テーマ:妊婦さん集まれ~!!(4774)
カテゴリ:妊娠子育て中の話
両親が帰国してから3日目。
あれほど毎日のように吐いていたつわりも、この短期間で「ちょっとムカムカするけど。。。」ぐらいになり、出血もその少し前からない。ずっとベッドの上にいると、腰が痛くなってたまに起き上がるのも激痛になってきたので、努めて椅子に座ってPCをしたり、短時間づつ立ち歩いて簡単な家事をするようにしている。 ここ数日でお腹も急に出始めて胎動らしきものも感じられるようになった。(というか、今までそんなことに気づく余裕がなかったのかも?) 先日の医師の指示で、今まで続けていた流産予防薬の一部を止めたり、時期もイタリアでいう18週目(日本は10ヶ月10日で出産するというけれど、イタリアでは9ヶ月で出産という計算なのだ。)という、安定期に入りつつあることもあって、一概には何がよかったのか言えないが、やはり両親アレルギーだったのだろうか? ***** 明日は待ちに待った羊水検査だ。 妊娠が発覚してからというもの、ずっとこの検査がこわかった。 羊水検査というのは、胎盤の中の羊水を注射で摂取し、胎児がダウン症などの障害児として生まれてくるか調べる検査なのだ。 そんなおそろしい検査、もっと早くにやりたかったのだが、胎児がある程度発育し、胎盤内に羊水が充分量満たされていないとできない検査なので今日まで待たされたわけである。 ちなみに30歳の妊婦からダウン症児が産まれる確率は1/700、わたしの年齢で見るといきなり1/80である。 OOOOOOOHHHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!! 高齢になればなるほどその確率は高い。イタリアでは普通、この検査にかかる費用は800~1200ユーロ(132000円~198000円)といわれているのだが、35歳以上の妊婦は高リスクなので無料である。 そりゃあ、もちろんやるに越したことはないのだが、実はこの検査、注射針を胎盤に刺すことによって流産のリスクが伴うので2度も流産経験のあり、高齢なわたしは、2週間ほど前に夫婦揃ってこの検査をする意志があるかどうかの相談に呼ばれた。 診察室に呼ばれると、いつもと違う女医さんがいて、まず羊水検査の必要性、どうやって検査をするか、検査結果の見方、などを説明してくれる。 ダウン症は遺伝でもなんでもなく、どうしたら発症するのか解明されていない。医師いわく「神様のいたずら」なんだそうである。 正常な男女は染色体が46だそうだが、ダウン症になると47になるのでそれで判別するらしい。 女医「この検査、やりますか?」 わたしとおっと「もちろんやります。」 女医「結果は検査の3週間後に出ます。もしこの結果が正常じゃない場合の処置はおふたりでもう決めておられますか?」 わたし「わたしは決めてますが、おっとからまだそのことは聞いていません。」とおっとを見た。 おっとはつらそうにうつむいて唇をかみしめたまま、返事をしなかった。 私の考えはこうだ。 もし生まれてくる子供がダウン症でも育てていく覚悟があるなら、こんな検査ははじめから受けない。 わたしは高齢だし、きっと子供のほうがわたしより長く生きるだろう。 親や親戚など誰も頼る人のないイタリアで一生赤ん坊のままの自立できない子供を生むことは親の責任として社会への責任として許されないことだ。 わたしの同僚のお嫁さんのお姉さんに重度のダウン症で、わたしよりも2つ年上のひとがいる。 お嫁さんは同僚と結婚するまでお母さんと小さな文房具店を営みながら、一緒にずっとこのお姉さんにつきっきりで世話をしていた。 しかし、そのお母さんが先日亡くなり、お嫁さんにも赤ちゃんができて、世話が続けられなくなり、この可哀そうなお姉さんは離婚したお父さんの元に引き取られたのだが、タクシーの運転手をしているお父さんにはとうてい世話は無理で、現在は叔母さんの家に預けられているそうである。 近くでこんな光景を目の当たりにしていると、やっぱりこんな子を産んじゃいけないと思う。 子供が小さいうち、まだわたしたちが高齢といえども若いうちはいいが、周りだけじゃなく、その子まで不幸になってしまう。 しかしこの決意も毎回エコーで胎児が成長していく過程を見るたび、最近は胎動を感じるたび、かなり揺れ動いてはいる。 もしそんな子だったらどうしよう。。。ここまで育っているのに。 なので、わたしは羊水検査の結果が出るまでなるべく情をかけないべく、おっとのようにお腹に向かって話しかけもしないし、おっとが最近でたらめにつけているさまざまな名前も呼ばない。 名前を決めてしまったら最後、このお腹の中の「小さな人間の形をした生物」はたちまち「我が子」と変化し、感情に流されて肝心なところで誤った選択をしてしまいそうだからだ。 女医はしばらく無言のおっとの答えを待っていたが「まあ、まだ検査まで2週間ありますから、それまでおふたりでよくお考えになって。」といい、 「今日このあと、Ecografia di Genetica(ちょっと特殊なエコー?)をやっていただきます。それで外見的な異常を調べます。奇形児の場合、手の指が5本でなかったり、鼻が異常に低すぎたりするのでわかります。ダウン症も首の後ろにこぶができていたり、首が異常に太かったりするので、これだけでも判断がつくことができます。このエコーで外見的に異常がない場合はダウン症児が産まれる確率が1/80から1/360、つまり1/4に下がります。」 その言葉を聞いて、わたしたちは硬直した。そのままいつもと違う薄暗いEcografia di Genetica専用の部屋へと移動した。 中には数人の医師がいて、超音波の機械は、いつも診察で使っているものと何かが違う。 わたしは診察台に仰向けに寝て、お腹に青いジェルを塗りたくられてエコーがはじまった。 いつもと違うのはモニターがもっと精密で写りがよく、「はい、ここが心臓、ここが胃。。。」などと内臓まで拡大で見られることだ。別のモニターでも同じものが写し出され、別の医師が記録を採っていく。 医師「性別を知りたいですか?」 わたしとおっと「もちろん知りたいです!!」 医師「両足正常。。足の指もちゃんとついてます。。ああ、これはたぶん男の子ですね。」 うわ~。。。しかしあまり驚かなかった。おっとは最初から「男の子が欲しい!」と言っていたが、それに感染されたわけでなくわたしの中でもなんとなく男だ、という気がしていたので「やっぱり当たった!」ぐらいにしか思わなかったのである。 医師「身体は正常です。頭部は。。。ううん、動いてくれ~!」 モニターをみると、胎児の頭部が写っていたが、さっきまでは大暴れしてなかなか写真に撮らせてくれなかったこの子、動いて欲しいときにまったく動かなくなってしまった。 医師は痛いぐらいわたしのお腹をぐりぐりしたり、ゆさゆさ揺らすのだが指をくわえたような姿勢のまま、一向に動かない。 医師「相当なはねっかえりですね、この子は。ちょっと一休みして様子を見ましょう。その辺のバールでパニーノでも食べて戻ってきてください。」 わたしたちは中途半端な気持ちのまま言われたとおりバールに向かって昼食をとった。首の太さでダウン症かわかるというのに、肝心なことがまだわからない。 おっとはしかしうれしそうだった。「男の子かぁ、ま、ぼくは女の子でも良かったんだけどね~。」←うそつけ 慌てて病院に戻ると、ちょうど看護婦がわたしたちの姿を見つけて「じゃ、また始めましょうか。」と再び診察台に上がった。 しかし同じだった。やはりこの頑固者は微動だにせず。。。 医師「お母さん、セキをしてみてください。」 わたしが無理やりゲホゲホするとモニターの中のお腹は大きく揺れ動き、胎児はびっくりしたらしく横を向いたところで医師がすかさず首の寸法を測る。 医師が「異常なし。。。」とつぶやいたので、わたしたちは全身から気が抜けた。 数人の医師が寄ってたかってエコー写真を現像し、カルテを書き「じゃ、2週間後に。」と終わった。 これでダウン症児が産まれる確率が1/80から1/360に減ってかなり安心したわけだが、まだ30歳の妊婦の倍だし、心配はつきない。 しかし、これもこの胎児の生存競争の序曲に過ぎない。 週数も重ね、出血も最近はないので流産のリスクからは遠くなってきているが、ダウン症のリスク、それをクリアしたとしても、早産のリスク。。。考え出したらきりがない。 もう、この胎児の運の強さと生命力を信じるしかないのである。わかっているのだけど。。。。 。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 ああ、明日かぁ。。。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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