テーマ:海外生活(7774)
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ずいぶん前の話になってしまったが、ピツコちゃんに会った次の日火曜日は、待ちに待った入管クエストウラに滞在許可証を引き取りに行く日だった。
朝、目を覚ますと世界が廻っている気がした。 これは「起立性低血圧」だ! 今年の年頭からすでに2回以上、これで病院の救急棟にお世話になっているので、今回は吐きそうになりながらも、なぜか落ち着いていた。 ク、クエストウラだけには行かなければならない。。。 (ちなみに今までの流れ→ ひとの話を聞け! しっかりしてよ!! わたしってもしかして、心配性? おっとが。。エクアドル人であることが歯がゆい。 おっとが。。エクアドル人であることが歯がゆい。その2 激しいめまいと戦いながら起き上がり、壁を伝って洗面所でとにかく髪だけとかして服を着る。 おっとは「大丈夫?」と言いながらも決して「クエストウラに行く日を変更しよう。」とは言わない。 なぜなら、あの代理店の姉ちゃん、前回、無事に発行待ちの半券が出た時点で、行方不明になった。 今までは全て我が地区の市役所で予約制で、ぶっちゃけて言えば並ばなくとも、指定日時に行けばよかったのだが、受け取りは全部一緒くたなのでこれだけ大枚を前払いした以上、彼女お得意の「並んで順番取り」をしてもらわないと意味がない。 だが、いくらこの日のアポを取り付けようと思って何度電話をかけても絶対に出やがらない。 しかしこの手は過去に悪徳不動産屋に何度も使われているので、この姉ちゃん相手だし、予測済みでそうそう驚かなかった。 きっと、わたしとおっとの電話番号を彼女の携帯にインプットして、名前が出たら居留守を使っているに違いない。 そういったわけで、ある日は同僚アンナの携帯を借りて電話するとやっと繋がった。 姉ちゃんはちょっとびっくりしたようであったが、それを押し隠しながら「すみません。ここ数日で交通事故を起こして、後処理が大変だったんです。クルマが大破したものですからミラノに当分いけないのですよ。」 わたし「それは大変ですね。誰かクルマを貸してくれる人はいないんですか?なんならお宅の近くに住むおっとの友人(ウィリアムのこと)にわたしたちからお願いしますが?」 姉ちゃん「いえいえ、ご心配なく。ミラノ担当のものにすぐに聞いてみます(←居るのか?)。そして本日中にお返事を差し上げますわ。」 むむむ。こう言われると心配だが、引きとめようがない。「必ず今日中にお返事をくださいね。」と電話を切った。 そしてあっというまにこの電話から1週間が過ぎたのだった。 わたしは電話が繋がらないのでFAXで催促状を送った。 返事がない。 2週間が過ぎ、もう一度FAXを送った。内容はこうだ。「先日来、催促をしておりますが、いっこうにお返事がいただけないので、法的措置をとることにいたしました。よろしく。」 するとFAXを送った10分後に姉ちゃんから電話があった。汗 姉ちゃん「すみません、なかなかミラノ担当者のスケジュール調整が出来なかったものですから。明日、8時にクエストウラ前に来てください。担当者がお待ちしております。」 この女狐野朗。 。。。。。とまあ、こういう経緯があったものだから、どんなことがあっても行かなければ、今度こそどうなるかわかったものじゃない。 おっとはクルマのシートを倒して、わたしを寝かせ、刺激がないようにソロソロと運転する。 しかし低血圧症状が起きたときは何をやってもダメなのだ。わたしはさらにクルマにも酔って、クエストウラに着いたときには目を開ける事も出来ずにヒューヒュー荒い息をしていた。 ぐったりしたわたしを抱えるようにおっとはわたしの肩を担いでそろそろ門の前まで歩く。わたしは進行方向に機械的に足を踏み出すだけだ。 おっとが門のそばの大きな木にわたしをもたれさせて例の「ミラノ担当者」をさがすと、列の一番前に並んでいた背の低い男が手を小さく振った。 男「奥さん、どうしたんですか?大丈夫?」 わたしがかすれた声で大丈夫です、と言っていると(全然大丈夫じゃなかったのだが)列の整理をしていた警官が2人、様子を伺うようにやってきた。 警官「そこの2人!列にきちんと並んで!!」 おっとははい、と答えて、わたしの肩を抱きかかえた。そこでわたしは気が遠のいて崩れ落ちてしまった。 警官「あんた、ちょっと大丈夫?顔が真っ青じゃないか!救急車を呼ぼうか!?」 「救急車」という声に反応して気が近くなる。OOOOOHHHHH,NOOOOOOO!!!! ダ、ダメだ!!こんなところで救急車なんて呼ばれて病院に連れ去られたら、ここまで来た意味がなくなる。元の木阿弥だ!!! わたしはカラカラの唇から「大丈夫です。」という言葉を必死に吐き出した。 警官「本人がそういうなら。。。旦那さん、彼女をこっちに運んで。」 奇跡的にも親切な警官は、開門前のドアを開け、わたしを守衛BOXの中のプラスティックのイスに座らせてくれた。 そしておっとに「はい、これ。」と1番の番号札を渡してくれる。 やがて開門となった。列の一番初めに並んでいた「ミラノ担当者」はわたしたちの付き添い、ということで手ぶらで門の中に入り、警官は2番の人から整理券を配っていく。 そして門の中でも人々は並ばされ、子供連れの家族、妊婦、そして病人のわたしと付き添いのおっと、ミラノ担当者が優先して待合室に入ることが出来たのだった。 しかし。 外の警官が1番に出来るよう気を配ってくれたにもかかわらず、ずいぶん待った。 わたしは周りにおかまいなく窓口のすぐそばの4つほどイスを占領しておっとのひざを枕にして寝ていると、ずいぶんマシになってきた。 おっとは待っている間、ずっと「ミラノ担当者」と喋っていた。 彼はエクアドル人で、あの女狐野朗の部下ではなく、金融業を南米人相手に独りで営みながら、たまにバイトで並び屋をやっているという。 ミラノ担当者は「次回からは直接ぼくに頼んでください。並びますから。」と名刺をくれた。 まったく。 次からは彼に頼んだほうがいい。あの女狐野朗だって、結局今までやったことは、並んだことだけだ。 こうやって流れを見ると、一番並ぶ意義があるのは、最後の受け取りのときだけ。次回からはこの1回だけ、彼に頼もう。。。 そのうち、起き上がって廻りを見渡す余裕が出来てきたのだが、気がついたのはどうも番号札も持たずにコネらしいもので、この建物は受け取りだけだというのに、作成から受け取りまでその場でやっているひとが3人ほどいる。 担当の警官は媚をたっぷり含んだ笑みで握手をし「お手数をおかけしました。」まで発言している。どういうコネだか?大使館関係者だろうか?なんかの有名人だろうか?? やっとわたしの番が来た。 これだけ待たされて、ほんの10秒で滞在許可証を渡してくれた。 次におっとの番かと思えば、2人ほどに抜かされてやっと渡された。 新しい滞在許可証は今までのぺらぺらの青い紙じゃなくて、黄色いちょっと硬い紙で、写真はホッチキスじゃなくてパウチッコで貼り付けてある。 大進歩だ!!違) わたしたちは門のところの警官に再度お礼を言って外に出た。 ミラノ担当者は、午前0時から寒い中、並んでくれたそうだが、可哀相に意味がなかったな。あ、でも女狐野朗にはいい気味だ。彼に並び屋代を払わなければならないのだから。 これが11月下旬の話。今年6月に切れる滞在許可証を2月から動いて、9ヵ月後にやっと受け取れるなんて。。。 あまりのひどさ。 だが12月に入ってからミラノを含む、特定の都市が、郵便局から更新が出来るように試験的に導入された。 遅いんだよっ!!!!! しかし、これを数年に一度行われる不法滞在者救済法「サナトリア」の申し込み用紙と勘違いしてがっぽり郵便局からかっさらわれる事件があちこちで勃発しており、ミラノではなかなか見つからず、悪徳業者が50ユーロでこのKITを売りさばいているらしい。ちなみに無料である。(そしてちなみに本当のサナトリアのときは、この10倍にも20倍にもKITの闇価格が高騰した。) しかし、そんな超画期的なニューシステム、外国人はおろか、郵便局員も、警察も絶対スムーズに対応できなくて、問題だらけですぐに廃止されないことを祈ろう。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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