テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:ご近所物語
昨日の日記から気を取り直して、s◎i◎◎◎ci◎家、翌土曜日。
朝9時前ぐらいに目を覚まし、s◎i◎◎◎ci◎さんの部屋をのぞくとまだ寝ていた。_| ̄|○ しかたがないなあ。 わたしは顔を洗って着替えて、空手道場ほどの広さがあるリビングに行くと、大きなベランダからは運河が目の前、水の上を進むバポレット上の観光客がわたしを見て手を振った。 めちゃくちゃな好天である。 前日は夜遅くでゆっくりおうち拝見が出来なかったが、s◎i◎◎◎ci◎さんちって、運河沿いの角の家でめちゃくちゃ立地条件がいい。 天井にはベネチアつくりのガラスの花の咲いたシャンデリアがぶら下がり、 天井までの書棚には古い天使の絵のペイントがほどこされている。 壁の至る所には広重、歌麿、北斎の本物の版画が!(北斎はこの中でも高い!とうちの社長談) 部屋の数もホテルが出来そうなぐらいたくさんある。 す、すごい。。。 わたしは書棚からベネチア観光の本を拝借してヤギなら10匹ぐらい座るんじゃないかと思うような長いソファの隅にちんまりと座って本を広げた。(真ん中に座ると沈んで、まわりに支えがないので横倒しになったため。) しばらく上の空で読んでいたが、とうとうつまらなくなって一番奥にあるs◎i◎◎◎ci◎さんの部屋のドアをドンドン叩いてまさに「叩き起こした」のだった。 s◎i◎◎◎ci◎さんが出かける準備をしている間、わたしはキッチンでコーヒーを飲んでいたのだが、彼女がどこかから「いくきとちゃん、あのね~。」と喋りかけても家が広いので探し回らなければならず、家が広すぎるのも不便というか、貧乏所帯の狭さに慣れてしまった自分がイヤになった。 やっとお昼前、わたしたちは外に出た。 s◎i◎◎◎ci◎さんは慣れた足取りで路地をすいすい歩いていく。彼女の行きつけのBarで朝食を済ませ、1年にほとんど開いていないことが有名な、おいしいことでも有名なお菓子屋さんでプチケーキを買って、国鉄駅に向かった。向かう途中、首からカメラを提げたわたしは見納めに写真を撮りまくる。 コンテンポラリーアートが街角に急に展示されている。 ベネチアらしく渡し舟。 なぜならこの日、わたしたちは彼女の15年来の旧友Fさんにお昼ごはんに呼ばれたのだった。 Fさんちはベネチアから鈍行で30km。ちょうどミラノから我が家に行くほどの距離で、だんだん田舎になりぐあいも似ている。 無人駅に着くと駅前にFさんが可愛い真っ赤な小さいクルマでお出迎え。さばさばした感じのお姉さんだ。 なんと彼女とs◎i◎◎◎ci◎さんはこの日が9年(?)ぶりの再会。なのに、この慣れようがすごい。おもしろいひとだ。←2人に「いくきとちゃんおもしろい。」と言われたが、それは違うと思うのだ。笑 わたしたちは彼女の住む、大きな田舎家に着いた。 前庭にはシーツが気持ちよく広げて干してあって、裏庭には鶏が走っていて、横庭には家庭菜園があって、日本の懐かしの田舎家を想像させなくもない。 大きな明るいダイニングで大きな丸テーブルを囲んで旦那さん、14歳と8歳の息子君と共に、全て自家製野菜で作られたピーマンの煮つけとか、枝マメとかサラダとかをから揚げと一緒に柔らかい口当たりのこれも自家製ワインで楽しく食べた。あ~あ、もうアルコールはしばらくやめようと思ったのに。 食事が済むと、女三人でおしゃべりが炸裂である。おかしい、このふたりは関西人でないのに、ぼけと突込みがナチュラルだよ? ああ、おだやかだ。あんなおっとのいるミラノに帰りたくない。。。 しかし帰らなければならなかった。わたしはしぶしぶ席を立ち、2人に送られて電車に乗った。s◎i◎◎◎ci◎さんは残って、さらに炸裂するらしい。うらやましいな。 旅というのは往き道は興奮してワクワクするが、帰り道、というのはなんだか寂しい。 あ、哀しくなってきた。。。きた。。。。キター!!←ふるっ そうやって哀愁を漂わせて夜11時ごろ家に帰りつくとおっとは居なかった。あ、そういえばエルトンと日本人フットサルの試合に出かけたんだっけ。 わたしは疲れてソファにリュックの中身を全部投げ出し、歩きながら服をあちこちに脱ぎ捨てて、誰も見ていないことをいいことに真っ裸で洗面所に歩いていってシャワーを浴びた。 浴び終わる頃に玄関の鍵をガチャガチャ開ける音がする。 ああ、おっとが帰ってきたんだな。 おっと「上がれよ、腹減っただろ?パスタでも作るからさ。」 え?エルトンをうちに上げてるの?やばっ、あちこちに衣類が散乱してる。 耳を済ませていると、おっとが大音量でサルサをかけた。 ?? エルトン、サルサそんなに好きじゃないはず??? バスタオルで身体を拭いてバスタブから出てあることに気がついた。 ふ。。。。服を、着替えの服を持って来てない!! OOOOOOOOOOHHHHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOOOOOO!!! わたしは洗面所のドアを糸の大きさぐらいに開けて、そばの窓ガラスを見ると、反射して数人がキッチンのテーブルに座っているのが見えた。 OOOOOOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!!????????????? わたしはドアをそうっと閉め、あらん限りの声で「おっと~!!!ちょっと来て~!!!!」とわめいた。 不機嫌そうに「どうしたんだよ?」と入ってきそうになるおっとをドアギリギリで阻止し「服、持ってきて。」と小声でささやく。ぶつぶついいながらおっとが持ってきたのは「パジャマ」。 確かに時間的にはパジャマが相応だが、状況的には普通の服だろう? それに、あの~、パンツも欲しいんですけど? 仕方がない。 わたしはノーパンでパジャマを着て「ああ、みなさんいらっしゃい。」と引きつり笑いを浮かべて寝室に駆け込んだのだった。 寝室でパンツを履きながら、キッチンで見たメンバーはジェノバのいとこルイスとその友達で片目がちょっとつぶれた男、そしてエルトンだったことにショックを覚えた。 エルトンはともかく、あいつらがなんでミラノにいるんだよっ!? ここは日本ではないので「ちょっと実家に帰ります。」が簡単に出来ないのが悩みの種で、その反動で確かにわたしは「家出」をたまにする。 だいたいわたしが「家出」をするときは、今回のようにおっととの関係が限界線を超えたときにする行動なので、わたしの心情としては、おっと独りで家に残り、なんでこうなったかじっくり反省して欲しいところなのだが、異国のヤギはやはりメンタリティーが大きく違うので、こういう場合、やつは必ずといっていいほどこれを幸いに家に思いつく限りのヤギを呼び込むのである!! わかっているんだ、わかっているのに。。。 こうも納得がいかないのはなぜ? やがてパスタが出来たようだ。 エルトンがおっとに何かささやいている。 おっとは寝室のドアを開いて作り笑顔で「いくきーとも食べる?」と聞いてきた。 そこでやっと腹ペコだったことに気付いたわたしは「ああ、ありがとう。」といってお皿を取りに行った。 エルトン「いくきーともここに座って食べなよ。」 わたし「あ、いい。寝室で食べる。」←誰とも口を利きたくない気分 エルトン「。。。疲れてるんだね、大丈夫?」 。。。。。エルトン、事情がわかってるんだね。じゃ、そっとしておいて。 食べ終わってお皿を流しに置いて、洗濯機の前で洗濯物を無言で干していると、さすがにヤギなルイスもどよんとした雰囲気に気付いたらしい。「。。。。おれたち帰るわ。」 わたしは無表情で「あれ、泊まって行くんじゃないの?」 ルイス「。。。いや、フットサルしにきただけだから。じゃ。」 わたし「あ、そう。」と顔も見ずにいると彼らは出て行った。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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