テーマ:婦人科の病気(1168)
カテゴリ:イタリアお役所戦記
イタリアではついている日のことを「今日はわたしの日だ!」という。
しかし先週木曜は「わたしの日」じゃなかった。 先週木曜は隣町の病院に検査に行ってきた。 先日の乳ガン検診はシロだったのだが、子宮ガン検診が実は「軽度でクロの疑いがある。」と出たのだ。 で、この子宮ガンの詳しい検査の予約を申し込みしたのが10月。2ヶ月前のことになる。 この2ヶ月間、やっぱり気がかりだった。日本語のサイトを調べると「早期発見すれば100%治るガン」とどれにも書かれてあったので「大丈夫、大丈夫。」と自分を励ましてはいたのだけど。。(年齢にかかわらず、一度でも性交渉があるひとは、一度目の検査は5分ほどで終るので面倒くさがらずに年に一度の検査をお勧め。) イタリアは病院を予約の際、普通はまず、ホームドクターに行って保険証を提出し、必要な診察、検査等を書いた赤紙をもらい、それを持って、会計所に行く。 会計所で、何月何日何時にどこの棟の何階のどこの科に行って、どんな検査や治療をするかプリントアウトしてもらってお金を払い(ここでも保険証は必須)、診察日にそれらを全部持っていく。 わたしは朝早くそれに記されたとおりの「Endroscopia」という科に行った。 そこは地下で薄暗い裏通りのようなところの突き当たりの小さな緑のドアだった。なんだか、異世界にでも行ってしまいそうな空間だった。 ドアには放射線危険のあの黄色い扇風機のようなマークのシールが貼られていて緊張する。しかしその下には「どうぞお入りください。」と小さく書かれていたので、おずおずとドアを開けた。 ドアの外と違って、中は蛍光灯の冷たい光がまぶしく、受付には安物のツリーや電飾が飾られている。 看護婦「え~と、あなたは?」 わたし「いくきーとです。」と予約表を差し出た。 看護婦はそれと、受付にあった大きなノートと照らし合わせ「ああ、8時40分の予約のいくきーとさんね。座って呼ばれるまでお待ちください。」と出て行った。 わたしはコートを脱ぎ、はじめて待合室を見た。 イスがたくさんあるにもかかわらず満席で、しかも座って待っているひとたちを見れば、どうみても、わたしよりも10~20、いやそれよりもお年が上な妙齢のご婦人たちと、紳士。 。。。。。子宮ガン検診に紳士?そうか、付き添いなのだな。 ドキドキしてきた。と共にショックだった。子宮ガンって高齢者に多い病気なんだ。わたしは外見は「若い」とか「幼い」とか言われるけど、実際は実年齢より年を取っているんだなあ。。 じっと観察していると、流れとしては、まずは診察室に呼ばれて、その後受付で小さなコップに入った液体をもらって飲み、更衣室へと消えていく。更衣室の向こう側が検査室に繋がっているらしい。。。。。。。 なんで男性も入っていくんだろう?? 疑問を抱いていると名前が呼ばれて診察室に入る。 女医「今回はどうされました?」 わたし「先日の子宮ガン検診でクロと出たので検査に来ました。」 女医「子宮ガン検診?はあっ!?」とわたしの書類をひったくって見た。そのあとすぐ、まさにわたしのえりくびを掴んで追い出すかのようにドアを開け「看護婦さん!このコ、間違って来てるわよ。なんとかしてやってちょうだい!!」と言い放つとバタンとドアを閉めたのだ。 わたしはオロオロして書類を見た。「Endroscopia」。地下。「Endroscopia」と書かれた地下のドアはここしかなかった。 看護婦もすぐさま来て、わたしの活字でプリントアウトされた予約表と解読不能に殴り書きされた赤紙を照らし合わせる。 看護婦「ああ~、あなたは「Colposcopia」に行かなければならないのよ。会計が予約時にミスしたんだわ。予約を入れなおさないと。。」 わたし「えええ!?」 看護婦「なんとか近日中に診察が受けられるようにしますから、ちょっと待ってて。」と内線電話に手を伸ばした。 えええええ。。。。今日だって会社を半日休んできたのだ。向こうのミスでまた休みを取り直し? 看護婦は「Colposcopia」の科と会計を相手に結構粘り強く交渉してくれた。で、同じ日の午後14時にアポを取りなおしてもらったのだ。 わたし「午後ってことは一度家に帰って出直しですか?仕事もあるし、すぐにやって欲しいんですけど。。。」 看護婦「「Colposcopia」は午後からしかないんです。あ、それから、今すぐ会計に行って払いなおしてください。会計も列に並ばずに済むように手配しておきましたから。」 わたし「はあ。。。。」 なんだか納得のいかないまま会計所に向かった。でも今考えたら、自分のミスでもないのに、ここまでフォローしてくれるイタリア人ってめちゃくちゃ奇跡に近いんじゃないだろうか? 指定された会計の窓口に行くと、おばちゃんが、「あ」という顔をしたのだが、すでにいた他の患者に手間取っていて後ろにいた若いお姉ちゃんに「ちょっとあんた、このコの会計してあげて。支払うだけだから!」と別の閉まっていた窓口を開けたのだった。 若いお姉ちゃんは「え~。。。」という顔をしながら、いかにもしぶしぶ窓口に座る。きっと休憩に行こうとしていたのだろう。 お姉ちゃん「え~っと、予約は2月に入れるわね。」 わたし「ちょっと待ってください!今日の午後って聞いたんですけど?」 お姉ちゃんは「このガイジンめ。」いう顔で「あんた確かなの?」とわたしの顔を覗き込み、おばさんに振り返り「こういうふうに言ってるけど?」と聞く。おばさんは手をひらひら振って「やっちゃって。」と言ってすぐに自分の患者に戻った。 お姉ちゃんは伝票だけ切ってわたしに突き出す。 わたし「すみません、どこの科に行ったらいいんです?」 お姉ちゃん「知らないわよ~、あんたたち了解済みなんでしょ?はい、終わり。」と立ち上がってしまった。 くっそ~。わたしはムカムカしながら「Endroscopia」に戻って聞く。 看護婦「産婦人科よ。入り口を背に左に向かってBarの少し手前にあるわ。」と行き順まで親切に教えてくれた。 。。。そうだよな。普通に考えて子宮の病気なんだから産婦人科なんだよ。「ガン」という文字にまどわされて自分を失っていた。 わたしは落ち着かないままいったん家に戻り、昼食を食べてまた出直しとなった。_| ̄|○ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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