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ぴけっと

ぴけっと

2005/01/02
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カテゴリ:ロック
■The Gram Parsons Anthology / Gram Parsons


こんヴぁんわ。

ずいぶん久しぶりの楽天です。
忙しかったのやらいろいろで2ヶ月ほど放置してました。
その間にも来て頂いていた方には、素直に感謝感謝です。

書きたいこと、言いたいことはいろいろあったけど、忙しかったのと精神的に書く気になれなかったのと。

止めるつもりはありません。
どんなペースであれ継続してゆきます。
ここが理想郷ではないと言うことは初めからわかっている事。
”幻滅した”と去ってゆく方もおられますが、私はそうはしない。

執事さん、楽天広場というスペースやそこに集う人々がどうであれ、あなたには残っていただきたい。



久しぶりのレビュー、また意外だと言われそうだがカントリーロックの始祖とも言える人物、グラム・パーソンズ(以下GP)。

私が彼を知ったきっかけはイーグルスから。
バーニー・リードンが歌う「My Man」が彼のことだと言うことを知り、そこからGPというアルバムだけ聴いてみた。
もうその頃には彼はこの世にいなかったが。
以下、「My Man」の一節を

I once knew a man,a very talented guy
He'd sing for the people and people would cry
They knew that his song came from deep down inside
You could hear it in his voice and see it in his eyes
And so he traveled alone


リードンはGPとはフライング・ブリトー・ブラザーズでの盟友関係だった。
この曲が発表される前年に亡くなったGPへの追悼。
この追悼の曲を最後にイーグルスのカントリーロック色は失われていった。


補足しておくと、GP自身はイーグルスのことを批判していた。
”バブルガム的だ”と。
だが、逆の見方をするとイーグルスはGPのフライング・ブリトーやポコの失速を見て自分たちはその轍を踏まないようにしただけとも言える。
ただ、その方法は結論としての敗北がありき、と言ったものだったのかもしれない。

私は80年代の、俗に"80's"とよばれているものも好きだけど、その敗北の歴史を知った上での70年代のロックの方が好きだ。
カントリー系でもトム・ウェイツを聴く事をおしゃれだと勘違いして聴いている人は多いみたいだけど、GPを聴くのがおしゃれだと思う人はいないようで、日本では無名な存在のままか。
本国でもカントリーにロック世代の感覚を移植しようとする彼の感覚は長く正当に評価されなかった。
その"理解されない苦悩"が彼を死に至らしめたのか。

さて、アルバム。
先ず結論。
ライノのコンピは期待を裏切らなかった。
GPというアーティストの軌跡をたどるいいコンピだ。
安直にHITだけを集めたと言うのではない、企画したもののGPへの思いが感じられる。
インターナショナル・サブマリン・バンド、バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズを経てソロでキャリアを終えた彼の重要な部分をチョイスしている。

先ずはインターナショナル・サブマリン・バンドのアルバム『Safe At Home』から6曲。
軽快なナンバー『Blue Eyes』は後にザ・バーズのアルバムでも取り上げる。
”いかにもカントリー”というほのぼのとした、いい曲だ。
『Do You Know How It Feels (To Be Lonesome)』はその後ブリトーのアルバム『The Gilded Palace Of Sin』でも歌っている。
邦題『僕の淋しさを知って』
これはその名のとおりGPの心情を歌ったものなのか。
重厚な音のつくりの『I Must Be Somebody Else You've Known』
これ結構好き。

続いてザ・バーズの『Sweetheart Of The Rodeo』から5曲
GPはバーズに雇われてたはずだけど、作品はGPの意向が濃い。
録音もGPの強い希望でナッシュビルで行われた。(カントリーの聖地)
作品は全体的にカントリー色が強い。特にここに選ばれているナンバーはそうだ。
このコンピにはディランの作品が選ばれていないから当然ともいえるが。
全編ストリングベンダー(ペダルスチールとギターの親戚ってかな)が印象的。
牧歌的な『Hickory Wind』から深いストーリーを持つ『One Hundred Years from Now』まで、名盤からのチョイスは難しかっただろうが、ベストに近いと思う。
いずれバーズについては別途書いてみよう。

次にフライング・ブリトー・ブラザーズの『The Gilded Palace Of Sin』から8曲。これは彼らのファーストアルバムだ。
カントリーロックといえばやはりこのブリトーの名ははずせない。
あくまで”雇われメンバー”だったGPがバーズ脱退後に作ったバンドだ。
トラブルからバーズを脱退したGPの安息の地だったのだろうか。
バーズの作品との比較としてはロック色が強い。
誤解を招かないように書くと、カントリーロックとして。
クリス・ヒルマンとのハーモニーがいい。
『Christine's Tune』はバーズのファンクラブ会長であったクリスティン・ヒントンの歌。
この曲のリリース後に事故で命を落としたそうだ。
この曲がブリトーのテーマともいえる、重要な曲だ。
後のポコ、イーグルスはこの曲の影響が濃いように思う。私は。

サンフランシスコのヒッピームーブメントとは対照的にL.Aには精神性のようなものがなく、それを強く求めているように感じる。
だからこそのカントリーロックなのかもしれない。

『Do Right Woman, Do Right Man』にはデヴィッド・クロスビーがコーラスで参加。
この曲のアレンジのセンスがいい。流石GP。
スチールギターの使い方一つでこうも変わるものか。
『Wheels』は都会から田舎への道か。
GPとヒルマンのハーモニーがいい。
コステロが後にカバーした『Hot Burrito #1』
こっちを後から聴いたけど、オリジナルの方がやっぱいいわー
ヒルマンいわくこれはGPと彼女の破局の歌らしい。
そういった意味でもコステロの歌がかなうわけがない。

『Burrito Deluxe』から6曲。
このアルバムからバーニー・リードンが参加する。
が、GPの転落はここから始まったともいえる。
ヒルマンいわく、レコーディングの後半には顔も出さなくなってしまっていたらしい。
アンサンブルの出来としてはこのアルバムの完成度は前作よりも高い。
『Older Guys』のうねりのような力は面白い。
ハーモニーが綺麗な『Cody, Cody』はなんだかCS&Nのナンバーのようだ。
バーニーが入った効果が一番現れている。
『Wild Horses』はミック・ジャガーとキース・リチャーズが書いた歌だ。
カントリーが好きなストーンズの二人が書いた曲を親友のGPが歌ったもの。

GPソロ『GP』から8曲。
ブリトーを追われたGPはエミール・ハリスとの活動によって復活を果たす。
エミール・ハリスはGPによって見出された。
で、バックにはプレスリーのバンドメンバー等、GPのやりたかった音楽を演奏できるメンバーがそろった。
プロデューサーは敬愛するマール・ハガードに依頼したが、グラムの飲酒癖を理由に拒否。
で、そこに現れたのが失意のイギリス時代の友人リック・グレッチ。

フィドルの音色がいかにもって感じの『Still Feeling Blue』。
そこに乗る2人のハーモニーがいい。
『We'll Sweep Out The Ashes In The Morning』での二人が入れ替わるところも。
まだメインとして張るだけの力量がなかったエミールの使い方を心得ているGPによって、彼女の魅力が引き出されている。
まだ完全に飲酒癖からは立ち直ってないが(永遠に立ち直れなかったか)GPは体調的にはいいようだ。
かなりのお気に入り『She』
ディープサウスに置き去りにしたものへの郷愁…ハレルヤ!!

『Live1973』から3曲。
これは『GP』リリース後のツアー音源。
『Drug Store Truck Drivin' Man』はバーズ時代のGPの作品だが、バーズがこの曲を録音したのはGP脱退後。

GPの死後発表された『Grievous Angel』から10曲。
このアルバム、もうGPはボロボロだったと思うのだが、声の調子はいいという評価だ。
いやいや、これは体調ではなく心から来るものだろう。
自らが望んだ音を、望んだバンドで出来るという。
エミール・ハリスの存在感は前作よりも上がっている。
それまでのヒルマンやリードンとのハーモニーとはまた違い、カントリーロックに乗る女性ヴォーカルってのもいいと思う。
ルーツミュージック定番のロードソング、『Return of the Grievous Angel』で幕を開ける。
ピアノの使い方が効果的な『Brass Buttons』
初期のイーグルスの音が好きな人にはこの曲なんかGPの入り口としていいだろう。
彼女-亡き母が縫ってくれた真鍮のボタン…GPはどうしてここまで無防備になれるのか。
ここまで自分をオープンにしてしまっては生きづらかっただろうに。
悲しいエンディングを迎える『$1000 Wedding』。
なんと感情的に無防備なことよ。


この時代にGPが築きあげたものは、そこからの追求あってのものでありその核は誰にも真似できないということが、明確な形で残るという意味では今日的な意味はあると思うが。
文化としてではなく歴史として生み出されたカントリーのイデオムから得たものをGPは別の表現領域まで広げていった。

そして、そこから生まれた挫折感が、彼を死に至らしめた。

1973年9月19日、ツアー先のホテルでドラッグのオーヴァードーズにより死去。


1.Blue Eyes
2.Luxury Liner
3.Do You Know How It Feels (To Be Lonesome)
4.I Must Be Somebody Else You've Known
5.Miller's Cave
6.Knee Deep in the Blues
7.Hickory Wind
8.You're Still on My Mind
9.Christian Life
10.You Don't Miss Your Water
11.One Hundred Years from Now
12.Christine's Tune (A.K.A. Devil in Disguise)
13.Sin City
14.Do Right Woman, Do Right Man
15.Dark End of the Street
16.Wheels
17.Juanita
18.Hot Burrito #1
19.Hot Burrito #2
20.High Fashion Queen
21.Older Guys
22.Cody, Cody
23.Wild Horses
24.Sing Me Back Home


1.To Love Somebody
2.Still Feeling Blue
3.We'll Sweep Out the Ashes in the Morning
4.Song for You
5.Streets of Baltimore
6.She
7.New Soft Shoe
8.Kiss the Children
9.How Much I've Lied
10.Drug Store Truck Drivin' Man [Live]
11.That's All It Took [Live]
12.California Cotton Fields [Live]
13.Return of the Grievous Angel [Remix]
14.Hearts on Fire
15.Brass Buttons
16.$1000 Wedding
17.Love Hurts
18.Ooh Las Vegas
19.In My Hour of Darkness
20.Brand New Heartache
21.Sleepless Nights
22.Angels Rejoiced Last Night




GPは柩におさめられて、妹のいる故郷の南部に送られるのを待っていた。
だが、彼が南部の地に送られることはなかった。
彼が最も心を許した友人により盗まれた死体は、生前のGPの言葉に従い、ロスの東、ジョシュアツリー国定自然記念物公園にて荼毘に付されました。






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Last updated  2005/03/06 01:25:41 AM
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