テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:ご近所物語
今日はやっと雨がほんの少し降った。
しかし日曜日は朝から快晴で、ずいぶん遅起きしたわたしたちは、窓を開けて広がる青空を見て「とにかく外に出よう!」と着替えにかかった。 わたしはおっとが朝食を用意している間にイタリアのロードマップを広げる。 おっとはいつも外に出たいくせに、やっぱりヤギなので、彼に決めさせると晴れた日には洗車場か、良くて人ごみであふれかえるIKEAの地下の雑貨売り場、雨の日にはよそのヤギ宅、などとイカさない選択をしてしまう。なのでわたしがいつもどこに行くか考えなくてはならない。てか、まかされっきりだ。 時計を見るともう11時半だ。遠出はできないな。。。。 しかし、我が家周辺のレッコ湖やベルガモの町はきれいだけれど何回も行くほど魅力的じゃないし。 ちゃんと前もって企画しておけば友達でも誘って遠出かピクニックも出来ただろうが、毎日顔を突き合わせていて、しかもケンカしたばっかりのおっとと2人きり。。。? そう考えると気が滅入ってきてどうでもよくなってきた。 わたし「去年コックさんと行ったクレスピ ダッダ(ディ アッダ)に行こう。あの町はいまいちだったけど、アッダ川沿いを散策すればいいし。」 アッダとは遠くはスイスを経て、コモ湖とつながるレッコ湖に流れ込んだ水がミラノの東に川となって流れているところだ。 その川はミラノに近づくと大きく汚くなるが、まだ我が家から近いクレスピ ダッダあたりならきれいで夏は泳ぐことも出来る。 わたしたちはリュックに水やリンゴ、スナックを詰めて出発した。 前回行った道をそのままなぞっていく。 道に迷ってうろうろしたところも同じようにたどっていくと。。。。。。。。 またもや道に迷ってしまった。涙 果てしなく広がる大草原の一本道脇にクルマを停め、地図(イタリア全体図)を見直しているとおっとの携帯が鳴った。エルトンだった。 エルトン「よう、今日はいい天気だな!アッダ川にピクニックに行かないか?」 わたし「行く行く。行こうとして道に迷ってたんだ。」 エルトン「じゃあ、うちまで戻ってきなよ。」 さっそくエルトンの家まで戻る途中に大きく「クレスピ ダッダ→」と書かれた標識を見つけるわたしたち。。。もういいや。 エルトンの家につくとエルトンはまるで夏のようにTシャツ短パン姿でリュックにお菓子を詰めている。「きみたち、そんな姿で暑くない?」 確かに暑い。気温は絶対24~5度だ。 わたしは薄手とはいえ黒いハイネックのセーター、コーデュロイのパンツ。おっとはTシャツの上に長袖のポロシャツ。 わたしは洗面所を借りてセーターを脱ぎ、おっとのポロシャツをかぶった。 着替え終ると、ころっとしたブラジル人の女性が赤ちゃんを抱いて寝室から出てきた。 ああ、これが例の居候か。ちょっとわたしの目は険しくなった。 エルトン「彼女はアドレアーナ。旦那ともうひとりの娘はもう川で待ってるよ。さ、出発しよう。」 なるほど。この居候家族を運ぶのにエルトンの2人乗りのワゴン車では足りないから駆り出されたわけね。苦笑 わたしたちは後部座席に奥さんと子供を乗せてエルトンのワゴン車についてアッダ川に向かったのだった。 エルトン「今日はこの間のメドラゴとは別のところに行くよ~。」 今回の場所はどこか忘れてしまったが、もっと我々の家に近いところに着いた。 エルトンは「アッダ川名人」だ。 この間のメドラゴも悪くなかったが、この場所も、高台に教会が見え、貯水ダムの水が轟々と流れ込む川にはたくさん魚がいるピクニックにはもってこいの場所だった。 あちこちでいろいろな国籍の家族がBBQをしている。 わたしたちが歩いていくと、小さな可愛い女の子が駆けて来てエルトンに飛びついた。エルトンはそのこと手をつないで歩き出す。まるで父娘のようだ。 その向こうでは本当の父親がサッカーボールを片手に待っていた。 エルトンは古いシーツをひろげ、アドレアーナはその上に眠ってしまった赤ちゃんをそっと置く。 。。。。。なんかもう、ひとつのファミリーが出来てるって感じ? わたしたちはやっと自己紹介をしあった。見た目、この居候たち、おだやかで無垢な羊のようである。 そして恥ずかしそうに父親のシャツのすそにしがみついている女の子、シーツの上ですやすや眠っている赤ちゃんを見ると、確かにこの子達を追い出すなんて出来ないエルトンの気持ちもわからなくもない。 男たちはさっそくサッカーならぬ「蹴鞠?」をはじめた。 相手が蹴ったボールを地面に落とさずに足でキャッチして廻す。 うん、これならエルトンを次回のフットサルに連れて行ってもいいな。 わたしはシーツのはしっこに座り、空を見上げた。 暑い。カンカンと陽が照りつける。 アドレアーナのそばでは女の子がつまらなそうにボールを転がしているので「一緒に遊ぶ?」とわたしが立ち上がると、恥ずかしそうに母親を見たあと、笑顔になって立ち上がった。 小さい子供にわたしはかなり加減してボールを蹴っていたのだが、4歳になるこのコ、上手に結構力強くボールを蹴ってくる。 さすが、サッカー王国ブラジル生まれだ。 感心しながら遊んでいると、彼女は近くで遊んでいる子供たちが気になってきたようである。 わたし「ほら、一緒に遊ぼ、って行って来な。」 彼女はうれしそうに駆けて行った。 わたしはまたシーツに戻り、女の子の様子を観察しながら赤ちゃんのそばにいるアドレアーナに背をむけて座っていたのだが、背後から彼女に話しかけられた。 まだイタリアに着いて2ヶ月、という彼女、たどたどしいがずいぶん上手にイタリア語を話す。ポル語と伊語が似てるといっても上達早すぎ? どうせ、コミュニケーションができないだろうと、黙っていたので(わたしは辛抱強く、相手を待てないタイプ)意外だった。 アドレアーナ「イタリアには以前も来たことあるから。。」 なるほど。そうとわかるとわたしは向きを変えて質問攻めに遭わせようと思っていたのだが、彼女からまるで我がおっとがいつもはじめて会う人には必ず、といっていいほど始めてしまう様に、 自分のおいたちからここまでの個人史を一気に語ってくれたのだった。 なんでもイタリアに来るまではブラジルの大手旅行代理店で働いていて、彼女いわく27歳というとてつもない晩婚で(←ブラジル観だなあ)結婚、子供が出来て退職し、2人目の子供が出来たときにデンマークに住む友達を頼って海外に移住を決めたそうだ。 わたし「。。で、なんでイタリアなの?」←当然の疑問 アドレアーナ「わからないわ。デンマーク行きの飛行機を待ってイタリアでホテル住まいしているうちに居ついちゃったの。」 わたし「イタリアに誰か親戚か知り合いがいたの?」 アドレアーナ「いないわよ。そのうちホテルで知り合ったシニョーラが家に招待してくれて一緒に住み始めて、わたしにも旦那にも仕事もくれたんだけど。。」 わたし「その仕事は?なんで続けていないの?」 そのとき、赤ちゃんが目をさましてよちよちシーツの上を這い出した。アドレアーナは会話をやめて赤ちゃんに集中する。 くそうっ!肝心な時に!! 男3人が「腹減った。メシにしよう。」とわらわらと戻ってきた。 わたしたちはこの日の飛び入り参加なので、先述のお菓子しか持って来ていない。 エルトンたちは山のようなフォカッチャの包みをひらいて「さあ、食べて!」と進めてくれた。 ああ、以前のエルトンとのピクニックはBBQがお約束だったのに。。。。 まわりのBBQのおいしそうな肉の匂いを嗅ぎながら、塩味のフォカッチャを食べるわたしたち。飲み物はスーパーブランドのコーラみたいのと、水。 。。。そういえば、似たような小話が落語であったよな。涙 食べ終わるとまた男たちは蹴鞠をはじめ、アドレアーナは赤ちゃんをあやしはじめたので、わたしは女の子と手をつないでダムのそばの小道を散策しにいった。 いろいろわたしに喋りかけてくるのだが、スペ語ならともかく耳慣れないポル語+幼児語なので、何を言っているかわからない。 ちりちりなのにふわふわの巻き毛の女の子。小さな花を見つけて摘んできて見せてくれる。 ああ、先日エクアドルに永久帰国してしまった小悪魔ミッシェルちゃんと歳は近いのに大違い。。。 可愛いなあ☆ やがて、陽も傾いて涼しくなってきたので引き上げることにした。 駐車場まで行くと、なんと3頭のポニーが草を食んでいた。 わたしが恐る恐る近づいていくと、女の子も駆けて来てわたしの手をぎゅっと握る。それが愛らしくてまた萌えてしまう。 おかしい、ロリな趣味はないのに。違) うんうん、こんな可愛い子なら、そりゃあ、エルトン、追い出せないよなあ。。。。 ポニーたちはおとなしかった。 わたしたちはひとしきりなでなでしてクルマに乗り込んだのだった。 わたしたちはエルトン一家(?)を送った後、わたしはやっとじんましんのおかげでしばらく行けなかったプールにGO!(おっとは前日フットサルでひざをすりむいたのでパス) プールは混み込み。冬は誰とぶつかる心配もなく、ひとりで1レーン、好きなだけ泳げたのに。。。 わたしの季節は終ってしまったな。これから夏に向けてさらに混みそう。 そう思うとなんだかしらけていつもの半分ほど泳いで引き上げた。 それにしても充実した一日だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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