テーマ:サッカーあれこれ(20136)
カテゴリ:ご近所物語
おととい夜中、またもや大雨が降った。
いつもは爆睡状態で起きないおっとが珍しく「雨だ!」と珍しく深い眠りに入っていたわたしを叩き起こし、ひとりで2階に様子を見に上がっていった。(ひとりで行くなら起こすな!) しばらくしてベッドに入りなおすおっと。「どうだった?」と聞くと「うん、大丈夫。もう姿見が置いてある一箇所からしか水が入ってきてないよ。」 「え!今までそんなところから水なんて漏れなかったじゃない?」 おっとは眠そうに「他の箇所を修理してるときにそこの古い瓦を踏みつけて割ったんだな、きっと。今度友達が来たら、修理はそこだけでいいや。」とすぐに大いびきを立てて眠ってしまった。 踏んだだけで壊れる瓦? そんなのだったら「象が踏んでも壊れない筆箱」のほうがマシじゃないか! あれのCMは確か、インド人のようなひとを乗っけた本物の象がそうっと筆箱の上に足を置いて「壊れない~。」と言っていたような気がする。 しかしここから明け方までわたしはずっと小学生の頃、友達の持っていた赤い「象が踏んでも壊れない筆箱」の上に机の上から飛び降りて壊してしまって泣かせてしまったことを思い出し、悔いていたのであった。 **** 本題に入ろう。 先日、ジェノバのいとこのルイスが挑戦状を送ってきた。 ルイスはちょくちょく家族を置いて、独りでジェノバの酔っ払いヤギたちとミラノにまで夜遊びに来る。 ずっと前、この連中と一緒におっとが所属している日本人フットサルチーム「ミラノカルチェットチーム」の試合に参加して楽しかったらしい。 「エクアドル対日本の国際親善サッカー試合をしようじゃないか。場所はミラノとジェノバの中間の社長の別荘裏のサッカー場、ということで。」 地図を見るまでもなく、この位置はちっとも中間じゃなくてかなりジェノバ寄りだ。こんな遠くまでみんな行く、と言ってくれるだろうか?とおそるおそる監督のありまりちゃんに電話してみる。 ありまり監督「え~、すっごく楽しそう!!いいよ、みんなに聞いてみる。」 試合予定日まで2週間ほど時間があったのだが、やはりそんな遠くになかなかメンバーが集まらない。 かき集めて結局4日前に決まったこちら側のメンバーは日本人9人、イタリア人3人、南米人4人の計16人。 。。。なんかちっとも日本人チームじゃないな~。しょうがないか。 2日前。 イタリア人2人を皮切りに、ブラジル人2人がドタキャン。 相手のエクアドル人チームも、最初は「試合の後はBBQを用意するから和気あいあい。」とおいしいことを言っておきながら「誰も調理したがらねえからパンとハムだけ買ってくるし、パニーノだな。」と変更してくる。 予想はしていたが、本当にいい加減なラテンヤギたちである。 ↑のイタリア人2人はサッカー場までのメンバーのクルマの足でもあったのだ。2台もなくなれば、みんなどうやって目的地まで行くんだ!? 最悪うちのワゴン車も出動させるか。。と思っていたのだが、さらに数名ドタキャンが出たことと、風邪で欠席を表明していた日本人のMさんが「そういうことなら足になります。」と申し出てくれて、なんとか解決。日本人の義理堅さをありがたく思ったのだった。 当日朝。 目覚まし時計でわたしは目が覚めて顔を洗っていたら家の電話が鳴った。エルトンからだった。「マルちゃんは?」 わたし「まだ寝てる。」 エルトン「代わってよ。」 おっと「う~ん、後でかけなおすって言って。。」 わたし「ダメだよ、そろそろあんたも起きないと。」 寝ぼけまなこで起き出し電話を代わるおっと。 エルトン「おい、起きろ!目覚まし時計代わりに電話してやったんだ。日本人は時間に正確なんだから、遅れは許されないんだぞ!!」 この怒声でしぶしぶ起きたおっと。寝ぼけてテーブルの上のガラスのコップを落として割って、掃除していたら結局少し遅れてエルトン宅に着いた。 エルトン「なんだよ~、起こしてやったのにこの時間かよ。」 彼はずいぶん張り切っていた。まだ寝ぼけてぐにゃぐにゃのおっとと運転を替わり、疾走するエルトン。集合場所に3分前に着いたのであった。 しかし見渡しても日本人らしき姿がどこにも見えない。場所を間違えたかと監督に電話すると「ごめ~ん、まだみんな着いてないの。遅れるわ。」 思わず吹き出してしまってエルトンに事情を話すと「イタリアに来る日本人ってのは、日本の時間感覚で生きていけないからこっちの生活を選んだんだな。」と皮肉たっぷりに笑ったのだった。ごもっともな発言である。 この後30分遅れで出発したものの、高速道路を抜け、ぶどう畑の中ののどかな田舎道をひた走り、なんとか時間通りに到着。 エクアドル人チームはすでに全員ナショナルカラーの黄色のユニフォームに着替えて待っていた。 我々チームも全員サムライブルーのユニフォームに着替えて出てくる。。と思っていたらブラジルのユニフォームあり、黒いユニフォームありであまり統一感がない。 監督「あれ~?連絡不行き届きかなあ?」 そんな姿だけ見ればエクアドル人のほうはマッチョで浅黒いひとも多くてなんだか強そうだ。そういえばルイスの家には数々のトロフィーが並んでいた。毎土曜日練習に精を出しているみたいだし、あなどれないかも。。 試合が始まった。 監督ありまりとわたしは、試合そっちのけでパニーノ作りに精を出すエク人側の奥さん方に気を取られて少し遅れて入場。こういうシーンで男女が交わってゲームを楽しまないところ、まだまだ南米は男性主義である。 「今、何点?」と聞くと「日本チーム1点。」と返事が返ってきた。まだ試合が始まって10分も経っていない。すごいじゃないかっ!! わたしは幽霊部員なので、監督にメンバー全員の名前を書き出してもらって覚えがてらに誰が何点入れたか採点していく。同時にタイムキーパーもしなければならないので、集中力がいる仕事だ。 そうやってよく観察していたせいかサッカー音痴ではあるが、かなり試合が見えてきた。 日本人チームはかなり苦戦していた。 何に苦戦していたか表現に困ったのだが、高校生のKヘイくんが言葉にしてくれた。「エク人チーム、一生懸命頑張ってるので、いかにシュートをしないであげられるか悩んでしまうのです。」 ああ、青年期特有の優しさか? そうなのであった。 見た目、あれほど強そうなエクアドルチーム、めちゃくちゃ弱すぎ!!ってか、日本人チームが強すぎ? 日本人が決めるシュートはほぼ100パーセントゴール、おかげでエク人のくせに日本人側キーパーを勤めるおっとは試合中に「暑い。」とユニフォームを脱ぎ、下着姿で時には芝生に寝転がり、鼻くそもほじっているようで暇そうである。 前半戦45分は 日本 7-0 エクアドル の圧勝。 おっと「ぼく後半からはエクアドル側のキーパーやるよ。」←よほど暇だったと見える。こうもり男め! というわけで、後半戦はじゃんけんに負けた日本人数人で10分交替でキーパーをすることとなった。 そんなにちょろちょろ交替するので、うっかり油断してエクアドルに1点入れられてしまったが、おっとが敵に廻ったことでなぜか闘志を燃やしたエルトン、数人のメンバーがおっとの守るゴールを攻め立て 後半戦45分 日本 10-1 エクアドル、 トータル 日本 17-1 エクアドル の大圧勝で終わった!! 試合が終わってシャワーを浴びて、両チーム一緒にテーブルを囲んで和気あいあいと昼食会、と表面上はなったのだが、ぼろ負けエクアドルチーム、まったく面白くなさそうにパニーノをほおばっている。 そして食べ終わると大半のメンバーがとっととジェノバに帰ってしまった。 それに比べて上機嫌の日本チーム「勝者へのごほうびは?」と無邪気に聞く。そうなのだ、ルイスが優勝トロフィーを用意しているはず。。。。 ルイスはぶすっと「。。。持ってこなかった。」 OOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!?? なんだ、そりゃ~っ!? 持ってこなかったのはすでにトロフィーに前もって「優勝者エクアドルチーム」と刻印してしまったからだろうか?とふと思う。 なんせ、この試合の不調の言い訳「昨夜、前祝いにメンバー全員で朝まで飲みに出かけたから。」と奥さんのミリーが言ってたし。 この後なんだかちょっとしらけてしまって、どうせならこの田舎の村を少し散策してから帰りたかったのだが、試合疲れもあってみんなしてミラノに直帰してしまった。 わたしはプレーヤーじゃないけど、誇り高い気持ちでいっぱいだった。強いんだな~、「ミラノカルチェットチーム」!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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