テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:イタリアお役所戦記
ここのところ、ガス、電気、水道代の請求書と一緒に、罰金書留がしょっちゅう郵便受けに入っている。
光熱費に関してはだいたいの値段が予測できるので、痛いな、と思いながらも驚かない。 だが、去年の夏、我が家のクルマで旅行したサルデーニャ島からわざわざ遠いミラノまで「通行禁止地域立ち入り 80,77ユーロ。」と罰金がこの間来たときにはあっちゃ~、と焦った。 共犯は仲のいい、例のマリソルと旦那さんだったので先日彼らの家に行ったときに半分払ってもらった。 そういえば、しつこくうらみ続けているのが数年前、引越しを依頼してきた日本人のHくん。 最初に料金についてちゃんと話し合わなかったわたしたちも悪いのだけど、3日間に渡って遠距離&相当量の荷物の運搬を夜中におっとに頼んで、お金も払わずたった1回、運搬の最中に安い中華をおごってチャラにした奴。 それだけでも許せないのに、数ヵ月後、奴のナビで往復した道で「通行禁止地域立ち入り 80,77ユーロ。」と罰金が来たときには怒り暴れたのだが、奴はすでにどこかの外国に引っ越して行方不明になっていたので、地団太を踏みながら払った。 そしてよくあるのが、夜遅くまで友人たちと出かけて、終電がなくなったから、クルマを持っていない友人たちを送っていって知らない道に迷い込み、数ヵ月後に「通行禁止地域立ち入り 80,77ユーロ。」が来るパターンだ。 いまさら、友人に「罰金が来ちゃったから。。。」というのもなんだか気が引けて(しかもたいがい「友人の友人」とかで、そのとき限りのひとが多い。)、納得のいかないまま我が家が払ってしまう。 こういう場合、クルマ持ちのみなさんはどうしているだろう? 数ヶ月前は「罰金催促を数回に渡り無視したため、540ユーロ。」というのが来て仰天した。 が、その罰金書留が来たのははじめてで、カーナンバーはあっているものの、おっとの名前が微妙に間違っている。さっそく近所の警察に持って行って文句を言うと、あっさりチャラにしてくれたのでホッとした。(←いったいなんだったんだ?) それはともかく、今までのは、まあ身に覚えがあるものがほとんどで、「え~?この日、こんなところに違法駐車(35ユーロ)なんてした覚えなんてないよ~。」などと言いながらも少額ならば、揉めるよりマシ、と払っていた。(←経験から学んだイタリア社会の鉄則) 先々週もある罰金書留が来たので、週末に郵便局に取りに行った。 「赤信号無視 158ユーロ。-6点の減点。」 微妙に大きすぎる額と、しかも減点付きである! わたし「ちょっとおっと!罰金多すぎ。しかも今回は減点なんて!もっと注意して運転してよ!!」 おっと「待って、これステファノのワゴン車のナンバーだよ。あいつ、いい加減な運転しやがって!」 わたし「そう。。もちろん給料から差し引きよね?そうじゃないと学習しないよ。」 おっとは罰金書類を読んでいて目がだんだん険しくなってきた。「これ。。ローマからだよ。いったいどういうこと?あいつ、僕に内緒で遠距離運搬のバイトをやったんだ!」←周りにそういう輩が結構いるらしい。 わたし「ええ!ワゴン車をそんな長距離走らせたら、売るときの査定額が下がるじゃない!?」←現実派 おっとは低い声で「。。。いいんだよ、バイト別にやってくれても。でもさぁ、ボスであるぼくに内緒ってひどいじゃないか。」とベッドに倒れ、丸まってしまった。ナイーブなおっとは相当傷ついたようである。 わたし「と、とにかくステファノに電話してはっきり言いなよ?黙ってたらつけあがられて、そのうちワゴン車持って、ドロンされちゃうかもよ?」 おっとはもうなにもかもがイヤになったようで、その日は黙ってぼんやりとTVなどを観ていたのだが、やがて決意したように立ち上がりステファノに電話した。あの優柔不断なおっとが勇気を振り絞り、ありのまま伝えると、ステファノも相当驚いたようである。 ステファノ「なんだって、ローマ!?もう十数年行ったことないよ!絶対間違えて罰金が届いたんだって!!いつの日付になってる?」 そこでおっともちょっと我に返ったようである。書類を見るとその日は金曜日。 おっと「あ。。。ほんとだ。ありえない。実は君がこっそりぼくに黙って週末にバイトをしたのかと思ったんだ。」 ステファノ「君のワゴン車を使って、何か仕事外にするなら絶対言うよ!しかも遠距離なんてそんなずうずうしいことしないよ。」 おっと「うんごめん、おかしいとは思ったんだ。いやっ、ぼくは君がちゃんと言ってくれれば、時間外労働することにまで首は突っ込むつもりはないよ。てか、大賛成さ。」 わたしにはキラキラと友情のオーラがこちらに背を向けて電話しているおっとと受話器から発せられるのが見えた。 まったくボスの威厳ゼロ男である。 おっとはそれから対策について少しステファノと話した後、ニコニコと電話を切って「今からスーパーに行くよ。」と言った。 わたし「なんで?」 おっと「会社の仲間に週末、スーパーの万引き監視要員をやっている奴がいて、そいつがこういうことに詳しいから買い物ついでに聞きにいく。」 わたし「はあ。。」 スーパーで彼を探すのは大変だった。 なにせ万引き監視要員なので、普段着で普通の買い物客に紛れ込み、買い物をしているふりをして一日中広いスーパーの中をうろうろしているのだ。しかしあきらめて買い物を済ませ、レジに向かおうとしたところ「いやぁ、マルちゃんも買い物?」と両手を広げて向かってくる彼がいたのでホッとした。 2人が立ち話を始めたので、わたしはおっとにカートを残してスーパーを出、あちこちの店を放浪して帰ってくるとやっと2人が別れておっとがレジに並んでいるのが見える。一緒に並んで「どうだった?」と聞いた。 おっと「まずは会社にステファノがこの日、ミラノで働いていた証明書をつくってもらって、異議申立書と一緒にローマの警察に書留で送る。」 わたし「ふんふん、それで?」 おっと「そこからは知らない。あいついわく、それでもう罰金は払わなくていいらしいんだけど?」 わたし「え~、そんないい加減なはずはないよ。やっぱり警察にちゃんと聞いたほうがいいよ。」 翌日月曜、おっとは前記の名前違いで罰金をチャラにしてもらった警察に聞きに行ったようである。「書類だけじゃ効き目ないって。弁護士のレターをつけたほうがいい、って言われた。」 わたし「弁護士のレターだって!?いったいいくらかかるかわかってるでしょ!?罰金の何倍もするじゃないの!なんで向こうのミスでこちらがそれだけのことをしなくちゃいけないのよっ!?」 わたし「第一、赤信号無視なら写真に撮られてるはずよ、なんとかこっちまで郵送か、メールで送ってもらえないの?」 おっと「罰金の書類には写真はないって書かれてある。。。」 わたし「くっそうっ!ローマじゃなきゃ乗り込むのに!!」 じたばたしながら数日が過ぎた。 ある日おっとが帰宅して「この週末ローマに行くからね!」と意気揚々と言ってきたのだ。 わたし「え?直談判??」 おっと「今日ね、偶然にもローマからの引越しの運搬の仕事の依頼が来たんだ!いつもなら、そんな遠距離受けないけど、今回はローマに行くついでに警察にも行けるから、一石二鳥で引き受けた。」 わたし「うわ~、よかったね!無実の罪を晴らしてくるんだ!!」 おっと「うん!!」 そしておっとは先週末ローマに一泊二日で旅立っていったのであった。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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