テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
誕生日祝いのコメントを下さったお友達、どうもありがとうございます!これから1年精進しますので(いったい何を?)引き続きよろしく云々でございま~す!!
***** 次の日、わたしはウキウキしていた。 なぜならルイスファミリーはこの日、同僚の山の別荘に勤め先の社長夫婦と共に昼食の招待を受けていた。わたしたちがジェノバに来る1週間ほど前にミリーが言いにくそうに「悪いけど、マルちゃんたちは一緒に行けないの。」と電話をしてきたとき、わたしはほがらかな声で「ノープロブレム!」と叫んだのだ。 なぜならこの日一日はルイスファミリーがジェノバに住んでいる限り、到底出来ることがないであろう、とあきらめていた念願のジェノバ観光や、もう今年からはリグリア海に来ても決していけることがないだろうと絶望していた海水浴が出来るではないか! ひとつ欲をいえば来年からはもう2人旅が出来ることがないので、エルトンがお邪魔虫、といえばそうなのだが彼はヤギ的な男ではないのでまあいいか。 というわけで、もう1週間も前からわたしはどこに行けば楽しいだろう、とガイドブックを眺めていたのだ。 ところがその日の朝。 ミリー「昨夜、同僚に連絡を取ったらね、あなたたちも是非連れてきて!って言われたのよ!!」 OOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!?????? 「ど、どうして?そんな急に悪いよ。社長さんもいることだし、わたしまだちょっとつわりがあるから、食べれないものいっぱいあるし。。。」となんとか断る理由を探すわたし。 ミリー「大丈夫よ。いくきーとが今日は海に行くって話をこの同僚にしたらね、あ、彼女にも2歳の男の子がいるんだけど、彼女ったら急に怒り出して『妊婦が海になんて行ったらダメ!海は妊娠したい女性に力を貸すけど、逆に妊娠している女性からは赤ちゃんの魂を波と共にさらっていくのよ。だから山に来させなさい!!』だって。」 わたし「。。。。。。」 ミリーの同僚って。。。なんだかとてもスピリチュアルな女性のようである。 理由が理由だけに、断ると呪いでも降りかかりそうな気がしてきて、仕方なくOKしたのであった。 これを聞いて喜んだのは野山が好きなエルトンである。 わたしがブツクサぼやきながら、バッグの中身を詰め替えている横で「いくきーと、上着持ってきた?山に行くなんて思わなかったからヤッケを持ってきてないよ。」 わたし「リグリアの山なんて全部低いから、上着なんていらないよ。わたしは財布とサングラスだけ持っていく。」とノースリーブのワンピからTシャツとGパンに着替えたのは今考えると正解であった。 実際、山とはルイスたちなりの言い方で、行くのは去年も行ったような暑い丘陵地帯に行くものだと思い込んでいた。 そのうち社長夫婦が立派なトヨタのクルマで迎えに来たのでルイス夫婦がそれに同行し、わたしたちのポンコツもんで男はそれに続いて高速道路に入った。 クルマはどんどん南下し、チンクエテッレの方まで走っていく。チンクエテッレもジェノバと同じリグリアだが、距離的に見るとミラノまでと変わりなく、遠い。(このままもしかして、トスカーナ地方まで行っちゃうの?)と不安に思い始めた頃、やっと社長たちは高速を降りて山へと向かった。 そこからさらにくねくねと丘陵地帯を抜けると目の前に小さい可愛い村が現れて、社長がそこでクルマを停めたので、ほとんどクルマ酔いしかけていたわたしはホッとする。 社長婦人「まだお昼には早いからちょっとここを観光しましょ。」 って、まだ目的地じゃないんかいっ! 最近、目的地まで爆走型の旅行に慣れてしまっていたわたしはこう、自分で突っ込んでしまってからハッと恥ずかしくなる。 村の名は「Varese Ligure」と言って直線で5分も歩いたら村の端から端まで行ける様な小さな村だ。 しかし、結構メジャーらしく大勢の観光客でにぎわっていた。 写真はいろいろなサイトから抜粋 そこで写真を撮ったり同僚へのお土産を買った後、やっと山の別荘へ! Varese Ligureと同じゾーン内らしかったがずっとくねくね山道を上がり、ほとんど山の頂上にあがる。 頂上には薄い霧が立ち込めていて、寒い。森林の中を抜けていくとリスが飛び出してきたりする。近くまで行くと道沿いに熊が3頭のっそりと現れてびっくりした。と思ったら、同僚家族だった。 さっそく招かれて庭から入ると、ガレージの横で同僚のお父さんが作りつけの石釜でBBQをしていた。(←彼らはイタ人だが、南米人の好きなものをよく理解している。) 実は最近赤身肉がダメなわたしは、肉の焼ける臭いにウェッとなる。ああ、これもあって来たくなかったのに。 別荘は2階建ての木造で、いかにも山荘だ。人数が多いのでガレージを片付けて長テーブルを置いたところに全員が着席した。 前菜が何皿も出てきた後、大なべで茹でたパスタにたっぷりラグーソースをかけたものを同僚がガハハハ笑いながらお皿についできたときは「ああ、イタリアのおっかさん。」と思い、 次にお父さんが汗だくになって焼いていた肉が大盛り2山運ばれてくると、男共があっという間に豪快に平らげていくのを目を丸くしてみたり、 ミリーと同僚はよほど気が合っているようで楽しそうに笑っているのを見ているだけで、結構楽しい。 前記したが、ここには2歳半の男の子がいて、熊のようなお母さんによく似てでかい。昨日の3歳半の男の子よりも縦にも横にもでかく、しかも恐竜のようなやんちゃぶりと怪力で金太郎のようである! 食べている最中、ときどきわたしたちにボールをぶつけてきたりするのだが、結構痛い。ガレージなのでセメント運び用の荷車なども置いてあったりするのだが、目を離していると、そんな重いものまで平気で引っ張っていく。 あまりの通常の幼児とかけ離れたこの行動にわたしは食べるのも忘れて(というより食べられるものがあまりなかった)、見入ってしまうのだ。 それでも結構食べた。前菜の自家製のアンチョビの塩漬けは絶品でなんどもおかわりしたし、自家製ワインも今は本当は飲んではいけないのだが、つい我慢しきれずちょびちょびなめてしまったし、自家製野菜(洗ってそのまんまをボウルに盛っているだけ。)は、わたし一人で平らげてしまったようなものだし、お腹がいっぱいになった。 食事が済むと、父の年代である同僚の両親と同僚、社長夫婦はガレージに残り、いつまでもワインを片手に大きな声で話している。 わたしたちは庭に出て、まずは金太郎とサッカー。幼児だと思って手加減していると、あちらは怪力で、でもコントロールがきかないのであらぬ方向に思いっきりボールを蹴飛ばすので取りに行くのが大変である。そうやって目を離すと拾った木の実をむしゃむしゃ食べていたり、まさに野生児そのものだ。 しかし寒い。ノースリーブのワンピなんて着てこなくてよかったよ。 寒さに震えながら、わたしたちは2階部分に繋がる庭に出て行くと2匹の大きな犬が駆け寄ってきたのでちょっとこわかった。 一匹は番犬種のロットバイヤー、もう一匹は猟犬のセッターだ。小さな牧場のような囲いの中に放し飼いになっていた。 同僚が「そうそう、これを見て。」と出してきたのは愛らしいウリ坊の剥製である!「うちの犬が森の中からくわえてきたの。最初は生きてたんだけど、すぐに死んじゃって、だから記念に剥製にした。」 う~ん。。。。欧州人って、やっぱり狩猟民族だ。わたしは犬は好きだけど、愛玩犬が好き、と修正しなければならない。 犬の囲いを背に女ばかりで座り、当然のごとく、出産などの話になる。 同僚はつわりもなく安産で次の日から動けたというが、ミリーはずいぶん難産で、出産後2週間は起き上がれなかった、というし、人それぞれ。 それに伴って、ミリーがイタリアに来た訳なども聞いた。なんでもルイスは彼女が妊娠中はお姫様扱いだったのが、出産したとたん、育児も家事も手伝わず、寝たきりだったミリーを置いて毎晩遊びに出かけていたらしい。 彼女は彼の愛情に疑問を持ち、愛を試すために生まれたばかりのカティちゃんをルイスに押し付け、単身でまずはドイツに来たそうだ。しかし、ドイツ人の気風が肌に合わずにイタリアへ。そこでやっとルイスが追いかけて来たらしい。 。。。なるほどね。ルイスとおっとは血縁だし、うちも思いっきりありうるなあ、そういうシチュエーション。そうなった場合はわたしは日本に帰るか。あ、でも息子は連れて。 クシュンっと寒さでくしゃみが出た。 同僚「ちょっと寒くなってきたね。家に入ろう。家の中を見せるわ、いくきーとは疲れただろうからベッドで休んでいいわよ。」 この言葉に救いを感じ、わたしたちは2階に行った。2階は総パイン材でこじんまりとしていて、心地いいリビングにはアンティークの薪ストーブもついている。 同僚「白雪姫の小人の家みたいでしょ?」 うんうん。同僚と息子の寝室のドアを開ける。フリルのついたベッドカバーは、我が家には甘ったるいけどこの山荘にはマッチしている。 同僚「ねえ、この部屋ミルクのいい臭いがしない?」 わたしとミリーはくんくんと臭いをかいだ。するのはほのかな木の匂いだけである。「え~、わからないなあ。」 同僚「わたしね、まだおっぱいが出るの。だからこの部屋にはママ特有のいい匂いがするのよ。わからないならちょっとかいでみて。」と彼女がいきなりちょっとよれよれなTシャツの首のところをぐいっと開いてわたしたちに迫ってきたのでびっくりした。 まずはミリーがかいだ。「う~ん、そう言われてみればするかな?」と困った顔をしている。 そしてわたし。 おそるおそるかいでみると、汗のにじんだ彼女の体からはミルクの匂い、というよりわきがの臭いがぷ~んとして、ウェッとなり、わたしはさりげなくベッドに尻餅をついた。 「ちょっとするね、そういえば。ねえ、もう休んでいいかな?」この言葉を吐き出すのが精一杯だった。 同僚「どうぞどうぞ。ゆっくり休んでね。」 同僚がドアを閉めるのを見計らって、わたしは悶絶しながらベッドに倒れこんだ。 どうやら夕方おっとが起こしに来るまで気を失っていたようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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