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2007.09.10
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カテゴリ:妊娠子育て中の話
イタリアではもう2年ぐらい、アオスタの小さな村で起きた殺人事件について裁判が長引いている。
事件が起きたのは山の中の一軒家。
いつもの朝のように旦那と長男を門のところまで送り出した後に、母親が家に入ると3歳の次男がベッドの上で血まみれになって息絶えていた、というもの。
客観的に見れば、こんな野中の一軒家に明るいうちから殺人鬼が入り込み、ほんの2~3分の間でこの惨劇が行われるとは思われず、犯人は当然母親、ということになったのだが、この母親は頑として「わたしは殺していない!」とこの長い歳月、裁判だけでなく、TV番組などにどんどん出演して言い続け、いまやすっかり有名人である。
しかしTVからの感染、というものは恐ろしいもので、この事件からイタリア各地で次々と母親による乳幼児の殺人が行われた。

(追伸:前記したポルトガルのイギリス人幼女失踪事件では勘違いしていたようなので、削除させていただきました。)

まだ妊娠していなかったころ、これらのニュースを見ていたときには「無責任に子供を生むから、簡単に育てる責任の重さを放棄するんだ!」と思っていたが、現在の感想はちょっと違う。
わたしは妊娠10ヶ月の7ヶ月目に入り、やっと「後半戦」の入り口まで来たが、まだ後3ヶ月近くもこの状態だと思うとげんなりする。
初期の頃はつわりと出血に悩まされ、やっと安定期に入ったものの、お腹は重いし腰痛はひどいし、子宮が大きくなって、他の臓器を圧迫しているので、1日として妊娠前のようにすっきりした気分になれないのである。
最近は胎動もよく感じるし、産科検診のエコーのモニターでもどんどん成長する子供の影が見れるので頑張ろう、と思うのだが、実際に手にとって見ないことにはなかなか実感が出来ないものだ。
こんなことを10ヶ月も我慢して、出産は経験がないけれど経験者母たちが言う「この世のものと思えないほどの痛み」に耐えてやっと手にした「一大造形品」をこんなに簡単に壊してしまうその作者の無謀さが信じられないのだ。

***

話は変わって9月に入り、ようやく我が田舎町も正常運転を取り戻してきた。
そのおかげでやっと地域に根ざした(?)マタニティ活動が出来るようになった。

まずは大型ベビー服専門店で行われた無料講演。ある程度ためにはなったが、製品の宣伝部分が多くてちょっとうんざりしてしまった。

次は検診に通っているMonzaの病院での「無痛分娩説明会」。
「無痛分娩」とは脊髄麻酔によって痛みを感じさせず出産するという画期的な分娩法である。日本ではまだまだ少ないこの分娩法のメリットとして出産で体力を消耗しないので産後の回復が早い、というところに目をつけた。
なぜなら、先日わたしと母は大喧嘩をして母が出産の手伝いにイタリアに来てくれる、という申し出を断ったからである。

勇気のいる事だった。
前回5月に母が我が家に来たときからその話はあったのだが、わたしはお茶を濁していた。
なぜなら、母といるだけでこんなに息が詰まるというのに、出産で自分をかまうことで精一杯なときに、母にまで構っていられないだろう。最近、先輩母たちから経験談を聞けば、ストレスで母乳が出なくなることもあるらしい。
先日の電話で母が「そろそろ飛行機のチケットを予約しないとね。」といい始めたときに、このことを遠まわしにやんわり伝えた。敏感な母はたちまち気分を害して、さんざんわたしとおっと、生まれてくる孫の将来を呪う言葉を吐きつくして電話を一方的に叩き切ったのである。
おっとに断ったことをいうと「なんてことをしたんだ! ぼくは12月は仕事が忙しいからお義母さんに任せられる、と思って安心してたんだよ?君は贅沢すぎるよ、僕のママなんて出産に立会いに行きたくても来れないって嘆いているのに!」

おっとの気持ちはわかるが、わたしにも親子の事情があるのだ。
母の協力を断ったのはわたしの責任。「いいよ、あんたは何の心配もしなくても。わたしひとりで産んで育てるから。」と涙を溜めて言い切った。

そういった事情で、積極的に参加した「無痛分娩説明会」。しかし、2時間半にも及ぶ、長い説明会で「他の病院では妊婦の希望で出来るところもあるようですが、我が病院ではお産に異常があったとき、または長引きすぎて、母子の命に影響を及ぼすときにしか、用いません。」。
説明にあたった医師のこの一言でまだ説明会途中にもかかわらず、会場には失望のどよめきが起こり、大半の夫婦がぞろぞろと席を立っていってしまった。
わたしもがっかりだった。希望で申し込みできないなら、なんでこんなに長ったらしい説明会をするんだ?

そして、すでに7月に申し込んでいた近所の病院のマタニティクラス。本当は前記のMonzaの病院と迷ったのだが、これぐらいは近所でいいか、きっと田舎だから空いてるだろうし。と軽い気持ちでこっちを選択。
魔の8月を挟んだため、1ヶ月ずらして先週土曜日に初開講である。
10分遅れで説明会場に着いて驚いた。
こ~んな田舎の病院なのに、すごい人だかりなのだ。たくさん並べられた椅子はすでに満席でたくさんのお腹の大きな妊婦たちがつらそうに会場の後ろで立っている。私たちの後からも次から次へと夫婦が会場に入ってくる。

わたしは「冗談じゃないよ、これ確か2時間だよね、2時間も立ってられないよ。」とうろうろ前の方に出て行くと一番前の隅っこにちょうど1つ席が空いていたのでわたしが座り、おっとが壁際に立った。(こういう場合は映画館と同じく前に行くに限る。)
おっとの場合は仕方がないが、これだけたくさんの妊婦が立っている、というのに、どっかり座り込んだ旦那陣がいっこうに席を譲る気配がない。
わたしがところどころに空いている席を見つけて「ここ空いてますよ~。」と後ろに向かって叫び続けていると、やっと助産婦のような人が入ってきて「紳士の諸君、後ろのレディたちに席を譲ってもらえますか?」とマイクでひとこと。それで2/3の旦那陣は立ち上がったが、まったく身動きもしない残りの1/3に呆れてしまった。
30分遅れでマタニティクラスが始まる。というより、初日だったのでこれだけたくさんの妊婦を分けるためのクラス分けとこれから出産まであるコースでする内容の話をして助産婦が退場、それと交代でひとりの医師が入ってきた。

医師は最前列のわたしのほうを向いて「どうしてこの病院のマタニティクラスを選んだのかね?」と聞くのでどぎまぎしていると、隣の妊婦が「ここはいいって聞くし、家の近所だから。」と答える。
ああ同じような理由の人がいてホッとした、と思っていると「我々の病院の特徴をご存知ですか?」とさらに医師が聞いてくるのだ。
すると会場のあちこちから「水中分娩です。」と答えが返ってきてびっくりした。

そうか、ここはそんなものがあるからこんなにたくさんの妊婦が遠くからも来ているんだ、と納得した。
その後は「普通分娩」と「水中分娩」の違いを医師が説明していった。まったくそういう分娩法を頭に入れてなかったが、そういうのもいいかもしれない。
ああ、そんなことも考えなきゃいけない時期に来たんだなあ。

先日はこの日記ではお馴染み&お久しぶりの目目さん夫婦が現在6歳になる目目娘ちゃんが使っていたベビーカーや、チャイルドシート、登山用のキャリーなどたくさんのベビーグッズをくれた。
彼らの出産体験談をまるで昨日のことのように話し、特に旦那さんの出産後の世話の話はリアルでおっとは食い入るように聞き入っていた。
あまりの大変さに「やっぱりお義母さんに来てもらえば?」というのだが、どうしても嫌だし、もう後には引けないのだよ。
目目さんが「大丈夫、わたしが手伝いに行くやん。」とさらっと言ってくれたので涙がちょちょ切れそうになった。

そういえば、前回ジェノバに行ったときにおっとがいとこのルイスにこの話をしていたら、娘のカティちゃんが目をキラキラさせて「じゃ、わたしが手伝いに行く!見て、わたしこんなに上手に赤ちゃんの世話が出来るのよ!」とぬいぐるみにタオルをおむつ状に巻いて見せたときには「うう~ん、ありがとう。」と苦笑いをするしかなかったが、この目目さんの申し出はまったくありがたかったのだ。





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Last updated  2007.09.11 01:25:13
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 Hinatabocco@ 大丈夫ですか? いくきーとさん、このブログはもうノータ…
 Ikukito@ ごめんなさい。 >shion0851さん そ。。そうです。26歳だ…
 かつしちー@ おめでと! 色んな偶然があるんですね。 相変わらず…
 shion0851@ そーなんだ 26歳なんですか、そうですか・・・(-_…

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