁判にかかるお金を稼ぎに明日からドイツに行って参ります。」と弱々しい声で電話を切った。 あの時、わたしはあの優雅なご婦人から「お金を稼ぎに。」なんて言葉が出るとは思わずショックを受けたことが忘れられない。 とにかくどれぐらい彼女は荒波に揉まれたのだろう?ある日「とうとう裁判で勝利しましたよ!」と喜びを込めたメールをもらった時、わたしは「当たり前じゃん。」とそっけなく思ったのだが、今はその気持ちがわかる。 (後日談:この後、この男はミラノの同国人を牛耳る闇のボスだと判明。妻と子供はとっくの昔から別のアパートに住んでおり、彼女の購入した小さなアパートの一室から10人以上も住みついていた、しがみついてなかなか出ていかないスリランカ人を追い出すのに警察を動員して苦労したようである。) このイタリア、「勧善懲悪」の図式が、そうそう簡単には成り立たないのである! そしてサイン社会のおそろしさ。。。 わたしは日本にいたときは親元から仕事に通う、言って見れば「不完全自立」な大人だった。ということもあるが、「ハンコなんてお中元お歳暮が来た時の受け取り印と、銀行の開設にだけ必要なもの。」と思っていた。 しかし、ここ最近はちょっとしたものにサインをするときも、いかに相手が急いでいようがじっくりその場で書類を読むか、相手に書いてある内容をしつこく聞くようになった。 我々の家の諸々の書類に、不動産屋を信用してろくに目を通さずサインをしてきたものが多い。だって、それなりのお金を払っているんだから、それなりに向こうもちゃんとしてくれるのが、当たり前、と思っていたからだ。(←この辺まだまだ平和ボケの習慣が取れていないのである。) この過去のうかつさが、裁判で裏目に出ない事を願いつつ。。。。 弁護士から連絡があるまではなるべくそのことを考えないようにしている毎日である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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