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カテゴリ:宝石の説明
水晶類の中で最も人気があり、その色合いから紫水晶の名で親しまれている。色の幅は広く、ほとんど無色に近い藤色からみごとな紫にまで及んでいる。アメシストの色の原因は解明されていないが、一般的には微量のマンガンを含むためと考えられている。しかし化学分析や分光分析の結果では、この元素の存在のないものもある。他説にはフェロシアン化カリウムやフェロシアン化物、有機物質による着色を原因としているもの、薄板状の双晶構造であるために双晶の接解部に異種鉱物の分子が集結して、紫をなすとしているものもあるが、いずれも確説ではなく、多分に謎めいたところのある石である。
色の問題は複雑で、アメシストのある種のものは、摂氏四〇〇~五〇〇度で黄褐色あるいはガーネットに近い赤に変化する〈別の産地のもので緑色になるものもある)。これを利用してアメシストを熱処理して黄水晶をつくり、シトリン・トパーズの名称で売られることがある。 アメシストには昔から悪酔いをさますといういい伝えがある。色がワイン色に近いことから連想されたとも考えられるが、この石を持っているとアルコール飲料を飲み過ぎても苦しまず、眠けを払い、解毒剤にもなり、戦争で負傷することもないなどと信じられていた。ギリシア神話によるアメシストの由来は、酒神バッカスと清らかな乙女アメシストの物語として描かれている。中世キリスト教の社会では禁酒、禁欲を象徴する石として、この時代の儀典や祭器につかわれている。また、司教たちの指輪としても用いられていた。現存する最古のものはギリシアのミケナエ王子の持っていたアメシストといわれている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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