テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
タイトルをつくづく実感したのはおっとが従業員を増やす計画を立て始めたことから始まる。
最近ブログをさぼっているおかげで書いてはいなかったが、去年おっとが雇った従業員第一号ステファノを覚えている方はいるだろうか? 少し翳りのある元ピアニストで、そんなアーティスト肌の男がこんなガテン系の運送業に就職して、きっと楽しいネタを提供してくれるに違いない、とわたしは彼と接点を増やすがごとく最初のうちはホームパーティに誘ってみたり、いろいろと試みたのだがドライな彼にことごとく振られ続け、ついにわたしは諦めた。 雇い主であるおっとともワゴン車の不具合があるときと給料日にしか接触しないつれなさなのだが、彼は意外に真面目に続いているのである。 それで気をよくしたおっと、下請け先に欠員が出たこともあって(あのブラジル人エルトン)この夏、もうひとり従業員を増やすことにした。 おっと「従業員第二号はコスティカ(あのわたしの我慢の出来ない国出身の男)を雇ってあげたいんだけどなあ、やっぱり無理かなあ。」 わたし「無理だよ、無理。彼と同郷のチプリアンにだって言われたでしょ?うちは零細企業なんだからちゃんと労働許可証を持ってる人を雇ってよ。」 この会話からほんの数日でおっとは新しい従業員を見つけてきた。 「従業員第二号はエクアドル人だよ。」 げ。 わたしの我慢の出来ない国も信用できないが、エクアドル人なんて、身近にサンプルがいるだけに余計に信用する気になれない。 しかしエクアドル人にはやっぱりエクアドル人のほうがお互い理解しやすくていいのか?? 数日後、おっとはこの新しい従業員を昼休みに家に連れてきた。エクターという。 意外に普通の真面目そうな若者だった。 さっそくコミュニケーションを取る振りをして就職の動機とか、やる気度などを面接するわたし。 ハキハキと答える口調があのもごもごとしゃべるコスティカと違って、爽快である。 彼は別の運送会社に3年働いているのだが(ということは経験者)、歩合給なので毎月の収入が安定せず、妻も娘もいるので固定給のうちのシステムがいいと判断したらしい。 きちんと労働許可証も持っているし、彼の3歳の娘が成人するまではイタリアに居るつもり、というから、よほどのことがない限り、ど短期で辞めてしまうこともないだろう。 そして何が気に入ったかって、おっとがビールを勧めても「ぼく、酒は飲めないんです。」と断ったところである! つまりわたしがおっとにいつもハラハラしている最大の心配事、ヤギ的なあほな飲酒運転をして免許を取り上げられることがないってことだ!! おっとよ、今回は見る目があったじゃないか? わたしは少し安心し、エクターは次の週からおっとの元で働き始め、おっとはエクターに自分の使っていたワゴン車を譲り、自分は新しいワゴン車を買う資金繰りをしながらレンタカーで働き始め、うまく廻り始めたかな?という感じだった。 しかし。 そこに今から2ヶ月ほど前、ミラノ県庁からの一通の手紙が届いたのである。 内容はだいたいこうだった。 「雇用主マルちゃん様へ。 コスティカの労働許可証を与える手続きをしますので◎月◎日◎時、 提出された書類のコピーと身分証明書、Etcとコステイカの住所の証明書を持って2人で来てください。」 それはそれこそ1年近く前、おっとがコスティカを真剣に雇おうとして書類を整え提出し、あとはコスティカ側が揃えなければならない住所の証明書を揃えるだけ、という段階で、やつが理解していなかったからなのか?ただ面倒だったからなのか?「マルちゃんにわたし雇うこと、ムリ。」とそれを放棄してしまって、闇労働先を探して行方をくらましたのである。 おっと「どうしよう?こんなに急に3人目なんて雇えないよ。」 わたし「今更こんなものが来ても、もう従業員はエクターに決まっちゃったんだし、放っときなよ。」 おっと「でもね、お金に不自由なくイタリアに来た君にはわからないかもしれないけど、貧困から抜け出すために不法移民してきたガイジンにとっては、これって人生が懸かった黄金のチャンスなんだよ?正規移民になればもう警察にびくびくしながら働かなくてもいいし、これで祖国に帰りたいときにも帰れる。だからなんとかして雇ってあげないと!」 わたし「気持ちはわかるけど、我が家のピンチも考えてよ?わたしは仕事辞めて収入がないし、あんたは自分のワゴン車の融資が降りるかどうかもわからないし、無理してうちが乳飲み子を連れて逆に路頭に迷う、なんてことにもなるんだよっ!?」 おっと「大丈夫だよ、そりゃ最初は苦しいだろうけどコスティカを雇って軌道に乗ってきたらすぐに元が取れるって!」 ふうううう。。。なんというか? わたしは街を徘徊している不法移民をどうこういうつもりはないけれど、イタリアはもうイタリア人の人口を超えているんじゃないか?というほどよその国からの移民大国である。 わたしの我慢の出来ない国民などは数年前EUに加盟したおかげで急激に増え、ほとんど毎日といっていいぐらいTVニュースの犯罪欄に名を連ねているのだ。 今の段階の正規移民だけでもあふれかえって毎度滞在許可証の更新には苦労している、というのになんで我が家がわざわざ手を貸してこの国出身者を救わなければならないんだ? おっとはあらゆるところに電話をかけて行方をくらましたコスティカを探し出した。奴はとある倉庫で、もちろん闇労働者として働いていたのだった。 しかし、わたしがこの立場だったら飛び上がって喜びそうなニュースに対する彼の反応は、わたしをまたイライラさせる。「今は仕事があるし、ダメョ。シゴト休むワケ行かないから、県庁に行きたいならマルちゃんだけで行くとイイ。」 お人よしのおっと「だから、これは2人で行かないと意味がないんだ。君の雇い主の連絡先を教えてくれたらぼくがこの日は休めるようにお願いするから。君は住所の証明書を大家さんに頼んで、市役所で作成してもらって期日までに持ってきて。」 コスティカ「そんな時間ナイヨ。」 どこまでもお人よしのおっと「市役所は土曜も開いてるんだから仕事を休まなくても行けるよ。」 コスティカお~ま~え~!!立場がわかっとるのかっ!?←絶対わかってない この会話から数日。コスティカからちっとも連絡がないのでまたおっとが彼に電話をする。 コスティカ「ダメね。大家はワタシ住んでること証明したくない。」 ああ~、やっぱり。 ミラノには不法ガイジン相手に法外な値段で家を貸す大家が多い。しかも一件の小さなアパートに10人ぐらい詰め込んで家賃を搾り取っているのだ。コスティカも例外にもれずにその一人であるらしい。 どこまでもどこまでもお人よしのおっと「ん~。。じゃ、こうしよう。君はうちに住んでるってことで証明書を書いてあげるよ。だから今度の土曜に一緒にうちの市の役所に行こう。」 わたし「なんだってっ?ちょ、ちょっとそれって、やりすぎじゃないのっ!!??」 おっと「大丈夫だよ。コックさんのときだって、『我が家に長期滞在のお客さん』ってことで証明書を出して別に何も起こらなかったじゃないか。今回もそうすればいい。」 エクアドル人と日本人の夫婦ってだけでかなり不自然なのに、そこにまた別の国からの客? おっと「市役所がコントロールに来た時、君がいかにもここにコスティカが住んでいるように答えてくれたらいいんだ。」 うう~、嫌だ。本当のことを洗いざらいぶちまけてやりたいっ!←百害あって一利なし こうしてコスティカは土曜日、無事に住所の証明書を取得しおっととともに県庁に手続きに行ったのだ。 おっとって、本当につくづくお人よしだなあ、と感心した一件だった。 そこからおっとは慌ててコスティカ用の中古のワゴン車を探しに行ったり、彼のための仕事の空きを探したり、土日も返上してバタバタ動いていたのだが、あるときから動きがぱったり止まり、いつまでたってもコスティカがうちで働く様子もない。 わたし「あのさ、コスティカもう働き始めたの?」 一瞬間があっておっと「それがね。。。」と言いにくそうに続ける。「これで労働許可証が取れるのは時間の問題だから、取れたら倉庫のオーナーが正規雇用してくれることになったんだって。だからうちで働くことを断ってきた。」 わたし「はあっ!?」 おっとは慌てて「あ、でもでもこれでよかったじゃないか?どうせうちじゃ、3人目をこんなに急に雇うこと無理があったんだし。。。」 可哀そうなおっと。。。コスティカのためにここまで動いて、結局裏切られた、というか、別の雇用主においしいところだけ持っていかれたわけだ。 おっとが哀れでこれ以上追求するのを辞めたのだが、わたしはますますあの国出身者が大嫌いになってしまったのは、いうまでもない。 しかし、タイトルのようなことはまだここでは終わらない。 実は2人目の従業員エクターは今までエクアドルの国際免許で働いていたのが発覚した。 わたし「え、国際免許って期限は1年しかないんじゃなかったっけ?それが3年、ってどういうこと?」 おっと「あっちはお金さえ積めばなんとかなるんだよ。でもさすがに3年超えるともう無理があって、先日イタリアの運転免許試験を受けたから、今は結果が出るまで仮免で働いているんだ。」 わたし「ふ~ん無事受かるといいね。」 そんな話をしていたらエクターから電話があった。「。。。すみません、落ちました。」 わたしとおっと「げ!?」 おっと「困ったなあ、免許がないとうちで働き続けられないよ?」 エクター「イタリア語の筆記試験だったから難しくって。。。あ、でも後1ヵ月後にスペイン語で試験があるのでさっそくそれに申し込みました!」 おっと「でもその1ヶ月、免許なしでどうするの?」 エクター「まだ仮免の期限が切れてないので大丈夫です。スペイン語での試験には必ず受かります!」 そして先週。 おっとが複雑な表情で夜遅くに帰宅した。「エクター、また落ちちゃったよ。。。」 わたし「え~っ!試験2回目で、しかも今回はスペイン語だったのに落ちるなんて勉強してたの?!」 おっと「ぼくのときは外国人は口答試験だったから簡単だったけど、今はイタリア人も外国人も関係なく同じ試験なんだって。ちなみにネットで過去問ができるから、ぼくも試しにやってみたけどエクターの5倍は間違えた。ハハハハ。」 ハハハハ、じゃないよ。 おっと「残念だけど、エクターには自己退職してもらうことにした。免許もないのにしてもらう仕事がないからね。でも困ったことはぼくのワゴン車の融資の都合がついたから、もうすぐにでも納車ができる状態なんだ。そうなると、ワゴン車が一台だぶってしまうし、早いことエクターの代わりの運転手を見つけないと。。。」 ハハハハハ、なんとも悲惨な状況だ。 わたし「。。。今度は絶対イタリア人を見つけな、そんな余計な問題に悩まないように。」 おっと「そうなんだけどね、難しいよなあ。。。。はあああああああ。」 わたしが仕事を探しているときは「どうしてガイジンってだけで雇ってくれないの?」という場面にたくさん出くわしたが、今は雇用者側に立って、その気持ちが痛いほどわかるようになってしまった。 わたしよりも社長のおっとのほうが身にしみてわかったはずなのに、おととい「ひとり見つけた!面接してくる。」と会いに行った相手はわたしの我慢の出来ない国民のところであった。 。。。。。。前途多難な我が社である。 出産予定日まで あと14日。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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