テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
食べ終わってすぐにクルマを発進、あっという間にジェノバのルイスの家に着いた。
お留守番のカティちゃんが迎えてくれる。 彼女は成長して、大人びていた。去年のように「く~き!!」(←ここの子供たちは「いくきーと」とどうしても言えなくて、わたしのことをこう呼ぶ。)と抱きついてこないのがちょっと寂しい。 そして1年前よりも更に背が高く、横幅も大きく育っていた。汗 わたし「お、大きくなったねえ。。」 やっぱりあのお土産のTシャツ、絶対彼女のサイズではない!と、すぐにわかった。 ああ、予想通りだ。お店のお姉さんを恨みたいところだが、カティちゃんもこの年齢にしちゃ、育ちすぎているような。。。汗 おっと「そうそう、お土産があるんだ。」 OOOOOHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOO!!!!! 言うたらあかんっ!!こういう場合は隠しておくべきだっ!!!! おっとはTシャツを取り出す。どう見たって小さい。 おっと「あれ、なんか小さいんじゃない?試着してみて。」 カティちゃんは素直に着てみた。頭がつっかえてなかなか入らないのを無理やり着ると、思ったとおりパツパツ。破れそうだ。 おっと「大きくなったなあ!もしかしていくきーとより大きいんじゃないか?ちょっと、いくきーとのTシャツも着てみてよ。」 カティちゃんは素直に着てみた。今度は頭は入ったが、わたしにはぴったりサイズのTシャツもカティちゃんにはへそが出る状態でパツパツに止まった。_| ̄|○ あ、そうか。夏になると大量に発生するヘソ出しルックのふくよかなお姉さんたちは、成長度が早くてTシャツのサイズが合わないからなのか。。。違) わたし「ごめん。。あんたがこんなに大きくなってると思ってなくて。滞在中に欲しいものがあったら、なんでも買ってあげるよ。」 カティちゃん「気にしないで、気持ちだけで充分よ。このTシャツはミッシェルにあげてちょうだい。」 カティちゃん。。。あんた、人間的にも成長したねえ。ほろり。 ルイスが午前中だけの仕事が終わって帰宅した。 ルイス「おお、来たか。さっそく昼メシにしようや。」 わたし「え?もうわたしたち食べてきちゃった。」 ルイス「そうなのか、残念だな。ミリー、お前らの分も昼メシを作っていったのにな。」 やっぱり、そうやんけっ!!! ルイスがひとり、黙々と昼ごはんを食べるのを眺めながらわたしはカティちゃんに「今日はこれからどうするの?」と聞く。 カティちゃんはお出かけ着に着替えながら「これからママのところに行くの。」 ミリーは2ヶ月前から以前の友人と開いた店を抜けて(ミリーの性格から揉めたと思われる。)、ミリーとルイス、あとひとりのおばさんとの共同出資で、エクアドル食材店&精肉店をオープンした。 店はミリーひとりで働いている。 その新しい店をルイスが昼食を済ませた後、さっそく見に行った。 店はジェノバの中心地の高台にあって、オープンしたてのこともあり、へたなミラノの日本食材店よりもきれいだ。 店のロゴ入りの清潔な制服を着たミリーが「いらっしゃい!」と迎えてくれた。 色とりどりのミラノでは見たこともない商品がぎっしり棚を埋めている。わたしが珍しくてまるで芸術鑑賞のようにゆっくりと見ていると、おっと「じゃあ、いくきーとはここで待ってな。」 わたし「へ?」 ミリー「そうしなさいよ、マルちゃんたちと一緒に行っても男ばっかりでおもしろくないわ。」 わたし「???」 おっと「彼らは今から、前にも行ったと思うけど、例の公園までサッカーに行くのよ。」 おっとはわたしの返事も待たないまま、ルイスとまるで犬を他人に預けるように出て行ってしまった。 彼らが去っていって、静寂が訪れたとき、やっと状況が飲み込めた。 ああ。思い出した。おととしは「散歩に行こう。」という言葉に、中心地まで行くのか?と期待してついていくと、なんでもない公園に着いた。 エクアドル人の酔っ払いたちが足元にビール瓶をゴロゴロ転がして、定まらない目つきでサッカーを観戦していて、選手もエクアドル人たちばかり。 おっとたちが飛び入りで試合に参加している数時間、わたしとミリーとカティちゃんはぼ~っと離れたところで共通の話題もなく、ただただ雑草をむしっていた。 くっそ~!!またやられたっ!!! こうなるとわかっていたら、今年こそ「単独行動:ジェノバ探訪の旅」に出ていたぞ!! 4.ジェノバで名所旧跡を巡れる、なんて期待をしてはいけない。 そうだった、そうだった。期待しちゃいけないんだ、期待しちゃ。 ミリーにうながされてカウンターの後ろのイスに座る。彼女は売り物の「トロピカル」という、エクアドルではおなじみのリンゴ味のソーダをコップについでバナナチップの袋を開けてくれた。 8月は開いている店も少ないが、お客も来ない。 店の外に降る小雨をうっとおしく眺めながら、パリポリとバナナチップをかじる。 きっと、こんなところにイタリア人のお客が来たら、中国娘がカティちゃんのベビーシッターでもやっているように見るんだろうな。。。 カティちゃんをみれば、ルイスからもらったお下がり、といってもビデオカメラつきの携帯で遊ぶのに夢中だ。 あ~、つまんない。わざわざバカンスシーズンに休暇を取って、こんな暇な店の店番。 それこそ独りで出かけたくて、さりげなく「ここから水族館までどうやって行けるの?」と聞く。 ミリー「まずは84番のバスに乗って、42番に乗り換えて。。。」 カティちゃん「く~き、水族館に行くの?ねえ、行くの?わたしも行きたい!」と腕にぎゅっとしがみついてくる。 しかしざーざーと雨足が強くなってきた。傘はクルマの中に置いてきてしまった。 こんな雨の中、知らない街を地図もないのに、バスを乗り継いで行くのもな。。 と、すっかり面倒くさくなって座りなおしてしまった。 午後のお客はたったの2人。近所のイタリア人のおばあちゃんたちだ。ミリーはよろよろのおばあちゃんたちが買い物を済ませると、それを持って家まで送っていった。 しかし夕方になると、南米人のお客がどんどんと来て、肉やエクアドル食材を大量に買っていく。 夜、シャッターを閉めかけていると南米人グループがやってきてビールを買い、店の外にしゃがみこんでしゃべりながら飲み、なくなるとまた冷蔵庫から取り出して買って飲み。。となかなか閉店できなかった。 8月なのに、なかなか繁盛してるじゃないか?と感心しているところにやっとおっとたちがヘロへロになって帰ってきたのだった。 ビールを冷蔵庫から取り出して店の外にしゃがみこんで2人でしゃべりながら飲み、なくなるとまた冷蔵庫から取り出して飲み。。。 そ、そうか。これが南米スタイルなのだな。 っつ~か、いつまで経っても閉店が出来ないではないか! わたしはおっとをせかす。 ミリー「いいのよ。今日は仕入れの業者が来る日だから待たなきゃいけないの。」 結局ミラノから来た、という仕入れ業者がエクアドル食材を次々に店に詰め込んで出て行ったのが夜の10時。 わたし「今日は遅いし、外食しようよ?」←これからお世話になるのでごちそうするつもり。 おっと「いいねえ、ピザとか?」←何を珍しくイタリア人のようなことを言っているんだ!? ルイス「え~、ピザ?」←お前に聞いているんじゃない。 ミリー「。。。う~ん、疲れたから外食はいいわ、家で食べましょ。」 わたし「で、でも支度が。。。」←ただでさえイヤなのに、こんな遅くから作りたくない。 ミリー「お昼、あなたたち外で食べてきたんでしょ?だから少しおかずが残ってるはず。それを温め直して、ごはんを炊いて、インスタントのスープを作って。。簡単よ。」 簡単かあ? ミリーは実際家に帰ると、一番疲れているはずなのに、なんともない風に、またもやビールを開けている男たちにつまみを出し、ちゃっちゃとごはんを炊いて、インスタント、といってもポテトや人参を加えたエクアドル風のスパゲッティスープを作り、昼ごはんの残りの鶏肉を温めて皿に盛ったのだった。 それもわたしが自分たちの部屋のベッドメイクをしている間にだ。 申し訳なかった。 食べ終わって皿洗いを手伝おうとしているとおっと「さ、でかける支度をして!」 わたし「どこ?」 おっと「ローランド(いとこ弟)の家だよ。パーティに招待されたんだ。」 カティちゃん「パーティに行くの?わたしも行きたい!」と腕にぎゅっとしがみついてくる。 時計を見た。もう夜の11時を廻っている。 わたしはこの時間までたいしたことはしていないけど、なんとなくへとへとだった。 こんな時間からパーティに参加するとなると、間違いなく朝帰りだろう。 それにカティちゃんをこんな時間から連れて行くのも。。。 わたし「わたし、疲れた。行きたくない。」 おっと「何言ってるんだよ?ルイスのところだけでローランドのところに行かない、となるとまた去年みたいに揉めるぞ。」 ああ、そうか、そうだったよな。 カティちゃんはそう言っている間にもちゃっかりミリーにお許しをもらって、着替え始めた。 むむむむむ。。。。南米ではこんな子供もこんな時間から外出するのか。 わたし「ミリー、心配しないで。すぐ帰ってくるから。」 ミリー「時間なんか気にしないで楽しんでいらっしゃい。」 あれ、なんか彼女、去年よりもローランド家族に対する態度の角が取れたように思うのは気のせいだろうか? もしかしたら、仲直りしたのかな? ちょっとホッとして、わたしとおっとはカティちゃんと手をつないで外に出て行った。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[エクアドル人のおっとを持つと] カテゴリの最新記事
|
|