カテゴリ:家探し、購入から入居まで
お久しぶりです。ここ数日、いろいろな事件は発生しまくっていたものの、諸処の事情で日記に書けず(書くことも恐ろしいぐらい、あ~んなことやこ~んな事が起こっていたと、皆さまご想像で楽しんでくださいっ!)、もどかしい思いをしておりました。
さて、これはわたしたちの家の裁判の話です。苦笑 タイトルどおり、今朝9時半がいよいよ裁判初日だった。 わたしたちは前日から落ち着かず、とうとうといまで落ちてしまった屋根の写真を何枚も撮ったり、お隣のカルラたちと不安を紛らわせ、勇気を出すべく長いこと外で立ち話をしたりして過ごし、今朝は目覚まし時計が鳴る1時間以上も前に起き出して、まだまだ早いのに早々に家を出発したのだった。 裁判所の場所はGPでお馴染みのモンツァ市の中心街。 早く着き過ぎたわたしたちはとにかく裁判所の前に行く。ここの裁判所は商店街のど真ん中にあって、警察の囚人護送車が扉の前に停まっていなければ、なんの建物だかわからないような地味なところだ。 はじめて中に入った。 中は広いホールになっていて、正面には最近描かれたであろうへたくそなフレスコ画がある。女神が天秤と剣を持ち、悪を罰している画だ。それを取り囲むように小さな裁判室が並んでいる。 わたしたちはホールの隅の小さな赤い待合室のような安っぽいイスに腰掛けて周りを見回した。 ホールにはたくさんのひとがいた。 わたしたちははじめてなので、おっとは冠婚葬祭にしか着ない唯一のスーツを着、わたしものりの当たった白いシャツでかしこまって登場したのだが、そこにいるひとたちは、ジーンズ、Tシャツ、などと普通。というか着崩れた感じを受けた。ちらほらスーツ姿が見えるのは各々の弁護士だけのようだ。 やっと我々の弁護士との待ち合わせの時間の9時15分になるがまだ彼は現れない。 緊張は高まる。 わたし「わ、わたし、うちの弁護士が来る前に不動産屋のほうが先に来たら、殴っちゃうかもしれない!ウッキ~!!」 おっと「ヘタなこと、するなよ。」汗 おっとの携帯が鳴った。 弁護士「どこにいるんですか?」 おっと「裁判所の中ですけど?」 弁護士「ああ、それじゃああなたたち、刑事専門の裁判所の方に間違えて行かれたんですな。外に出てくださいな。」 ああ、どうりでこっちの裁判所は強面なおっちゃん、おばちゃんが多かったわけだ。 外に出ると、角から弁護士が手を振っているのが見えた。 弁護士は角を曲がり、突き当たりにある宮殿を改造した立派な裁判所に我々を導いたのだった。 さっきのエセフレスコ画とは違って、本物のフレスコ画が天井に描かれてある大理石の階段をあがりガラス張りの回廊を突き当りまで進んだところで弁護士はある立派な扉の前で止まった。扉に貼られた紙を確認する。 紙には時間割が書かれていて「9:30 まるちゃん&いくきーと」という文字が目に留まったので安堵した。そして下を読むと「9:40 権兵衛」「9:50 花子」と10分おきの時間割ではないか!? なんじゃこりゃ?まるでホームドクターの患者の時間割みたいだ。 扉が開いて、秘書らしい女性が顔を出した。「9:30 まるちゃん&いくきーとの関係者の皆さま~、お揃いでしたらご入室してくださ~い。」 呼び方までが看護婦のようだ。 おっとはそそくさと真っ先に部屋に入った。その後について慌てて入ろうとするとでっぷりとしたおっさんが「先に入らせてもらうよ。」と押しのけて入っていく。そして、我々の弁護士が入り。。わたしは辺りを見渡したが、憎っくき不動産屋の姿はどこにもない。 やがてどこから現れたのか、2人組の男が「不動産屋の弁護士です。」と入ってきた。 中はまるで診察室のような小さな部屋だった。TVなんかでよく見る裁判台があって、傍聴席がたくさん並んだ部屋を想像していただけにちょっと気が抜けた。 医者、いや裁判官がデスクの向こうにちょこんと座っていて、「まあまあお座りなさいな。」とまるで老医師のように歯の抜けたもごもごとした口調で薦めてくる。 デスクを囲んで全員で座った。が、イスがひとつ足りなかったのでわたしはおっとの後ろに立つ。 裁判官はもごもごと「あんた、ご婦人を座らせないと。。」とおっとを叱咤する。 わたし「わたしが立ちたいんです。」 裁判官「いや、ご婦人をだねえ。。。」 なんだかぼけた爺ちゃんを相手にしているようだ。ちょっと心配になった。 爺ちゃんは本日の出席者の名簿を確認する。 不動産屋は委任状を弁護士に託して欠席。 爺ちゃん「あんた誰?」と鼻眼鏡越しにわたしを見上げる。 わたし「いくきーとです。」 爺ちゃんは書類を目を細めて見つめながら「いくきーと、いくきーと。。。ああ?」 不動産屋の弁護士がたまりかねて、裁判官の書類に書かれたわたしの名前を指でついた。 爺ちゃん「ああ、いくきーとさんね。」 本当にぼけた爺ちゃんを相手にしているようだ。かなり心配になった。 爺ちゃんは書類を開き、弱々しい声で3行ほど読んだ。その横で秘書がPCに向って別の書類をカタカタと作成していく。 わたしは言ってる内容も、書類に書かれている内容もちんぷんかんぷんだったのだが、とにかく難しい顔をして立っていることにした。 そうしているうちに、不動産屋の弁護士が、爺ちゃんをさえぎってどんどん発言していくではないか? うちの弁護士を見れば、うんうんとうなずいているだけである。 わたしは緊張のしすぎで頭がぼ~っとしてしまって、訳がわからないままうちの弁護士が無言なことに無性に腹を立てていただけである。←情けなや。 あっという間に10分が過ぎた。やっと一番最初にわたしを押しのけて入っていったおっさんが口を開いて「6月22日の15時でよろしいかな?」とわたしたちに聞いてきた。 おっとは「ハイ、結構です。」と答え、わたしも「????」となりながらもウンウンと同意した。←ああ、情けなや。 それを聞いて秘書があっという間にPCの中の書類にその日付を書き込んでプリントアウトし、各弁護士に配る。 おっとの背中越しにプリントを見て、我が家に裁判所指定の建築士が被害状況を確かめに来る日時だということが、やっとわかったのであった。 我々は立ち上がり、部屋から出ると、さっそく秘書が「次のかた~。」と呼び、別の集団が入室した。 わたしはこっそり弁護士に「最後に日付を決めたのは誰ですか?」と聞く。 弁護士「裁判所指定の建築士だよ。」 ああ、そういうことだったのか。 回廊で裁判所指定の建築士は挨拶をして出て行き、不動産屋の弁護士のひとりも「急ぎますので。。」と去っていった。 残るはわたしとおっと、我々の弁護士と残りの不動産屋の弁護士。 わたしは我々の弁護士と残りの不動産屋の弁護士をしげしげ見つめた。 我々の弁護士は弁護士事務所を開いているわたしの友人のお姉さんの同僚なのだ。 本当はお姉さんに担当してもらいたかったのだが、彼女は別件で忙しく、それがかなわなかった。 この同僚はネクタイをきちんと締め、見た目からもいかにも「いいところで真面目に育ったお坊ちゃん」タイプである。 それに比べて不動産屋の弁護士はノーネクタイで襟のボタンをだらしなくはずし、日焼けしたいかつい顔のいかにも「悪者側の弁護士」タイプである。口がやたらに立つところはあの悪者不動産屋とイメージをだぶらせる。なんか、言い負かされそうやん!!?? 彼らふたりはしばらく話し込んだ後、別れた。当然のことなのだが、事前にいろいろと話はついているらしい。 この後、我々の弁護士はおっととも2~3言、会話を交わして別れる。わたしはこの間の弁護士事務所での裁判所の署名まで、この件に関しては事故のおかげでついていっていなかったので益々どうなっているのかわからなくなった。 わたしはわからない不安に胸をハラハラさせておっとに「どうなってるの?」と聞いた。 おっと「6月22日に裁判所指定の建築士が、我が家に被害状況を確かめに来るんだよ。その後、不動産屋はその建築士の指示に従って工事を始めるらしい。」 わたし「え。。 そんなに簡単なの??もっと泥沼のように揉めると思ってた。」 おっと「今までの話でぼくがわかったのは、やつらも負けがわかっている裁判を伸ばして余計な浪費をしたくないってことさ。とにかくこちらの申し立て通りの修理がなされるかどうかは、6月22日の建築士の判定しだい。後はうまく行くように祈るしかないよ。」 わたし「。。。で、慰謝料なんかは踏んだくれそうかな?」←悪者日本人 おっと「弁護士もね、いろいろ動いてくれたみたいなんだけど、せいぜい700ユーロ払ったのにやらなかった市役所への間取りの変更届けの分が戻ってくるだけみたいだよ。」 700ユーロといえば、弁護士代とトントンだ。な~んだ。 おっと「でもさ、脅しに負けて示談にしなくてよかったよ。あいつら、示談、ってときに修理代も更に巻き上げる魂胆だったけど、裁判所を挟めば無料でやらなくちゃいけないしね。」 当たり前じゃないか?っつーか、最初からちゃんとやってたら、こんな強制労働をする必要はなかったんだ、バカたれ。 おっと「ああ、ちょっと安心した。やっとまともな家に住めるようになるのかあ。」 わたし「油断は禁物だよ、これまでいつもどんでん返しばっかりだったじゃないっ!!」 まったく。裁判が完全に我々の勝利となって終わるまで、もとい、完全に家が修繕されるまで絶対に油断はしないつもりである!! が。。。。。こんなに大事なことなのに、話についていけてない自分がもどかしい。トホホホホ。。。。。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[家探し、購入から入居まで] カテゴリの最新記事
|
|