テーマ:旦那さんについて(2446)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
月曜日。
朝から気持ちが悪くて吐きそうだった。 フラフラと朝早くに起きて病院に検査の予約をしに行く。 最近、産婦人科の検査尽くめの日々だ。 あまりのショックで日記にはかけなかったのだが、わたしは7月末、2度目の流産をして手術をした。 その1日入院の日は金曜日だった。 毎金曜日の夜はおっとが南米人たちと飲みに出かけて土曜日に朝帰りするのが恒例となっている。 わたし「この日ぐらいは、病院に迎えに来て。夜出かけていかないで。」と涙ながらに頼んだのだった。 さすがにおっとは夕方、手術直後のフラフラのわたしを迎えに来た。ペルー人の友人たちと。 そして、家で彼らはしばらくビールをあおった。わたしもフラフラなまま同席せざるおえなく、たまらない気持ちだった。 ビールがなくなるとおっとは彼らと外に出て行き、いつものように翌朝まで帰らなかった。 話は戻して検査の予約は珍しく早く済んでわたしは病院の並木道を歩きながら考えた。 今やっているこれらの検査は全て、次の妊娠を成功させるために産婦人科医に組まれたスケジュールだ。 こんなことやる意味があるんだろうか? ここまでして、やっぱり3度目もダメで、手術になっても、痛い思いは自分だけで、おっとには降りかからないのだ。自分の心身だけがボロボロになっていく。 というか、たとえ成功しても、出産、となってもおっとは何もしてくれなさそうだ。 こんなんだったら、なんで苦労して彼の子供を作る必要がある?? そのうち気持ちが悪くて歩けなくなってきた。 この感覚、確かずいぶん前にも味わったことがある。 これって、そういえば某元彼からある告白をされた日と同じだ。「ぼくには他にも女がいる。」「こんなことは誰だってしてることだ。それでもいいなら付き合い続けろ。」 今、こうやって書き出すと馬鹿馬鹿しくて笑いたくなるが、その当時、わたしははっきり言って美男子でもない無愛想な田舎者の元彼なんかを相手にする女がわたしのほかにもいたことにもビックリしたが、初めて出会うパターンの2番目の言葉に取り乱したのだ。 即答すりゃいいものの、数日考えてやっと頭が冷めて 「アホか、そんなあんたと付き合い続けられるか!」と答えを出した。 あのときと同じ、ってことはこの感覚は、「失恋」なのだろうか?それとも普段めったに使わない「恋愛脳」が刺激されて気持ちが悪くなる成分が分泌されたのだろうか? ちょっと病院のベンチで休むと気分がマシになってきたので、何食わぬ顔をして出勤したのだった。 しかし仕事の間中、気持ち悪さは波のように引いては押し寄せ、会社が終る頃にはヘトヘトになっていた。 ああ、帰りたくない。 わたしはおっとに電話した。 おっと「今日もいつもどおりに駅に迎えに行くよ。」 わたし「あのさ、今日遅くなるから、ミラノで電車に乗るときに連絡する。」 おっと「。。。どこに行くの?」 わたし「う~ん、ちょっと寄りたいところがあって。夕ごはんいらないから独りで適当に食べて。」 おっと「誰と行くの?」 わたし「一人だよ。」 おっと「。。。。。。。わかった、じゃあ連絡して。」 わたしはフラフラと中華街に行った。なんでそんなところを選んだんだろう?エセでもいいから、日本人に似た人々をたくさん見たかったのかもしれない。 チャウシンチーの「功夫」以外のVCDはないかな。。とビデオ屋をはしごしているうちに歩いているのもイヤになった。 トーストをバールで買ってほおばりながら電車に乗った。たいしたものではないが、これが結婚後、はじめて外で一人で食べる記念すべき夕食となったかもしれない。 のろのろとうちに帰りつくとおっとがこわい顔して「話したいことがある。」と言う。 いよいよ向こうも別れを切り出すことに決めたか。。。 しかし、その言葉が聞くのがこわくて無視してベッドに寝転がってマンガを読み出したら、おっとがやってきた。 おっとはベッドの上にあぐらをかいて座り込み「ごめん、ぼくがどうかしていたんだ。昨日までいろいろ考えた。君にいろいろ辛い思いをさせてごめん。でもぼくにとって、家の問題も、君が妊娠できないことも、クールな君より3倍は辛かったんだ。もう辛い思いをさせないから許して。」とウルウル言ってきたから面食らったのである! わたしは今までこんなおっとでも好きだったから、毎週末、おっとが逃げるように家を出て行って朝帰りするのがたまらなかったから、「ルームメイトとして割り切れば、もう辛い思いをしなくなるだろう。」と恋愛感情を日曜日の時点でとうとう断ち切ったのだ。 わたしは、そういうところ結構未練がましいのだが、一度断ち切ると、というか、悟りを開くと、「それまで。」というところがある。 だから、この言葉を聞いて、わたしはびっくりしただけで感動も何もなく、怒りだけがこみ上げてきた。 おっとは更にいう。「日本人はうるさくないかもしれないけど、エクアドル人は結婚すると『子供を作るのが当たり前』って気風があるんだよ。それがいつまでも出来ないで、周りばっかりオメデタで、『いつ作るの?』ってしょっちゅう聞かれたり、『これうちの赤ちゃんの写真。』って見せ付けられたり苦しかったんだ。だから酒に逃避したかった。」 何言ってるんだ? わたしなんかペア組んでるマッシモに出産後毎日どれだけ写真を見せられてる、と思ってるんだ?奥さんが妊娠中からのエコー写真含め!! あの変態ドイツ人ミリアムは産休がもうすぐ明けるから、会社に復帰したくないって、ばっちり計画的に妊娠に成功してまたもや「産休取りま~す。」とお得意の天使の笑顔で会社に報告しに来たし、 新入社員のジャンピエロは「明日からうちの家内のお産学校が始まるんだけど、どうも前の君の家の近所みたいだからどうやって行くか教えて。」なんて言ってくるし、 わたしの2回目の妊娠と同時期に妊娠した日本人の友達のお腹も順調に育ってるし、 いろいろ見せ付けられて、そんなのを悪意はないのはわかっているけど、へらへらわたしが祝福して喜んでいると思っていたのかっ!? 何が3倍辛かったんだ!?わたしは日本人だからラテン系の大げさなジェスチャーをしないだけで、辛さは実際身に降りかかった辛さと、おっとの今までのわたしを見捨てたような態度の2重攻撃で相当辛かったんだけど? 第一、そんなときこそ支えあわなきゃいけない、なんて型どおりのことを思うのが、日本人だから、だったのか? おっとは「愛してる、もうこんな思い、君にさせないから!」と抱きしめてきた。 わたしは反射的にそれをよけた。 何を言っているんだ、この男は?そういえば、例の元彼もわたしが答えを出した後、そうしてきた。 わたしもここで、涙のひとつも流して抱き合い、ハッピーエンド、にすればいいのだろうが、今やそんな気がさらさら沸いてこないのだ。 今朝もおっとは近年にない、ハグとキッスの嵐だ。しかしちっともうれしくない。これからどうして接していいのかわからなくなってきた。 とにかく今は腹が立って腹が立って、そして混乱しておっとの顔が見たくないけど、家に帰ればイヤでも接しなきゃいけない。 彼の謝罪に対しての答えを出さなきゃいけないけれど、簡単に許す気になれない。イヤな奴みたいだ。 ふう~、老春の悩み真っ只中にいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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