テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
先週土曜日。
エンジンのかかりがおかしいからとおっとが修理に出していたワゴン車を取りに行ったのは、近所の修理工場が閉まる5分ほど前だった。 この工場は以前おっとが夜遅くにガス欠でクルマが路上で止まってしまったとき、門戸を開けて、ガソリンをわけてくれた親切なところなのである。(いつもガソリンぎりぎりでクルマを走らせるおっとが、恥ずかしい以上に、いつまたどこでこんなことが起きるかこわい。) 工場長のじいちゃんとおっとが話し込んで居る間、わたしはもんで男君の中でおとなしくスーパーの折込ちらしを読んで待っていると、このじいちゃん、突然「はい、ごめんよ~。」と運転席に乗り込んできたのでびっくりして外に出た。 おっと「何やってるんだよ、さあ乗って!」というので慌ててクルマの後部座席に乗り込むと、じいちゃんの運転でもんで男君が走り出した。 おっと「ね、このクルマもかかりがおかしいだろ?」 じいちゃん「ああ、こいつもちょっと様子を見ないとな。」 そうか、もんで男君も調子が悪いから試運転して様子を見てるのだな。。。と思っていると、じいちゃんはどこまでも遠くへ走っていく。 どこに行くのかな、修理部品でも取りに行ってるんだろうか?と見ていると、ある田舎町の中心街でじいちゃんはクルマを降りて走リ去ってしまった。 おっととわたし「ど、どこに行くんだ!?」 見ているとじいちゃんはバーバーショップに入り、何か美容師と話して戻ってくる。「スマンスマン、午後に髪切るの、予約してきたんだ。」 わたしとおっと「。。。ハハハハハ。(このじじい)」怒 そのままわたしたちは工場に戻った。 じいちゃんはおっとから受け取ったお金をポケットにねじこみ、工場を閉めてすぐに白い自分のおんぼろ車に乗ってバーバーショップに行ってしまった。 わたしたちももんで男君を工場に置いて、ワゴン車に乗り込んでエンジンをかけ、スタートさせる。 ブルン、ぶるっぶるう~~~ん。。。。。 。。。。。エンジンが止まってワゴン車が動かなくなってしまった。大汗 じいちゃんはもう居ない。 おっとはため息をついて、ワゴン車の前を開けてバッテリーのあたりを見るが、工具がないことにはいじりようがない。 コインやらペンやらでいじってると、工場の番犬の大きなボクサーが駆けて来た。 うわ~、こんなに怪しいわたしたち、咬まれる!と思いきや、この犬はしばらく近づいてわたしたちの様子を見た後、工場の2階の母屋にいたじいちゃんの息子を呼んできてくれたのだった。 ヤギなんかよりもよっぽど利口な犬だ!! 息子が貸してくれた工具でおっとはバッテリーをいじりなおすとなんとかエンジンがかかる。「じいちゃん、バッテリーのねじを閉め忘れてたみたいだよ。たいした問題じゃなくてよかった。」 ほ~。 わたしたちはそのまま安心して遠くの大型スーパーにこれから給料日まで持たせなければならない食料の買出しに出かけたのである。 そう、銀行の審査が通って、おっとは融資を受けることが出来たのだ。しかし、先日からさらにいろいろと引かれてすっかり赤字になった口座を立て直すと、たいした額が残らなかった。涙 わたしたちは、慎重に買い物を済ませ、ワゴン車に戻ると、今度はバッテリーがすっかりあがって動かなくなってしまっていた。滝汗 おっと「この間、新品のバッテリーに交換したばかりなのに、あの工場のじじい、2日間預けていた間に何しやがった~~っ!!!???」 わたしは非常に焦った。なぜなら食料を長期間もたせるために、冷凍食品をたんまり買い込んだのである。すぐに家に帰れないならこれらは全て解凍してしまうではないかっ!? わたし「誰かに助けを求めなよ!」 おっと「って、誰に?」 わたし「エルトン(ブラジル人)だ、エルトン!」 おっと「ぼくの携帯に残高がないよ。君の携帯貸して。」←口座のみならず、携帯までかっ!? エルトンはこのスーパーのすぐそばに住んでいる。わたしが貸した携帯でおっとがエルトンに電話すると、彼はさっそく修理に必要なものを買うようにおっとに指示、おっとがスーパーに入りなおして買っている間にエルトンが駐車場に現れた。 この時点、スーパーの駐車場は混み混みだ。 エルトン「ぼくのワゴン車はあっちに停めてある。ここだとゆっくり修理が出来ないから、マルちゃんのを移動させよう。」←ちなみにおっとのワゴン車は小さな駐車スペースにぎっちり入り込んでいる。 わたし「でも動かないんだよ、どうやって?」 エルトン「いくきーとが運転席に乗ってハンドルを切って。ぼくは後ろから押すから。」 え~~~~!!!???? わたしは運転席に乗り、ハンドルを廻そうとするが、重くて10度ぐらいしか廻せない。 顔を真っ赤にして両手で必死に廻すうちに、ちょっとだけハンドルが軽くなって、ワゴン車が動き出した。 をを!これはわたしの攻撃レベルが上がった?違) 「もっと右にいっぱいハンドルを切れ!」と おっとの声。 な~んだ、おっとが来たのか。 滑稽な姿だった。大の男が2人で後ろから次々来るクルマのクラクションを浴びながらワゴン車を押し、真っ赤な顔の中国娘が運転している。 。。。わたしもすっかりガテン系になったな。涙 やっとのことでおっとのワゴン車はエルトンのワゴン車に近づけることが出来て、2つは買ってきた接続チューブみたいなもので合体し、火花を散らせておっとのワゴン車は復活! 「ふ~、やれやれ。」ワゴン車の荷台に座り込む3人。 エルトン「せっかくうちの近所まで来てるんだし、うちでコーヒーでも飲んでいかない?」 うう~~ん。。 冷凍食品のことを考えると一刻も早く帰りたかったのだが、たった今世話になったことを考えるとむげに断れず、お邪魔することにした。 エルトンが離婚して奥さんが家を出て行ってから約1ヶ月。 家に入るとなんというか、哀しい空気が充満していて、胸が苦しくなった。 カントリー調の家具に囲まれて、いつも造花ではあるが、花が活けてあったダイニングキッチンに今あるのは 最低限の冷蔵庫と流し台、コンロ。 そして、新しいテーブルはなくなっていて、これもどこかからもらってきた古いテーブル、ずいぶんまえにおっとと一緒にもらってきた古びたソファがあるだけ。TVも家具もない。 おまけに暖房も点いていなくて、寒くてコートが脱げなかった。 エルトン「全部奥さんが持っていった。まあぼくはTVを観ないしね。」 ワゴン車の移動で真っ黒に汚れた手を洗うため、洗面所に入るとずいぶん前、彼らがこの家に引っ越してきた当初にわたしが奥さんと一緒に入った雑貨屋で買ったきれいなドライフラワーのデコレーションや甘い香りのボディソープ類ももちろんなくなっていて、まるでガソリンスタンドにあるちょっときれいめな公衆トイレみたいだ。 石鹸をさがすがないのでシャワーボックスの中にあったボディソープを手に取ると、ほとんど水ばかりの液が出てきて更に哀しくなった。 エルトン「あ、ごめん。タオル出してなかったね。ぼくはいつもバスタオル1本で全て済ましちゃうから。。」 わたしを「いいよ、気にしなくて。」と手をブラブラさせて空気乾燥させながら出た。 エルトン「つまみもなくてさ。。。」 わたしたちは苦笑いをして断り、コーヒーをいただいた。 何か楽しい話をして、この暗い雰囲気を盛り上げようとするわたしたち。 わたし「あのさ、ステファノとも話してたんだけど、クリスマス前にインターナショナルパーティしようよ。」 エルトン「パーティなんかに行く金ないよ。」 わたし「うん、うちもないよ(自信たっぷり)。だからね、うちにみんなで一皿づつお国のお皿を持ち寄りってのはどう?」 エルトンはいらいらした表情に変わった。「ぼくが出来るって言えば、シュハスコぐらいだ。でも肉を買う金もないんだよ。わかるかい?奥さんが出て行って、家のローンは全部自分の負担だし、去年の夏に奥さんとブラジルに帰省したときのローンもまだ残ってるんだ。奥さんが毛布も持って出て行ったけど、この寒いのに毛布を買うお金もないんだよ。 そこに以前自営業をしていたときの(エルトンは某運送会社の正社員)税金がまとめて来ちゃったし。ダメだ、ダメ!!」と少ない髪をかきむしった。 わたし「ご。。。。。。ごめん。」 このときわたしの中で「わたしたちが世界一貧乏」という自信が崩れ去った。わたしたちを上回る貧乏人がこんなに近くにいたとは。 この後急に座がしらけ、エルトンが「そろそろ行ったほうがいいんじゃないの?」と招待しておきながら追い出すような言い方をしたのだが、これに反感も覚えなかった。 わたしたちはワゴン車に乗り込み、エンジンをかける。また動かなかったので、エルトンをまた呼び出し、スーパーと同じ動作をしてやっとエンジンがかかって帰途に着く。 おっとはうれしそうに「。。。うちって、エルトンから比べたら、超リッチなんじゃない?」 わたし「う。。。うん、そうだね。」 情けないような、ホッとしたような。。。 いや~~~~~~~~~っ、やっぱり情けないっ!!!!!!!!! 給料日まであと12日! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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