テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
「ご無沙汰してごめんなさ~い、ペコポンにロングバケーションに出かけていたものですから。ホホ。」
なんて、この先書けるときが来るだろうか? ***** 2週間前、たった4日だけ 昨年、あの小悪魔のミッシェルちゃん(当時5歳)はエクアドルに永久帰国したので、きっとちょっとはおだやかな滞在になるだろう。 さらにジェノバに残った兄家族の娘、カティちゃん(11歳)も今年はサルデーニャ島のお友達の海の家に行っている、というおっとの情報である。 ああ、今年は今までと違うアダルトなバカンスなのだ。 今まで行きたくても行けなかった、ジェノバの夜のスポットなんかにも連れて行ってもらえるだろうか?と密かな期待で胸がふくらむ。 先々週の金曜日の夜、おっとの仕事が終わって夕食を済ませて我々はゆっくり出かけた。 いつもは出かける前に子供たちへのお土産にあれこれ頭を悩ませていたのだが、今回は簡単。ビール1ダース。ヤギにはこれで充分。 それとさらにノンアルコールビールを1ダース。 なぜならこれはエルトン用。今回は彼も同行の旅。おっとがはとこの迷惑も考えずに誘ったのだがお行儀のよい彼なら大丈夫だろう。 ミラノからジェノバはクルマで2時間。現在無職のエルトンがおっとの代わりに運転した。乗りなれたおっとの運転と違って、浮いているような運転で助手席のわたしはちょっとこわかったのだが、目的地まで爆走型のおっとと違って、まめに休憩を入れてくれたので快適にはとこの家に着いたのが夜中の12時を廻ったばかりのころだった。 ドアを開けるとルイスと妻ミリーが迎えてくれた。 ミリー「疲れたでしょ。もう遅いし寝ましょ。マルちゃんとエルトンは子供部屋で寝て、いくきーとはわたしたちと同室で寝てね。」 げ。 まさかエルトンを初対面の彼らと一緒には寝かせられないし、嫌だったが、仕方がない。 洗面所でパジャマに着替え、彼らの寝室に行くと、もう電気が消されていたのだが、暗闇に何かがうごめく気配がした。 ルイス夫婦はまだダイニングでおっとたちと喋っている。 変だな。。? ダイニングの彼らに挨拶をして寝室に戻るともう何の気配もなかった。 わたしは彼らが用意してくれた簡易ベッドに入ったのだが、すぐにルイスの大いびきで目が覚めた。 その後、いびきの騒音と部屋を漂う彼の体臭の臭さでほとんど眠れないまま朝を迎えたのだった。 顔を洗って、ダイニングに行くと「く~き、おはよう!」とずいぶん大人になったカティちゃんが挨拶してくるではないか?! わたし「え?あんた、サルデーニャ島に行ってるんじゃなかったの?」 カティちゃんは「もう1週間も前に帰ってきたよ。」と真っ黒に日焼けした顔から白い歯を見せて笑う。 そうか、昨夜のあの気配は彼女だったのか。 おっとの野郎、またガセネタを吹き込んで、わたしを失望させたな。。 仕方がない。カティちゃんはおとなしいからいいか。 わたしたちは朝食を済ませ、すぐに海とは反対側の山奥にある「BOLLOBLU」というプールランドに出かけることとなった。 なぜなら彼らは風光明媚なリビエラ海岸沿いに住みながら海が嫌いなのである。 去年まではミッシェルちゃん家族がいたから、今日はここの海岸、明日はあの浜辺、とリグリア海を満喫できたのだが、今年からは「穏やかさ」と引き換えにそのお楽しみは絶たれてしまったようである。 準備のために寝室に戻ると、子豚が一匹、わたしのベッドに座っているではないか!? げげっ!? よく見ると去年のあの忌まわしいカミッラ姉妹の妹であった! よ~く聞くと「く~き、久しぶり。」と言っているようだ。 こいつ、いったいどこから湧いてきたのだろう? 唖然としているとカティちゃんがニコニコと「昨日、彼女も一緒にプールに行きたいって、泊まったんだよ。気がつかなかった?」という。 気がついていたら、わたしは夜逃げしていたと思う。 急にプールが苦痛に感じられた。 黙々と水着の用意をし、ルイスのクルマとおっとのクルマの2台で途中、ルイスの友達家族を拾ってプールに向けてGO! カティちゃんと子豚は当然のごとく我々のクルマに乗り込んだ。 去年まではこの子豚たちのお守りは当たり前のようにわたしに廻ってきたのだが、今年はエルトンが後部席に彼女たちと一緒に座ってお守りをしてくれたので助かったのだった。 プールに着くと、さすがに海のそばなのでミラノのアクアネバとはずいぶん違ってガラガラである。 こんな時期に海に行くより正解かもしれない。 入り口で子豚が水着とバスタオル以外、何も持ってこなかったことが発覚。 ミリー「この子、マルちゃんたちの子供ってことでお金払って。ここはファミリーなら割引になるのよ。」 わたしたちはまったくわたしたちに似ても似つかない子豚を連れて安くない入場料を払った。割引になるのはいいけど、なんでわたしたちが子豚の分も払わなくてはならないんだ? 大いに不満を抱きながら、入場、きれいに刈り込まれた芝生の上にビーチタオルを敷き、わたしは疲れたのでそのまま寝転がり、みんなと子供たちはあっという間にプールに駆け出していった。 1時間近く経ってわたしもそろそろ泳ぐか、とプールの浅いところに足をつけると気がついたカティちゃんが近寄ってきた。「く~き、わたし水中メガネ、持ってこなかったの。それ使う?」とわたしのを見やる。 わたし「うん、わたしコンタクトだからこれなしに泳げないよ。あ、でもマルちゃんのがバッグの中に入ってるからそれを使っていいよ。」 彼女は芝生に向かって駆け出し、おっとの水中メガネを取ってきた。 するとそれを見ていた子豚「ねえ、わたしも持ってきてないの。それ貸して!」とわたしのを指差す。 たった今、使うから貸せないと言ったばかりだろうが!! わたしは苦笑いをして水中メガネをつけ、水に入っていった。 今年初めてのプール。山の中だし、まだ午前中だから水が冷たい。 お腹のミーちゃんが初体験でショック死しないだろうか?とひやひやしながら、お腹を水につけ、覚悟を決めて泳ぎだした。 子供たちを見ると、水中メガネはいつのまにか、子豚の手の中にあった。どうせカティちゃんから奪ったならちゃんと装着しろよ、とちょっとムカつく。 冷たい水も慣れてしまうと案外悪くない。最近お腹の重みで腰痛がひどいのだが、水の中でおそるおそる平泳ぎをしてみると身体が軽くなって気持ちがいい。 そこでプールの一番深いところで泳ぎを楽しんだのだった。 しかしそれもほんの数往復で断念。ここのところの運動不足とお腹の重みですぐに疲れてしまう。 普段なら2kmぐらい大丈夫なのに。。とちょっとがっかりしながら、岸にあがると、ルイスの友達の奥さんが座って浅いところでぱちゃぱちゃ泳ぐ息子と旦那さんを見ていた。 わたし「息子さん、おいくつ?」と彼女の隣に座る。 彼女は「3歳半。目が離せなくて。」と笑った。うちのミーちゃんもこんな風になるときが来るんだろうな。 彼女はイタリアで出産した、というので聞きたかったガイジン同士の夫婦の子供の出生後の必要な書類の手続きの方法を聞いたり(わたしの周りはみんなイタ人X日本人夫婦ばかりなのだ。)、今後どうするのかなど雑談を交わしていると、急に彼女の顔が険しくなった。 わたし「どうしたの?」 彼女「今、通った男が「エクアドル臭せ~!」ってこっちを見ながら言ったのよ!むかつく!!」 わたし「。。。それって、すごい。」 妙に歓心してしまった。なぜなら、わたしたち2人のうち一人はどう見たってアジア人(←わたし)。エクアドル人をおっとに持つわたしですら、エク人とペルー人とコロンビア人の見分けなどつかないのはおろか、臭いの違いなどまったくわからないのに、一度素通りしただけでわかるなんて、麻薬犬のような嗅覚を持った男である! 彼女「イタリア人の何が嫌って、いわれもない人種差別を大人も子供も平気でするところよ。」 わたし「一度、外国に暮らしたイタ人はそうでもないんだけどね。。そういう奴らは地元から一歩も出たことのない、田舎者って見下しとけばいいんだよ。」 そうやっているうちにハッと気がつくと、左太ももだけが日に焼けて真っ赤になり、水ぶくれのようなじんましんが出てきている。 うわ~!!わたしはまるでかちかち山の狸のように慌てて水に飛び込んだ。 しばらく泳いでいると太ももの熱が冷めてじんましんが引っ込んだのでヤレヤレと芝生の木陰に寝転がった。 遠くのおっととカティちゃんたちはスライダーを何回も楽しみ、ダンスタイムでラテン音楽がガンガンかかる中、若いむちむちの女子インストラクターの動きに合わせて水中運動をしている。 その後、波の起こるプールタイムが済んで音楽が止み、静かになったと思ったらカティちゃんが子豚と一緒に罰が悪そうな顔をして芝生に戻ってきて、後ろから男たちもぞろぞろ戻ってきた。 子豚「く~き。。あのね、わたし波でおぼれそうになったの。」 わたし「はあ。」 子豚「。。でね、必死で浮き輪につかまっているうちに気がついたら水中メガネ、失くしてた。」 わたし「げ。」 カティちゃん「わたし、関係ないも~ん。」←いざとなれば薄情な子である。 子豚は声を大にして「でもね、でもね、仕方がなかったの!あのときメガネを離して浮き輪につかまらなかったらわたし、おぼれ死んでたわっ!!」 わたしは面倒くさくなり「マルちゃ~ん、あんたの水中メガネ、この子が失くしたって。一緒に監視員のところに行って聞いてきて。」とおっとを呼びつけゴロリと横になった。こんな展開になることはなんとなく予想がついていた。あ~よかった、わたしのまで貸さなくて。(←薄情な妻) おっとと子豚たちはプールに戻っていったが、見つからずにとぼとぼと帰ってきた。 あまりに子豚がしょげているのでちょっと可哀想になり、ちょうどお昼で奥さんたちと準備していた生ハムサンドイッチを「ほら、あんたの分。」と差し出す。 子豚「いらない。わたし、生ハム大嫌いなの。」言い放って、そばにあったポテチをばりばり食べ始めた。 あ、そう。 もうわたしは彼女を完全無視することに決めエルトンに押し付け、そういうわたしも売店に別の具のサンドイッチを買いにいったのであった。 それからわたしはもう泳がず、芝生の木陰で持ってきた本を読みながらプールを観察していた。 男共はずっと先ほどの若いインストラクターのお姉さんの周りを囲み、楽しそうに踊り、カティちゃんと子豚は芝生のそばを通るたびにいつも違うアイスを口にくわえている。 夕方になって、全員が戻ってきた。カティちゃんと子豚はまたもやアイスを食べ終わりかけていた。 わたし「ねえミリー、あのこたち、いったい何本アイスを食べたの?」 ミリーが「さあ。。。2~3本じゃないかしら?」とけろっと答えるので、目が点になる。 子豚を家まで送り、我々とルイスの友達も一緒に食事をしようということになった。 わたしはクルマでの往復にすっかり疲れてしまった。ミリーが「いくきーとは夕ご飯の支度が終わって呼ぶまで寝てて。」と言うお言葉に甘えて子供部屋で寝て、おっとに揺り起こされてダイニングに行くとサプライズが待っていた。 なんとあのいつもは気のきかないおっとが、わたしに大きなバースデーケーキを用意してくれていたのである!←信じられない!! 上にはチョコレートで「Tanti Auguri Ykukito」と書かれてあった。Ykukitoじゃなくて、Ikukitoなんだけど。。。まあ、いいや。 スペ語、イタ語、ポル語、英語で「ハッピーバースデー」を長々とみんなで唄いきり、わたしはローソクの火を吹き消した。 日本もイタリアも夏休み真っ只中のわたしの誕生日をこんなに大勢に祝ってもらうのは、子供の頃以来久しぶりで、ちょっと涙が出た。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[エクアドル人のおっとを持つと] カテゴリの最新記事
|
|