テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
家出から昨日の夕方、帰ってまいりました!
はあああ~~~、楽しかった。いや、まったく本当に。。しみじみ 週末の楽しみを思い出してこうやって噛み締めるたびに、どんどん後悔に襲われる。 **** 実は、目目さん一家と一緒に彼らの山の別荘に行ってきたのだ。 おっとを心配させるため、ひそひそと目目さんとは話を進めていたというのに、どうやらヘタなわたしの芝居はもろバレで、おっとには行く先がわかってしまったらしい。 「行ってらっしゃい、楽しんできて。目目さんたちによろしく。」と先日おっとが作った「トスタード」までお土産に持たされ、ニコニコと送り出されてしまった。 おっとは彼らを非常に信用しているので、まるでこの旅は「自分がジェノバに泊りがけで行かなければならないので、飼っている犬を連れて行けないから、ご近所さんに預かってもらった。」状態となってしまったわけだ。 すごく悔しい。 しかしこれがおっとがあまり付き合いのない日本人とかだとかなり違う。(先日のaya825さんとの例とか) 例えば付き合い始めた頃に中米のサントドミンゴ共和国に女友達と行く予定だったのが、おっとの激怒の果てにキャンセルさせられてしまった。 そのあと「長期外国旅行がダメなら短期国内旅行で」とめげずに同じ女友達とシチリア行きを計画を立てたのに「そんなにぼくと離れて友達と一緒に居たいか!?」と落ち込まれ、見ていてえげつないほどいじけられたので、しぶしぶこれもキャンセル。 この後、友達は「まあ、マルちゃんったら、やきもち焼きなのね~。」と平静を装って言いつつも、当然すごく怒ってしまったようである。今もありがたいことに、か細いながらも友達を続けていてくれるが、もう2度と「一緒に旅行しよう。」なんて言ってくれなくなった。涙 しかしよく考えたら、あのときの「そんなにぼくと離れて友達と一緒に居たいか!?」のセリフ、現在のおっとにそっくりそのまま返してやりたい。 話を戻して、目目さんの山の別荘には今年4月にもおっとのクルマで行ったことがある。 今回は8月、夏真っ盛りのはずなので、すでに山で待っている目目さんに「川で泳げる?水着持って行ったほうがいいかな?」とメッセージを送ると「何言ってるの!?今16度だよ、こっちは。泳げないよ!」と返事が返ってきた。 わたしは仰天して、かばんの中身を詰め替えたのは言うまでもない。 今回は電車の旅。 前日に切符売り場で並んで、いつも近鉄切符サイズの定期券ではなく、大きな長細い見知らぬ地名の書かれた切符を買うのは快感だった。 金曜日に会社が終ってミラノ中央駅に行く。 この駅も、いつもと違って見える。それもそのはず、バカンスが終って主に南から、大きなスーツケースを転がして真っ黒に日焼けしてミラノに帰って来た人々でごったがえしている。 そんな中、長距離用の電車の高いステップをひょいっと上がって乗り込む。ああ、これも快感。 1時間ほど車窓からの見慣れぬ景色を楽しんだ後、ノバラ駅で降りて、駅前から出ている山行きのバスに乗り換えた。 ノバラ駅はそれは大昔、日本から来た元彼と夜遅くに夕食を食べに降り立ったことがあるが、そのときは何もない寂しい街だった。 しかしこの夏の午後に見る街は、たくさんの商店が軒を並べていてにぎわっている。 この大型バスのなかは、登山用の本格的な装備のカップル、ちょっとそこまで的なミラネーゼ、山のきこりのような素朴なおじいちゃん、とさまざまな乗客がいた。 バスは都会を抜けて、大きな川沿いにどんどんと山を登っていく。 この過程も楽しい。一度はおっとのクルマで同じ行程を来たことがあるのに、まるで初めてのようで無性に楽しい!! 心の中で「トトロ、トトロ~♪」と唄いながら景色を楽しんでいると1時間半ほどで「バラッロ」という小さな山間の町に着いた。 目目さん一家が迎えてくれていて、クルマに乗り込む。彼らの別荘はここからさらに30分ほど山間に入ったところにある。 目目娘ちゃんがわたしを見るなり「いくきーと、見て!」と腕に入れた3つのシマウマや人魚の絵のタトゥを見せてくれた(←本物ではない)。イタリアでは子供たちの間で大流行なのだ。 バラッロの可愛い街の中を抜ける。こんなところにも日本人観光客がいてびっくりした。 最近はメジャーな旅行に行き飽きて、マイナーなところを旅する日本人が増えているようだ。 バラッロはちょっと涼しいぐらいだったのだが、別荘のあるところまで来ると、かなり涼しくなってきた。太陽光線や、生い茂る緑、ごうごうと流れる川だけ見れば「真夏の景色」だ。しかし風はすっかり秋めいている。 金曜日からの3日間。 わたしたちはバラッロの骨董市にでかけて、目目さんが素敵な青磁のティーカップと、繊細なリキュールグラスのセットを見つけて歓声を上げたり、 山の頂上近くにスキー用のゴンドラで震えながら行き、暖かいストーブの効いた山小屋でそこの自家製のカモシカ肉の煮込みのポレンタを食べたり、 目目娘ちゃんと一緒に「やっほ~っ!!」と叫んでこだまが返ってくるか、試してみたり、 川沿いの雑木林を散歩したり、 目目娘ちゃんの乗馬のレッスンを見に行ったり、 夜は韓国のラーメン鍋をごちそうになったり、 ご近所の人たちと昼食を野外レストランで食べて、最近目目夫さまがはまっている釣りの話に興じたり、 花の咲き乱れるおしゃれな喫茶店で午後のコーヒー&プチケーキを楽しんだり、 それはそれはそれはおだやかな時間を過ごした。 目目夫様が釣りに行って暇になったときは、ほうじ茶を飲みながら、ほとんど聞き取れないような静かな音でかかっている環境音楽をバッグに、目目さんはゆったりソファに座ってファッション雑誌を読み、わたしと目目娘ちゃんはせっせとお絵かきをする。 ここでは服がやぶられる心配もない。 強制BBQもない。 ラテンミュージックの轟音を、そばで耐えて聞く必要がない。 酔っ払いたちに混じった「変な中国娘A」のように見られることもない。 ここには何もないのもあるけれど、えげつないところに連れて行かれてびっくりすることもない。 だから、この日記に特に書かなければならないようなネタが発生しない。 ああ、幸せ。 そういえば、ミラノに帰る、という日曜日に小さな事件はあった。 朝、ミラノに帰るために目目夫様が別荘の中の掃除をはじめ、目目さんが洗濯物をあちこちの部屋から回収して廻っていて、ダイニングにはわたしと目目娘ちゃんが残った。 目目娘ちゃんはおとなしくイスに座り、お絵かきをしていて、わたしは皿洗いが終って、後ろの目目娘ちゃんに振り返ったとき。 ちなみに目目さんちの別荘は可愛い石造りの小さなアパートの1階だ。 近所の人たちは用事があるときは玄関のブザーを鳴らさず、いつも半開きの窓から「目目さ~ん。」と覗いてくる。 このときは掃除のため、全開していた窓から一人の若い男性がのぞいて「チャオ!」とわたしに声をかけてきた。 わたし「ああ、チャオ?」 男「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。。」 きっとこの男性、わたしを目目さんと間違えているのかな?「ちょっと待って。」と奥を見て、目目さんに声をかけようとする。 男はすかさず「君はナニジン?」 あれ、目目さんじゃないことを承知で聞いてる?目目さんは韓国人だけど、出生が微妙だから日本人か、韓国人か、知りたいのだな。 わたし「日本人だよ。」 男「そうかあ、で、いつからここに住んでるの?」 やっと状況が飲み込めてきた。こいつ、近所のひとじゃねえっ! わたし「。。わたしはここに住んでないよ。ただのお客。」 タイミングよく、目目さん夫婦がダイニングに戻ってきた。「。。このひとたちの。」と彼らに気まずくなりながら付け加える。 男は目目さんたちを見て、ちょっとアタフタしたようだった。「いやね、ちょっと窓から覗いたらフレンドリーそうな彼女がいたから、ついつい話しかけちゃって。あ、もう行かないと。チャオ~。」 チャオ~。じゃねえよっ、のぞき野郎!! わたし「ご、ごめん。てっきり目目さんたちの知り合いだと思って。」と言い訳をする。 目目夫様「変な奴だな~。」 本当に変な奴だ。知らない人の家に、窓越しに話しかけるだなんて。 この後、わたしたちはある山の頂上のレストランに行き、こんな辺鄙なところだというのに満席だったので諦めてクルマに戻って行った。 戻り道、山を下りはじめると、反対側から上ってくるこの男と仲間たちにまた会ってしまった。 先頭を歩いていた目目さんは、この男を完全に無視して下り続ける。 男は目目夫様と並んで歩いていたわたしを見つけ「チャオ ベッラ~!!(いよう、かわいコちゃん!!)」と寄ってきた。 男「運命だなあ、また会うなんて!」と昼間っぱらからビールくさい息を吹きかける。 わたしはうんざりしながら「ああ、本当だね。」 男は目目夫様を向き「もうどれぐらいあそこに住んでいるの?」 目目夫様は意外にフレンドリーに「ほんの数ヶ月。」と答える。 男「おれはこの村で生まれ育ったんだ。今は下の町に引っ越したけどよ。」 あ、そう。 わたし「あんたたち、あのレストランに行くんだったら満席で入られないよ?」 男は、ふんっと鼻で笑い「よそものは入られないね。おれたちが行ったら大丈夫!」とフラフラと行ってしまった。 よそものだろうが、誰だろうが、客席はいっぱいである。 調理場ででも食べるつもりだろうか? 目目さんは顔をしかめながら「ああいうのをなんて言うんだっけ? 日本の893の下っ端の。。」 わたし「ちんぴら。」 目目夫様「そうそうちんぴら。たとえ近所でも、あ~いうひとたちとは深くお知り合いになりたくないな。」 わたしははっとした。 そうだ。。目目夫様、いや、普通のひとの反応と、おっとの大きな違いはこれなのだ!! おっとの場合、窓から覗かれたシチュエーションで、すごく楽しく盛り上がってしまうだろう。 さらに山では。 この「運命の出会い」に歓喜し、彼らと一緒にレストランに戻り、調理場でもどこでもビールを乾杯するに違いない。 そう、このおっとは、付き合い始めの頃は、浮浪者だろうが、どこかの社長さんだろうが、同じ態度で仲良くなり、社長さんをご招待するならともかく「家がないのか、まあ泊まっていけや。」と浮浪者を家に連れ込んできて、何度もわたしを激怒させた男なのである! ああ、違う。違いすぎる。 わたしは頭を抱えてしまった。 わたしの心の平静は、目目さんちのような生活にある。 こんなに根本から違うラテン男と一生添い遂げられるのだろうか? やっぱり独りでどこか知らないところに行くべきであった。 独りで自分の中で考え方を整理すべきであった。 おっとと少し離れたら、きっと落ち着いてまた元の生活に戻れるかな、と思った。 しかしこんな家出、日本人的生活の良さを改めて認識しにいったようなものだ。 悩みに悩んで家に帰り着いたら、まだおっとは帰ってきてなかった。 山を出発した時点で連絡したら「もうミラノのそばまで来ている。」と言ったのに。 わたしはシャワーを浴び、お茶漬けを食べて、疲れて寝てしまった。 夜中におっとがやっと、ビールくさい息をしながら帰ってきた。 そのとき目覚めたわたしは、トイレに立ったのだが「あ、お帰り!」とご機嫌なおっとに挨拶すら出来なかった。 そして今朝。 おっとが「おはよう!山は楽しかった?」と聞いて来る。 わたし「うん。。まあね。そっちは?」 おっと「すごく楽しかったよ!ほらっ、見て!」 と、Tシャツをめくった二の腕にはタトゥがほどこされてあったのである! わたし「。。。。。。。。。。。」 心の中でどうしていいかわからずに泣いた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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