日露外相会談
一昨日行われた日露外相会談。会談時間は長いが、公にできる内容は極めて希薄である。以下の外務省HOからの引用をお読みいただければお分かりいただけるものと思う。(これは外務省非難ではない)日露外相会談平成30年3月21日 3月21日,河野太郎外務大臣は,ラヴロフ,セルゲイ・ヴィクトロヴィチ・ロシア連邦外務大臣(Mr. Lavrov, Sergey Viktorovich, Minister of Foreign Affairs of the Russian Federation)と通算5回目の日露外相会談を実施しました(会談:約2時間40分,ワーキングランチ:約1時間30分)。1 今後の政治対話,二国間関係4月19日に,秋葉外務次官とチトフ第一次官との間の日露戦略対話をモスクワで実施し,5月に次官級の日露安保協議を東京で実施することで一致しました。安全保障分野の協力について,「非伝統的脅威」をめぐる協力として,本年9月のアフガニスタン及び中央アジア各国の麻薬取締官を対象とした既存のプログラムに加え,本年11月を目途に政府幹部を対象としたよりレベルの高い麻薬対策研修を日露共同で開始することで一致しました。経済分野について,両国民が成果を実感できるような8項目の「協力プラン」の具体化に向け,協力していくことを確認しました。2018-2019年の日露外務省間協議計画に署名しました(新たに六者会合の日露首席代表者間会合を追加)。2 北方領土問題 北方四島における共同経済活動の実現に向けた取組や,元島民の方々のより自由な往来のための取組を着実に前進させることが,平和条約締結に向けた両国国民間の信頼醸成に資するとの認識の下,今後の進め方を議論しました。(1)北方四島における共同経済活動局長級作業部会(注)を4月中旬に開催する方向で調整し,5月のあり得べき首脳会談に向けて,集中的に作業していくことで一致しました。(注:(ア)プロジェクトの内容に関する作業部会,(イ)人の移動に関する作業部会)(2)元島民のための人道的措置(ア)航空機墓参,(イ)追加的な出入域地点の設置,(ウ)アクセスが制限された区域への墓参を,本年も実施するため,具体的協議を進めていくことで一致しました。3 国際情勢(1)英国における元ロシア情報機関員襲撃事件河野大臣から,化学兵器の使用は許容できず,何よりも事実関係の解明が重要であると述べた上で,意見交換を行いました。(2)北朝鮮河野大臣から,北朝鮮の「非核化」に向けた意思を見極める上で,北朝鮮の動きを注視する必要がある,過去の過ちを繰り返さないよう,最大限の圧力を共に継続したい旨述べました。その上で,両外相は,南北首脳会談,米朝首脳会談に向けた動きがある中,日露共通の目標である北朝鮮の非核化の実現に向けて緊密に連携していくことで一致しました。以上外務省HPより引用このような会談では、この日を目標として、実務者レベルで「合意事項」「一致できる点」は模索されるのだが、一致した事項が少ない。私のはそう見える。勿論「領土」「平和条約」に関してはトップの決断であり、外相レベルでまとまるようなものではないのであるから、「進展がなかった」こと自体は、予想どおりである。だが、ロシアは、今、我が国に対して「ハードル」を挙げている。あるいは「入り口論」で難癖をつけ始めている。そのように見えてしまう。私は入口論から、「領土」を扱うと、なかなか厳しいものであると思っている。「出口」として「平和条約」と「四島帰属問題」(返還の時期については別段定めない。「二島返還」「択捉、国後については領土問題が存在する」ことを認める。というところで妥協の余地はある。そのように考えている。まあ入口であろうと、出口であろうと、「北方四島帰属問題」が出てくるのは同じなのであるが。。。厚相としては「出口論」のほうが賢い選択であろうと思う。このような考え方は「甘い」あるいは「譲歩しすぎだ」というご意見があることは当然であqると思うが、たとえば、四島一括返還などでは、ロシア側が交渉に乗ってこない。交渉に乗ってこなければ、会談すらできないのである。またこのような意見に対しては、必ず誹謗中傷としての「二島だけでよいと思っているのか」と言われるであろうが、あくまでも「段階的返還論」である。プーチン大統領が「独裁的大統領」であったとしても「四島返還」まで決断できる。と見るのは、度現実を見ていない。と言わざるを得ない。私が、プーチン大統領が決断できるのは、「二島の返還」と「択捉・国後については領土問題が未解決」この辺りまでだと考えている。それほど交渉で「領土を取り戻すことは困難」だということである。だからこそ、奪われたり、不法占拠させたりしてはならないのである。本日付産経新聞社説は、日露を扱っているが、優先志向として当然である。だが、「理想論」を述べている。私にはそう見える。不平不満、疑念、問題点に関しては共有できるものが少なくないのだが。。。018.3.23 05:03【主張】日露交渉 目先の成果は国益損なう 国際ルールを無視した振る舞いで米欧との対決姿勢を強めるロシアのプーチン政権が、北方領土問題に限って正義と法を尊重するのか。懐疑的にならざるを得ない。 ロシアのラブロフ外相が来日し、河野太郎外相と会談したが、その不安が募るばかりである。 両氏は、北方領土での共同経済活動の実現に向けた作業を加速させることで一致した。 安倍晋三政権は、共同経済活動を領土問題解決の糸口にしたい考えだ。首相は5月に訪露し、プーチン大統領との首脳会談で、具体的事業の合意を目指すという。 「共同経済活動を進め、領土問題を解決し、平和条約を締結していく」。首相が北方領土をテーマにした高校生弁論大会の受賞者を前に語った言葉である。 共同経済活動は、日露双方の法的立場を害さない「特別な制度」の下で実施するという。だが、その姿は見えてこない。日本の主権を損なう危険もある。 共同経済活動が、なぜ領土返還に結びつくのか。むしろロシア人の北方領土への執着を強めることにならないか。 ラブロフ氏は、日本のミサイル防衛(MD)態勢の強化に反対した。自国の核戦力を重視し、日本国民の安全を軽視する独善的な議論である。 ロシアは、北方領土返還はオホーツク海に配備する核ミサイル搭載の原子力潜水艦の安全を損なうとみている。ラブロフ氏の反MDの言動は、北方領土を返さないと告げているに等しい。 ロシアのクリミア併合は、旧ソ連・ロシアの北方領土侵略と不法占拠の継続と同じである。 ロシアは、サイバー攻撃で米大統領選に介入した。英国での元ロシア情報機関員らに対する神経剤襲撃事件は、ロシアの関与が強く疑われ、米英仏独が共同声明でロシアを非難している。 外相会談では、英国での事件をめぐり、河野氏が化学兵器使用への懸念を伝えたというが、ロシアの関与を十分にただせたのか。ラブロフ氏は歯牙にもかけぬ様子だった。日本だけが主要7カ国(G7)の中で、突出して対露協力に突き進んでいるようにみえる。 ロシアが、日本の協力によって米欧による経済制裁の効果を減じようとしていることを忘れてはなるまい。対露交渉に、あせりは禁物である。i以上産経ニュースより引用まずわれわれは「北方四島はわが国の領土である」このところを揺るがせてはならない。文責 上田 和哉