テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:家探し、購入から入居まで
この会社に勤めて8年。。。明日、初めての出張が決まった!
わたしのような職業は出張どころか、外に出かけることもめったになく、毎日悶々とPCの前でキーボードを叩くのみ。よくぞこんな仕事を8年も続けているものだ。 そういえば一度だけ入社して1ヶ月もたたない、右も左もイタリア語もあまりわからないときに、社長とふたりきりでわたしたちの広告を載せる新型の機械をボローニャの会社に見に行かなければならない、という出張があった。 しかしその話を聞いたとたんに胃が痛くなって、その夜熱が出て、行けなくなってしまった。 そう、わたしは究極の「へたれ」なのである! だってあなたならこの状況で行けますか? ところが今回の出張は違う。 わたしがこっそり「遠足」と呼んでいる、とある見本市見学だ。 参加者は我々グラフィックチーム全員とWEBデザイナー、技師ひとりずつ、そしてマルチな秘書のおばさんアンナマリア。 みんな同年代(アンナマリアを除く)で仲がいい。 先に出発する社長とは見本市会場で待ち合わせなので気が楽だ。 しかも行く先がなんと、ガイコクのロンドン!!気分は↑↑↑ しかし強行日帰り↓↓↓(往きは3時半起床 / 4時半ミラノ中央駅集合 / 7時マルペンサ空港発。帰りは23時半マルペンサ空港着、家に着くのは翌日2時前ぐらいかな~♪♪) 。。。って、社長、一泊のホテル代ぐらい払ってよ!!(ちなみに社長はビジネスクラスにて今朝出発、あさって夕方帰り) とにかくそういうわけで、先週からみんな浮き足立っている。 お土産なににしようとか、ロンドンは何がおいしいだろう?とか、ユーロで買い物できるだろうか?とか、イタリア語、通じるだろうか?とか、毎朝「今から英語で会話しよう!」と始まって、2~3言でみんな無口になってしまったりとか、がむしゃらにはしゃいでいる。 わたしもついおとといまではそうやって、無邪気にはしゃいでいたのだが、あるおっとの電話をきっかけに気分がブルーになってしまった。 今日同僚たちのほとんどは、半ドンで帰宅してしまった。明日の早すぎる出発に向けて、休息を取るらしい。(わたしよりもx2へたれなやつら) おっと「水曜日、仕事の後に弁護士事務所で話し合いだから。」 わたし「。。。ってことは裁判所の査定の結果が出たの?どうだったっ!?」 ちなみに前回のストーリー おっと「まだ聞いてない。とにかく水曜日に話してくれるんじゃない?」 あんた。。。せめて結果オーライだったか、ダメだったかぐらい、聞けよっ!! っつ~か、なにも強行初出張の前日になんでこんな暗いイベントが。。。しかも、夜遅く。今日は一刻も早く家に帰って寝たいのに!!キ~ッ!!!! わたしは悪い意味でも良い意味でも想像しすぎる。 たぶん、裁判所から査定の決定が出て、これで本格裁判にするか示談で済ませるかの相談に違いない。 こわい。本格裁判にすると、終るまで何年もかかるし、かかる費用もバカにならないけど、負けたくないし。。。 示談だと、きっと工事も早くなるだろうけど、またもや騙されて奴らの思う壺になりたくないし。。。。。 ある本を読んでわかったのだが、わたしだけでなく、日本人というものは他の国籍の人々に比べて、想像力が豊からしい。 それもそうだ。日本の鎖国300年の間に書物だけでガイコクに対するイメージを膨らまし続けていたような状況だったしなあ。 このあとわたしは水曜日の結果をあれこれ想像しすぎて胃が痛くなって昨日は会社を休んだ。(へたれ) そうやって昨日はベッドでゴロゴロし、インターネットで日本語版の「ケロロ軍曹」を見てたら、楽しくて笑い転げてやっと楽になってきた。 余談だが最近イタリアでも放映が始まった「ケロロ軍曹」の主題歌はリズミカルすぎて、おちゃらけではなく、ケロロ軍曹の声も怪しいおっさん声で(これもこれで怪しさ度が増していいのだけど)、日本語版はとても愛らしくて和めた。10話ほどまとめて見たのだが、毎話、主題歌を最後まで聞かないことにはスキップしてストーリーにも入れないので、唄えるまでになった。これで日本に帰国したときにはこれだけはカラオケでばっちりだ。 そうやって「ケロッケロケロ~♪」と口ずさみながら、夕方、ベッドから起き上がって夕食の支度にかかっているとまたもやおっとから電話が! おっと「具合はどう?マシになった?」 以前は甘い言葉の安売り王だったおっと、最近はこんな優しい言葉が最初に出るときには、かならず続きがある。 おっと「あのね、今日20時に保険会社のひとが来るから。」 わたし「。。。。何しに?」 おっとは「知らない。たぶん、支払いを中断した生命保険のことで来るんじゃない?じゃあ、忙しいから。」と電話を切った。 そんなわけがない。 2年前にこの生命保険、あまりの掛け金の高さに「続けて払えるお金がありませんから。」と本当は解約したかったところ、中途半端で解約してもほとんど支払った金額が手元に帰ってこないことがわかり、保険員の勧めで数年後に数十パーセントが還元されるという「凍結」という形をとり、それに必要な金額だけなんとかかんとか支払って、閉じたはずだ。 だから今頃、そのことに関して保険員が来るのは不自然である。 ただひとつの理由は「新たな別の契約への勧誘」しか考えられない。 冗談じゃない。食うにも困っているこの状況で別の保険なんて悠長なもの、掛けていられるか!! 猛然とムカムカした。 最近はクリスマス、正月を挟んだせいか、波風も立たず穏やかだったのに、また「アホで無知なガイジンからどうにかして金を巻き上げてやろう」鬼が来るような気になった。 わたしは戦闘体制を整え、相変わらず「アホで無知なガイジン」な顔で帰宅したおっとに「絶対、新規契約にOKするな!」と言い聞かせて20時を待ったのである。 おっと「大丈夫。ぼくは凍結した保険金がいつごろ受け取れるかだけ聞くからさ。」 保険員は「15分ほど遅れます。」とまずは連絡してきて30分遅れで到着した。 毎回保険員がコロコロ変わていたおかげで混乱していたのだが、こいつもまた新顔で、タバコ臭く、いかにも新人、といった感じで家に入ると始終笑顔でベラベラとまずは家のことを褒め、わたしたちの国籍当てクイズを一人問答して空はしゃぎする。 おっとも愛想笑いを浮かべながら、相槌を打っていたが、わたしはムッとした顔で黙って男の目を見ていた。 やっと保険の話になっておっとが例の保険の書類を見せ凍結した保険金がいつごろ受け取れるか聞いた。 保険員はちょっと真面目な顔をして書類に目を通し「旦那さんは、こんな高い掛け金はこれ以上払えない、ということですね?ああ、これは解凍して払い続けるよりも数年後に受け取ったほうがいいです。」 わかってんだよ、そんなこと。答えになってない。 保険員「それよりも今の状態はいけません。ご夫婦各自でめいめいの保険を掛けなければあとあとが大変ですよ。」 出た。 おっと「そう言われても今の我が家には余裕がないんで。。。」 保険員「皆さん、そうおっしゃるんです。でもね、まずは月々低い掛け金からスタートしましょう。これも最初はきついですが、慣れてくるものなのですよ。こんな金額は、毎月タバコを買ったり、嗜好品で簡単に飛んでいく額なんですよ。で、慣れた所で、ちょっと我々に一声かけていただいて、掛け金の月額をUPすると言う手もあります。」 おっと「でもねえ。。。」 こんな押し問答が1時間以上続いた。そしてわたしが切れた。 わたし「保険員さん、あなたはそれっぽっちの額、月々の嗜好品で飛んでいく、と言いましたけど、うち、嗜好品はおろか、食費も切り詰めて生活しているんです。あなたはお話から伺いますと、ご両親と同居で家のローンを払う必要もなく、困ったときはご両親にすぐに泣きつける、という結構なご身分のようですけど、我々ガイジンはここイタリアでは誰もそんな手を差し伸べてくれませんから。ですから今の我々に、新しい契約をする余裕なんてありません!」 保険員「そんな。。大げさな。。。(そんなに貧乏なんですか?←テレパシーで届いた彼の心の声)」 わたしは大きくうなずいた。 でもちょっとかわいそうになって「半年後ぐらいなら家具のローンがひとつ終るので、試しにもう一度いらしてください。もしかしたら契約できるかもしれませんよ。」 保険員「半年後なんて!今じゃないと!!」 おっと「わかりました、2~3日考えてお返事しますよ。」 保険員「ダメです!そうやってはぐらかして契約しないつもりでしょ!!」←子供か君は。 わたし「ええ、その通りです。さきほど言いましたように、今の状態では契約できません。」ときっぱり言い放って目を見据えた。 可哀相な若い保険員はやっと、はあ~っとため息をつき、顔を無理やり笑顔に戻してあるカタログを取り出した。 保険員「じゃあ、話題を変えて、コンコルソに着いて話しましょう。」 保険員が広げたカタログには、新しくはなっているが、おっとが昔これで友達を売った、あらゆる魅力的な賞品の写真が並んでいた。 おっと「あ、ぼくこのカーナビが欲しいなあ。」←簡単に引っかかるな! 保険員「カーナビはご紹介していただいたお友達から2人契約が成立したらもらえますよっ!ささ、お友達の電話番号を教えてください。」 喜び勇んで携帯のアドレス帳からどんどん友達の電話番号をたれ流しするおっと。ああ、2年前と同じ状況。。。。 あんた、これでホセにはさんざん後から「迷惑なことするな!」と怒られたんじゃなかったっけ? 保険員「ささ、奥さんも。日本人のお友達の電話番号を教えてくださいな。」 わたし「。。。。日本人同士ではこういうことはしないマナーなんです。」とそっぽを向いた。 保険員は一瞬ムッとした顔になったが、すぐに氷の笑顔に戻り、おっとからもらった電話番号を書きとめ、ようやく立ち上がった。 そして「こんな立派な家持ちなのに、それっぽっちの保険金も払う余裕がないなんてねえ。」と捨て台詞を残して去っていったのであった。 そうなのだ、我々は身分不相応の立派すぎる家を買った上、その家が問題だらけだから貧乏なのだよっ!!おととい来やがれ~~~~っ!!!!! 塩でも撒いてやろうか、とも思ったのだがおっといわく「塩をまくって?エクアドルではテーブルに塩をこぼしただけで「お金が出て行く」って言って縁起が悪いのにやめて!!」と止められた。 国が違えば、ずいぶん違うものだ。 ともかく。 こんな状況でイタ公に勝ったって、これが初めてじゃないだろうか? わたしは心の中で勝利の雄たけびをあげた。 この調子、今夜の弁護士事務所にも、っつ~か、裁判にも持ち越して欲しいものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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