テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
イタリアでは先日、結婚していなくとも同棲しているカップルに、結婚している夫婦と同じような社会保険だのなんだのの「扶養家族としてのカバー」を認める法案が成立したようだ。
それはひとえに「ゲイカップル」を認める、というところから発端したらしいのだが、それと同時に外国人、イタリア人カップルについても正式に同棲を証明する書類を提出すれば結婚していることと同じになるらしい。 ああ、そんな甘っちょろい法案って、犯罪が多発する匂いがする。 絶対「偽装カップル」が激増しそうだ。 昔なにかの映画であった。 ある外国人女性がアメリカ国籍が欲しくてお金を払って見ず知らずのアメリカ人男性と「偽装結婚」をし、まんまと国籍を手に入れそうになるのだが、監察が入り、慌ててその相手の男性と結婚するフリをするため、一時期一緒に暮らして、本当に恋に落ちるという話(だったっけ?)。 このニュースを聞いて、おっとの幼馴染みウイリアムを思い出した。 最近彼のことを書いていないのは、もうここイタリアにいないからだ。 最近のお友達に説明すると、 11年前、単身ミラノに乗り込んできたウイリアムはエクアドルからまずは家族、親戚を呼び寄せ、親戚の親戚や友達まで(おっと含む)まで呼び寄せて、マルペンサ空港近辺で一大エクアドル人村を形成。 家族親戚で固めて作った運輸会社は、トラック、ワゴン車を何台も抱える個人経営にしてはまずまず大きいものだ。(←おっとは彼のまねっこをしている) 数年前知り合った、美人の彼女のために家も買って、同棲しはじめてほどなく彼女が妊娠。 彼女の「子供には多国籍(USA イタリア エクアドル)持たせたほうがいい。」という意見で、彼女は、お母さんが住むロサンジェルスに昨年夏、出産準備のため旅立った。 彼女は再三ウイリアムに「ロサンジェルスに来て一緒に永住しよう。こっちのほうが断然住みやすいよ!」と薦めていて、いまやエクアドル人村の大ボス、ウイリアムは迷っていたのだがついに決意を固め、娘の生まれる予定日12月にあわせて、彼女に内緒でロサンジェルスへと旅立ったのだった!! 出発日前日。 いつになくわたしはウイリアムを質問攻めである。 クールでニヒルなわたしには、ウイリアムがここまで育て上げてきた全てを捨てて、愛のためにロサンジェルスに行くことが信じられなかったからだ。(←やつは誕生日が一緒だし。) ウイリアムは忙しそうに山のように積まれた書類にサインしたり、破って捨てたりしながら「永住はしないよ。」と答えたのでホッとした。 「こっちはオレがいねえと出来ないこともたくさんあるし、オレとしてもこの何年間で築き上げたものを全部捨てて、またゼロから他の国でやり直すなんてぞっとしないからな。」 わたし「じゃあ、いつ帰ってくるの?」 ウイリアム「とりあえず3ヵ月後だ。3ヶ月あっちで仕事してみて、もしも、あっちのほうが本当に住みやすいなら移住も考える。」 わたし「じゃ、もしそうなったらまた家族で大移動?」 ウイリアム「いや。。。もうみんなはこっちで自立してきてるし、この事業を潰したくないし、家も売らないで母ちゃんに預けていくから、行くならオレだけだ。」 わたし「そっか~。このロサンジェルス行き、彼女に内緒なんでしょ?きっとすごくびっくりして、大喜びすると思うよ!」 そしてウイリアムは次の日朝早く旅立っていった。 おっとはジェノバのいとこも一ヶ月前にエクアドルに永久帰国したばかりで、今度は幼馴染み、と立て続けだったので、ひどく哀しそうだった。 しかし。 「時」というのはいいこともいやなことも忘れる薬のようなものだ。 すっかりウイリアムのことも忘却の彼方に消え去り、そのおかげで足しげく通っていた「マルペンサエクアドル人村」にも行かなくなってしまったおっと。 ある日、息せきって帰宅する。「ねえねえ、今ウイリアム、どうなったか知ってる?」 わたし「。。。知るわけないでしょ。」 おっと「今日、彼女の弟の彼女(ややこしい)に偶然ばったり会ったんだよ。で、話を聞くとね。。。」 ウイリアムは出産予定日、大きな花束を抱えて彼女の病院を訪れた。 娘はすでに産まれていて、彼女は大きな驚愕の目を持ってウイリアムを迎えたそうである。 しかしその「驚愕の目」とは、歓喜によるものではなく「何であんたが来たの!?」というものだったらしい。 そこには彼女同様、顔色を変えた彼女の母親が立っていて「ちょっと話があるの。。。」と外に出て聞いたところによると、ウイリアムの出現は迷惑せんばんである、すぐさまイタリアに帰ってくれ、ということだった。 なぜなら。 彼女はついこの間、某アメリカ人と結婚した、というのだ!?だから邪魔しないでくれと。 当然ウイリアムは目が点になり、怒り狂って「そいつを出せっ!話したい!!」とわめいたらしい。 彼女の母親は「どこにいるか知らない。誰かも知らない。」の一点張りである。 ウイリアムは相当ごねて、どうもならない状態で、哀しそうな背中を見せてそこから立ち去り、行方不明になってしまった。 おっと「ウイリアムと彼女、妊娠する前からかなりぎくしゃくしてたからね。何度も『別れよう。』という話になって、でも彼女が妊娠しちゃったから思いとどまっていたところもあったしね。」 わたし「ちょ、ちょっと待って。彼女がロスに行ったのは夏でしょ?半年もたたないうちに相手見つけて結婚しちゃったの?確かに彼女美人だけど臨月近くの妊婦なのに貰い手があった、というかなんというか。。」 おっと「そうだよ、そんなことあっちじゃ簡単らしいよ。お金さえ払えば。。。」 わたし「えええっ!!!それって、偽装結婚っ!!??」 彼女。。。たくましい。 そうか、イタリアにいるあいだは、イタリア国籍をあてにするためにウイリアムとの仲をキープしておいて、アメリカに渡ったらさっさと鞍替えか。 まさか現実に、そういう世界に出会えるなんて思わなかった。違) そういえば、何年か前にぼんぼんイタリア人と結婚したマリソルも、イタリアに来てまず最初に闇のメキシコ人組織から滞在許可証を買って、ばれないうちにそれを本物に更新しちゃったんだよな。 南米人女性、すごいわ。そのバイタリティ、見習いたい。 わたし「じゃ、その後ウイリアムどうなっちゃったの?帰ってくるんでしょ?!」 おっと「さあねえ?ロスのどこかで働いて、そのまま帰ってこないかもね。」 わたし「ウイリアムの弟に電話して真相を確かめなよ!」 おっと「なんでそんなことしなきゃいけないのさ?」 な。。。なんでって。。。。。。。 あんた、ウイリアムの幼馴染みなのに、心配じゃないのか!? 平然としているこいつのメンタリティがまだまだ理解できないわたしなのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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