テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:イタリアお役所戦記
昨日は南米的休日をはさんだが、今日は滞在許可証の話の続き。
クエストウラから手ぶらで帰宅した日、おっとは「あの女、信用できないからやっぱりきみが明日市役所に行って予約してきて。」とわたしに言った。 言われるまでもない。わたしはすでに会社にこの日取った有給休暇を次の日に変更してもらうようすでに届け済みだ。 次の日、10時の市役所の外国人課の開館より少し前に出かけた。結局おっとも付いてきた。 我が町の市役所は昔のこの土地の貴族の家を改築、というよりそのまま修理しつつ使っている、と言った感じで古ぼけた建物である。大きな前庭が駅前まで伸びていて、そこは市民の憩いの場になっている。 しかし最近、ここを大手ホテルチェーンが買い取ったらしい。いつになるのかわからないがこの駅前の便利な一等地が私有地になるのが、惜しい。 でもこんな田舎町、なんの見所もないのに、宿泊客がいるんだろうか? 話はそれたが、磨り減った大理石のやや狭い階段をあがった2階に外国人課はあった。 大きな棕櫚の植木鉢の向こうの待合イスに、すでに数人のガイジンが座って待っているのが見える。 「マルちゃんさん!」という声の方向を見ると、今度はまるで南米人のおばさんのような雰囲気をかもし出した業者のお姉さんが座っているのが目に入った。 クエストウラの時のジプシー姿といい、彼女はきっと、こうやって変装を楽しんでいるに違いない、と確信するわたし。 業者「おいでになったんですか?わかっていたら、わたくしここまで来ませんでしたのに。」 まさか信用ならないから来た、とはいえない。 2人でしどろもどろになって「ああいや、通りすがりに様子を見に来ただけなんです。これから仕事に行かないと。。」 業者「そうですか。。あ、ちょうどよかった。いくきーとさん、おふたりの滞在許可証のオリジナルをお持ちですか?」 わたし「はい、持ってますが?」 業者「考えたんですけどね、本人じゃないからコピーだけで予約できるか心配なんですよ。貸していただけますか?次回お会いしたときにお返しいたしますので。」 わたしは一瞬迷った。 確かにコピーだけで予約できるか心配だ。だけど、このお姉ちゃんにオリジナルを渡していいものか。。? しかしもう時間がない。今日市役所で「ダメ」と言われたら、まさに滞在が危うくなる。有給休暇も取った事だし、心配だから一緒に待つか? いやいや、そんなことをしたら払い損な気もするし、あんなに遠いところから来たお姉さんに失礼な気もするし。。 結局はおっとの「おい。」とうながす声に即されて渡してしまったのだった。 おっと「じゃあ、よろしく頼みますね。連絡ください。」とわたしの手を引っ張って階段を下りた。わたしは思いっきり後ろ髪が引かれた。 わたし「大丈夫かなあ?」 おっと「もうなるようにしかならないだろ。」 滞在許可証のオリジナルを渡してしまったこと、非常にこわかった。 だが、考えてみれば、わたしの書類は全て会社でコピーをとってから渡したのであるが、おっとの書類に関してはおっとは面倒くさがってコピーもせず、そのままオリジナルを封筒に突っ込んで宅配便で送ったので、同じことである。 諦めた。 お姉ちゃんを信用するしかない。 この日もまたもや、有給休暇を消化することなく真面目に出勤した。 このまま家に戻るとなると、心配のあまり気がおかしくなりそうだったからだ。 夕方帰宅するとおっと「さっき、業者から電話があったよ。クエストウラのアポが8月18日にとれたって。その控えをFAXで送るってさ。」 8月18日。カレンダーを見た。この日は金曜日だ。クエストウラは土日閉まるので、期限の切れるまさにぎりぎりではないか!? わたし「そんなギリギリ。。そこでこけたらどうなるのよ!?」 おっと「エクアドルに行くか。」←それはそれはかる~く。 OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!! それだけは、絶対にイヤだ~~~~~!!!!! おっとは続けて淡々と「あ、それから君は今年、永久滞在許可証が取れるって市役所に言われたらしいよ。」 え、どういうことだ? クエストウラのサイトを読む限りでは永久滞在許可証取得の最低条件として「イタリア国内に正規滞在6年以上、住民票を取ってから6年以上。」ということが書かれている。 それにいろいろなひとから話を聞くと、それは「「労働」として滞在しているもののみ。」らしいのだ。 わたしは7年前にイタリアに来た。(正確には10年前だが、その時はすぐに日本に帰国している。)最初、「留学」で来たし、そのまま「扶養家族」になったので働いているとはいえど、一度も「労働」で滞在許可証を取得したことがない。 しかも住民票を取ったのは、結婚してからなのでまだ3年しか経っていない。 それは、「永久」を取れるに越したことはない。 でも今年も無理、と諦めていたのだ。実際お姉ちゃんも、依頼したとき、何も言わなかったし。 だって条件をちっとも満たしていないではないか? あのお姉ちゃん、ちゃんと市役所に説明したのか?? 悶々としているとグッドタイミングにFAXが送られてきた。 3枚あって、一枚はおっとの普通の「労働滞在証」、2枚目は「扶養家族滞在証」、3枚目は「永久滞在許可証」の控えだった。 それは、アポの控えであると同時に必要書類が書いてあった。 我が家のFAXは古いので写りが悪い。しかもゴマ粒のような文字が並んでいる上、つぶれている。 「永久滞在許可証」の控えをなんとか解読しながら読むと、やはり必要書類の2行に「イタリア国内に正規滞在6年以上、住民票を取ってから6年以上の証明書。」と書いてあった。 しかし、正規滞在が「労働」だとか、「留学」だとか、そういうことは書いていない。 疑問に思ったのでおっとに業者に電話をしてもらう。 おっとはまず自分の書類が全部揃っているか、FAXを読みもせず業者に聞くと、「大丈夫ですよ、全部揃ってます。」と応える。 わたしは横でおっとを突付く。絶対不備があるはずである! 業者「大丈夫ですよ、全部揃ってます。」 うそつけ~!! おっと「家内が住民票が3年しかないのを心配してるのですが。。」 業者「大丈夫ですよ、今までの古い滞在許可証のコピーをご持参ください。それだけで十分です。」 そうなのか?。。ちょっと待て。 全部揃ってる、なんていいながら古い滞在許可証のコピーなんて、はじめて聞いたぞ! わたしが横でハワハワしているのに、おっとは電話を切ってしまった。 わたし「どうして替わってくれないのよう!」 おっと「相手は大丈夫だって言ってるんだ。なんなら自分で電話しろよ!」 う。。。わたしはこの時点でこの解読不能なFAXが完読できていなかった。 明日、会社の同僚に読むのを手伝ってもらってから改めて電話をしよう。 次の日。 我が社の会計士であり、そして全ての書類作成を担当するグラツィエラにFAXを読んでもらった。 半分ほどの書類は業者に渡してあるので揃っている。 しかしここで大きな違いに気がついた。 それは永久滞在許可証を取るには「独立した「正規の労働者」でなければならない。」ということだ。 つまりわたしは永久滞在許可証を取る時点でおっとの扶養家族を離れることになる。今年から各々独立した滞在許可証を取ることになるのだ。 扶養家族に必要な書類は主に世帯主の所得証明書など、いわば「あんたは働かなくてもいい」書類ばかりなのだが、これは違う。 やはり噂に聞いていた通り、過去6年間働いていた証拠となる職場のあらゆるの書類が必要となってくるのである! しかしわたしは入管クエストウラ的には不法だが、必要書類の種類を見れば、この6年、税務署的にはきちんと税金も年金も払って働き続けてきたので、おそらく問題なく揃えられそうである。 でもまあ業者の姉ちゃん、「大丈夫ですよ、全部揃ってます。」なんて。。。 全然ほとんど揃ってないやんっ!! だいたい業者に頼むガイジンなんて、言葉が出来なくて、こういう手続きが困難なひととか、滞在許可証を取ることが困難な状況にあるひとが依頼するものだろう? これで今まで商売が出来てきたのがすごい。 よほどのコネがクエストウラにあるのか? でも、我々の「CAGNI大通り」のクエストウラの一件を思い出す限り、そんなコネはなさそうだが?? わたしは怒りを隠しつつ業者に電話をかけた。「念のためにこの必要書類の一覧と照らし合わせて書類を確認したいんですが?」 業者の姉ちゃんは意外にもあっさり「いいですよ。」と応じる。 確認していくごとにお姉ちゃんも全然書類が違うことに気がついたらしい。 それでも平然とした声で「これと、あれとあれは会社で、これは市役所で揃えてくださいね。」と言う。 。。。。。。。ふう、電話してよかったよ。(ちなみにおっとのは確認なし。手元に書類の控えもないし、わたしの知ったことじゃない。) 最後にしつこくわたしは「住民票6年の書類だけはどうしても揃えられないんですけど。。」と念を押すと「他の書類が揃っていれば大丈夫ですよ、とにかくトライしてみましょう。ダメなら普通の扶養家族で、という手もありますから。」と言われた。 そうか、ダメ元でトライか。 でもダメだったら? でもでもどっちもダメだったら?? でもでもでもどうせなら、2度とあのむかつくクエストウラに足を運ばなくてもいい永久滞在許可証のほうが断然いいに決まっている。 でもでもでもでもでも。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 大枚払って業者に頼んだと言うのに、なんでこんなに心配しなければならないんだ~~~っ?! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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